kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

阪神の逆転Aクラスと中日・大野雄大の防御率1位タイトルを「交換」したセ・リーグ最終戦に思う

 昨夜(9/30)、プロ野球の全日程が終了したが、セ・リーグの最終戦阪神のAクラス入りと中日・大野雄大投手の防御率1位のタイトルを「交換」するような試合となり、話題となった。

 昔(1982年)、中日の優勝と大洋・長崎啓二選手の首位打者のタイトルを交換するような試合があって、非難囂々だったことを覚えているが、今回はリーグ優勝ではなくクライマックスシリーズ出場権だったせいか、あまり騒がれていないようだ。しかし、大野は3回3分の1を完全に抑えていたし(しかも直近の阪神戦ではノーヒット・ノーランを達成していた)、シーズンの勝ち星が9勝で、二桁勝利に王手をかけてもいた。ここで防御率1位だけ確保しておこうというのはいささかせこいなあと思った。中日の与田監督と阪神の矢野監督はかつて「星野竜」とやらでチームメイトだったし、故星野仙一は中日監督時代、自軍の選手の個人タイトル獲得のために、ずいぶんせこい真似をやっていた。私はやはり釈然としないものを感じる。4位に終わった広島が、今季唯一読売に勝ち越していたチームだっただけに余計にその感が強い。もっとも、今季の広島はやることをやらずにムダな負けを随分重ねたし、年々野球が粗くなる一方のようにしか感じられなかった。最終戦で中日に負け、ジョンソンに自責点4がついた試合は、阪神のモチベーションを上げ、中日・大野のタイトル獲得へのハードルを下げた意味で、まさしく自滅。ジョンソンが勝ち越し点を与えて気落ちした時点で投手を大瀬良にでも代えて中日の追加点を防いでいれば、ジョンソンの自責点は2で済んだかもしれないし、それどころか広島が逆転するチャンスも増えた。だが、すっかり大雑把な試合運びに慣れた広島の緒方監督にはそのような采配はできなかった。

 思えば、2016年の日本シリーズ第3戦で、当時日本ハム大谷翔平を歩かせるでもなく勝負するでもなく「くさい球」を大瀬良に投げさせ、最初から悪球を狙っていたという、水島新司の漫画『ドカベン』の岩鬼を思わせる大谷の悪球打ちの餌食になってサヨナラ負けした試合があった。そこまでの2戦は広島が本拠地で2勝していて、3戦目もタイスコアだったが、試合内容は圧倒的に広島が押していた。しかしこの大谷のサヨナラ安打で流れは変わり、以後は試合が進むにつれて、全試合接戦ではあったものの日本ハムの勢いが増していき、最後はマツダスタジアムでレアードの満塁本塁打が飛び出して(この時にも明らかに投手交代が遅れた)、広島は4連敗でシリーズに敗退した。2017年のクライマックスシリーズDeNAとの初戦に勝ったあと4連敗し、昨年の日本シリーズでもソフトバンクに1引き分け1勝のあと4連敗した。すべては2016年の日本シリーズ第3戦の不徹底な大谷との勝負から始まった感がある。

 あの試合、テレビ朝日で解説していた、ヤクルトを最下位にして「監督失格」の烙印を押された古田敦也でさえ、「勝負するか敬遠するかはっきりさせた方が良い」と何度も言っていたし、翌日のスポーツ紙では宮本慎也が広島ベンチの采配を酷評する超辛口のコメントを発していた。私はあの年のシリーズ終了後、広島は宮本をコーチに招いた方が良いとこの日記に書いた記憶がある。宮本には、今年のヤクルトのような、もともと弱いチームを強くする能力には欠けるが、強いチームをさらに強くすることには長けていそうな気がする。だが、広島は強いチームをさらに強くしようとの努力をしなかったように思えてならない。おそらく来年からの広島は下り坂をたどるだろう。

 特にセ・リーグでは、強いチームをさらに強くしようとの貪欲さを持った球団は、残念ながら読売以外にはないのではないか。今も腹立たしく思い出すのは2011年の中日で、あの年この球団の社長だかなんだかは、リーグ連覇を目指していた当時の監督・落合博満を引きずり降ろそうと画策していた。それがペナントレースの終盤に発覚し、監督が代われば優勝できなくなると危機感を抱いた中日の選手たちを奮起させて、その煽りをヤクルトが食らって中日に大逆転優勝を食ってしまったのだった*1。このシーズンも、夏場のヤクルト・小川淳司監督の采配に「緩み」があった。勝てる試合を勝ちに行かず、8月下旬だったかに、相性の良かった中日との神宮での最終戦に思わぬ逆転負けを喫した時に、最初の嫌な予感がした。阪神戦で、阪神を苦手とする村中恭兵投手らを先発させ続けたローテーションも大いに疑問だった。これらが積もり積もって、最後の最後に中日に逆転を許した。1998年に38年ぶり優勝を遂げた横浜も、翌年の開幕戦から6連敗して、開幕11連勝の「星野竜」にいきなり大差をつけられたのが致命傷になった。要するに、このリーグでは読売以外の球団は強さが持続しないのだ*2。昨年までの広島は、セでは読売以外初めてのリーグ3連覇をなし遂げはしたが、それは個々の選手の力によるところが大きかったのであって、丸佳浩を読売に強奪された今年は、読売には勝ち越したものの波が大きい戦いぶりだった。特に阪神戦では試合終盤での逆転負けが多く(夏場の京セラドームでの2試合連続逆転負けなど)、阪神との対戦成績も1つ負け越した。シーズン全体として見ても「負けに不思議な負けなし」だったといえる。阪神は広島を上回ったことに胸を張って良い。一方、広島は監督を代えた方が良いし、フロントの考え方も変えなければならない。一方阪神は、昨年終盤の糸の切れたような戦いから一転して、今年は最後まで見事な粘りを見せた。矢野燿大金本知憲の監督の差がはっきり出たとしか言いようがない。中日も監督が与田に代わって良くなった。ヤクルトは今季でもこれらの球団に大差をつけられたのに、現状のままだと来年はさらに差をつけられてしまう。誰が考えても追うのは大仕事だから、高津臣吾も大変だろう。

 昨夜の阪神対中日戦については、下記記事を引用する。

 

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191001-00010000-wordleafs-base

 

阪神CS出場と中日大野の防御率タイトル獲得“竜虎同盟”に意外と批判の声目立たず!

10/1(火) 5:00配信

THE PAGE

 

 阪神が30日、甲子園で行われた最終戦で中日を3-0で下し、逆転で3位に浮上、2年ぶりのクライマックスシリーズ進出を決めた。中日は3回3分の1無失点に抑えれば逆転で、最優秀防御率タイトルを獲得できる先発の大野雄を、タイトル確保と同時に降板させ、直後に阪神が均衡を破り先制した。大野のタイトルと阪神のCS出場の交換ゲームのようになった展開にネット上で「竜虎同盟」という言葉がSNSのトレンドワードになった。意外と広島ファンを含む批判的な声は少なかった。

 

天敵左腕降板直後に勝ち越し!
 

 ベンチから出てきた与田監督の姿を認めると虎党が騒いだ。前回登板は、ノーノー。この日もパーフェクトに抑えこまれていた阪神の天敵左腕が降板するのだ。4回先頭の近本をアウトにとった時点で、3回3分の1を無失点に抑えた大野の防御率は2.58となり、タイトルを争っていた広島・ジョンソンの2.59を抜いたのである。

 チームは、この2試合で連勝すれば、4位の可能性があったが、前日のゲームを失った時点で目標はなくなっていた。完全な消化試合で指揮官が個人タイトルを優先するのは当然だろう。しかも、大野は初の防御率タイトルである。

 大野が降りた途端に阪神は水を得た魚になった。2番手の三ツ間、3番手の山本を攻めて、たちまちのうちに4、5回で3得点。大山のタイムリーに、ワイルドピッチで2点をもらうという展開。もう甲子園は勝負あったの雰囲気に変わった。

 モチベーションが異なるチームの戦いは、こうまで違うものか。先発の青柳から、島本、引退登板となった高橋聡、岩崎、ジョンソン、藤川と小刻みに目先を変えられ、中日打線は白旗をあげた。

 今季限りの退団を表明している鳥谷が、阪神ラストゲームを7回の代打出場(ライトフライ)からショートの守備につくという矢野監督の配慮もあって、さらに甲子園は特別なムードに包まれていた。
 今季ゲーム差は広島と最大6.5差あった。広島が先に全日程を終えた時点で1ゲーム差。阪神は残り3試合。3連勝がCS出場ノルマという過酷な条件を6連勝フィニッシュという異例の猛ダッシュでクリアしてみせたのである。

「セプテンバー・ロス」は、これまでの阪神の代名詞だったが、就任1年目の矢野阪神は、見事な粘りと、投手力で奇跡の逆転CS出場を勝ち取った。泣くに泣けないのは、この3日間、毎日、阪神の負けを祈っていた広島ファンだったのだろう。

 ネット上では「広島ファン」に続き、一時「竜虎同盟」という言葉がSNSのトレンドワードとなった。大野の最優秀防御率タイトルと交換で阪神がCS出場権を得た現象をファンが面白おかしく表現したもの。
 ツイッターの書き込みは「竜虎同盟最高!」「竜虎同盟ありがとう!」などとポジティブなものが多く、広島ファンも激怒というよりも総じて「今年はバティスタのドーピング問題もありCSにいけなくて当然です」「阪神さんおめでとう!」といった広島の4位転落に納得しているような声が目立った。

 ペナントレース終盤の勝敗度外視の個人タイトル優先主義には、否定的な議論がなされることが少なくないが、最終戦でチームの目標がない中日が、見事な復活を遂げた大野へのタイトルプレゼントにチームが一丸になった。今回は、ギリギリセーフだろう。

 阪神OBで評論家の池田親興さんも「順位がかかっているならまだしも、チームに目標がなくなった最終戦でタイトルがかかった選手がいるなら、配慮するのは、監督として当然の行為。与田監督が3回3分の1で、きっかりと大野をマウンドから降ろしたことに何も問題はないだろう。広島ファンにしては、納得がいかないかもしれないが、最終戦の中日戦に、自力で勝っておけば、こんな気持ちにならなくて済んだこと。例年ペナントレースの後半に繰り広げられるケースの多い醜いタイトル争いとは、ちょっと種類が違うと思う」と、与田監督の采配に肯定的だった。

 本当は“竜虎同盟”で巨人を引きずり下ろし、さらなる混戦に持ち込んでおかねばならなかったのだろうが、これもたまたまの巡り合わせ。143試合までスリル満点。そしてハッピーエンドにまとめた2019年の阪神劇場はエンターテインメントとして最高の結果を残した。 

 矢野監督は、試合後の全試合終了スピーチで、ラグビーW杯で優勝候補のアイルランドを破る大金星をあげた日本代表を引き合いに出して「阪神タイガースも、感動と子供たちに夢を与えられるようなチームになっていきます。選手たちが、粘りに粘ってつかんだクライマックスシリーズの切符。皆さんと最後までしっかりと戦っていきたいと思います」と挨拶した。

 阪神と横浜DeNAとのCSファーストステージは5日から横浜スタジアムで行われる。

 

 私はCSファーストステージでは当然ながらDeNAを応援するが、仮に阪神が勝ち抜いたなら、ファイナルステージでは阪神を応援する。

*1:当時、逆転される前にこの最終結果を言い当てる記事をこの日記に公開したことがあった。私は悪い予感だけはよく当たる。小池百合子の「排除劇」もその2か月前に言い当てていた。

*2:90年代のヤクルトの黄金時代でさえ、1年おきにしか結果を出せなかった。

立花孝志、人口増に「虐殺」言及(共同通信・ハフポスト日本版)

 立花孝志の暴言は記事にするのも気が重いが、書かないわけにはいかないだろう。立花がYouTubeで発した暴言を最初に取り上げたマスメディアは共同通信だったようだ。

 

https://this.kiji.is/550240360080917601

 

N国党首、人口増に「虐殺」言及

ユーチューブ動画で

©一般社団法人共同通信社

 

 NHKから国民を守る党の立花孝志党首が、増加する世界人口への対応に関し「ものすごくおおざっぱに言えば『あほみたいに子供を産む民族はとりあえず虐殺しよう』みたいな」と発言していたことが27日、分かった。動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開された対談で語った。直後に「やる気はないけど」とも付け加えた。

 ジェノサイド(民族大虐殺)を想起させる内容で、与野党から批判が出る可能性がある。

 日本から貧困国住民への教育支援に疑問を呈し「犬に教えるのは無理。犬に近い。世界中の人間には、それに近い人が圧倒的に多い」などと強調した。

 

  立花は上記共同通信の記事に反論したらしい。以下ハフポスト日本版より。

 

www.huffingtonpost.jp

 

 以下引用する。

 

N国・立花孝志党首「あほみたいに子どもを産む民族は虐殺」「差別やいじめは神様が作った摂理」などと言及

立花氏は「そんなつもりはさらさらないし、そんなことをする人には大反対」と釈明している。

NHKから国民を守る党の立花孝志党首が、YouTubeにアップされた対談動画で、増加する世界人口への対応について「あほみたいに子どもを産む民族はとりあえず虐殺しよう、みたいな」と言及した。

その後、自身のYouTubeチャンネルで「そんなつもりはさらさらないし、そんなことをしようとする人には大反対」と釈明。
しかし、「虐殺」発言のあった対談の動画では、貧しい国や地域の人たちを「人間と思えない」と表現したり、「差別やいじめは神様が作った摂理」と話したりと、差別を肯定するような発言を繰り返していた。

■「虐殺しよう、みたいな」

対談は、元大阪府吹田市議会議員の神谷宗幣氏との間で行われたもの。神谷氏は2012年に自民党公認衆院議員選挙にも出馬していた。2015年には無所属で大阪府議会議員選挙に立候補したが落選している。

立花氏は、日本をはじめ先進国の人口が減少傾向にあるのに対し、世界全体の人口は増えていることに触れ「馬鹿な人ほど子供産むから、馬鹿な民族っていうかね」と話した。

そして、「人間の天敵はいないから、結局人間が人間を殺さざるを得ないのが戦争だと思ってる」とし、人口増加の抑制について「殺し合いをしなくていいようなコントロールをとにかくかけるしかないのかなと。ある意味ものすごい大ざっぱに言うと、そういうあほみたいに子どもを産む民族はとりあえず虐殺しよう、みたいな。やる気はないけど、それを目指したら、結局そういうことになるのかな」と言及した。

この発言を9月27日、共同通信が報じると、立花氏は反論動画を掲載し、「虐殺」発言について「そんなつもりはさらさらないですよ、そんなことをしようとする人には大反対」と釈明した。

■「差別やいじめは神様が作った摂理」

一方で立花氏は、神谷氏との対談の中で、人種差別を肯定するような発言を繰り返し行っている。

発展途上国などに対して、日本が教育支援を行うことを提案した神谷氏。「発展途上国、貧しい国行くとカオスなんで、これはちょっとどうもならんなと」と話したのに対し、立花氏は「だって人間と思えないでしょ。申し訳ないけど、別に批判しているとかじゃなくて」と同調した。

さらに、「うちで飼っている猫とあまり変わらない人いっぱいいますよ。そういう人はご飯をあげたら繁殖するんですよ、言い方悪いけど、いっぱい子供産むんですよ、やることないから。避妊に対する知識もないし」と続けた。

また、神谷氏が「人種差別をやめましょう、と世界に日本人が提案したのは日本人の誇るべきポイントだ」としたのに対し、立花氏は人種差別についても「人種差別やめようとは思ったことない」と応じた。

その上で、「差別やいじめは神様が作った摂理だから、本能に対して逆らうことになるでしょ。だって誰かを差別したり、誰かをいじめることによって自分が安心できるっていう、人間持っている本来の摂理なので、それが本当に正しいのかって言うのはすごく疑問がある」と話した。

この発言後、立花氏は「政治家と言う立場でしたらそんなこと言っちゃいけないんだけど。だから政治家やめたいんだけどね。いじめも差別もなくならないと思います」と付け加えた。

 

(ハフポスト日本版 2019年09月28日 11時45分 JST | 更新 2019年09月28日 11時55分 JST

 

 立花がどう「釈明」しようが、立花の発言は一線を越えている。議員辞職相当だ。

 

 平河エリ氏のツイートより。

 

 

 氏は玉木雄一郎をもきっちり批判している。

 

 

 もっとも、今朝(9/30)見ると平河氏はスタンスを少し変えたようだ。

 

 

 それは少し違うのではないか。別の候補者が繰り上げ当選しようが、立花をきっちり除名しておかなければならないのではないか。上記ツイートに反応した下記ツイート種の意見に私は同意する。

 

 

 この件に関しては、玉木雄一郎山本太郎、及び民民・元号党支持者各位を含むこの国に住む人間の一人一人がスタンスをはっきり示す必要があると思う。この「崩壊の時代」の日本においては「隠れ立花シンパ」が多数いるに違いないが、少なくとも議論が必要だ。

 この日記にも以前、「N国党支持者=ネトウヨ」という考えは間違っているという主旨のコメントを寄越してきた人間がいた。また、山本元号党のコアな支持者の中には少なからぬN国党・立花シンパがいるのではないかとの指摘があり、私もそれはありそうな話だと思う。そして誰よりも玉木雄一郎だ。この野党第二党の党首は「隠れ」どころかあからさまな「立花シンパ」だろう。いまだ立花を批判せず、動画の削除もしないという(既にこれらのアクションを玉木がとっているという情報があれば、コメント欄で教えていただきたい。記事本文に追記します)。実にふざけた話だが、民民も「野党共闘」とやらを構成する政党の一つだ。

 「崩壊の時代」は深刻さを増すばかり。

「よくもそんなことを」 トゥンベリさん、怒りの国連演説(AFP通信)

 ニューヨークで開かれた国連の「気候行動サミット」は、日本では例のアホの小泉進次郎が発した「セクシー」だの何だのというわけのわからない発言がまず騒がれた(もちろん海外では嘲笑の対象となった)が、世界的にはグレタ・トゥーンベリさんという16歳の高校生環境活動家の演説がサミットの基調を決定づけたとして話題となった。下記はAFP通信の記事*1

 

www.afpbb.com

 

 以下上記リンクの記事を引用する。

 

「よくもそんなことを」 トゥンベリさん、怒りの国連演説

2019年9月24日 5:35 発信地:国連本部/米国 [ 米国 北米 ]
 
 
【9月24日 AFP】スウェーデンの高校生環境活動家グレタ・トゥンベリ(Greta Thunberg)さん(16)は23日、米ニューヨークで開幕した国連(UN)気候行動サミットで演説した。トゥンベリさんは、世界の首脳らが温室効果ガス排出問題に取り組まず、自分たちの世代を裏切ったと非難し、「よくもそんなことを」と怒りをぶつけた。

 アントニオ・グテレスAntonio Guterres国連事務総長が開催した同サミットは、実現が危ぶまれる地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」を再び勢いづかせる狙いがある。熱のこもったトゥンベリさんの演説は、サミットの基調を定めるものとなった。トゥンベリさんは「私はここにいるべきではない。大西洋の向こう側に帰って学校に通っているべきだ」と言明。時に声を震わせながら「あなた方は希望を求めて私たち若者のところにやってくる。よくもそんなことができますね」と批判し、「私たちは大絶滅の始まりにいる。それなのに、あなた方が話すことと言えば、お金や永続的な経済成長というおとぎ話ばかりだ。よくもそんなことを!」と怒りをあらわにした。

トゥンベリさんは、気候変動対策をめぐる政府の怠慢に抗議する若者の運動を代表する世界的な「顔」となっている。この運動では20日、世界各地で数百万人の児童・生徒が学校ストを行った。

 23日の国連発表によると、パリ協定に応じ、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする「カーボンニュートラル」を達成することを約束した国は、66か国に上る。

 気候サミットには、当初欠席する予定だったドナルド・トランプDonald Trump米大統領が急きょ、短時間ながらも出席した。トランプ氏は、地球温暖化が人為的な原因により起きているとする科学界の結論に対し、繰り返し疑念を示している。トランプ氏は会場で、インドのナレンドラ・モディNarendra Modi)首相の演説を聞き、拍手をした後に退場した。

 グテレス氏はこれに先立つサミット開幕時、「気候の緊急事態は、われわれが現在、負けている競争だが、勝つことのできる競争だ」と述べた。

 エマニュエル・マクロンEmmanuel Macron)仏大統領は、チリ、コロンビア、ボリビアの首脳と会談。会談では、世界銀行World Bank)、米州開発銀行IDB)、国際環境NGOコンサベーション・インターナショナル(Conservation International)が、世界の森林保護のため5億ドル(約540億円)を追加で投じると確約した。

(c)AFP/Issam AHMED

 

(AFP BBニュースより)

 

 この気候変動の深刻さは、私にとっては肌で感じる自明のことだ。この問題はヨーロッパでは深刻な問題としてとらえられているようだが、アメリカでは共和党や同党から選出された大統領・トランプが強硬な地球温暖化否定論者だし、日本ではなぜか「小沢信者」が地球温暖化懐疑論を異様に愛好する。この影響を受けて、小沢一郎の流れを汲む山本太郎も支持者が発する地球温暖化懐疑論に耳を傾けざるを得ない*2という憂慮すべき傾向が見られる。

 前のエントリでツイートを引用した平河エリ氏は、この件に関しても多数のツイートを発していて、これらは必見だ。いくつか氏のツイート及び氏がリツイートした他の方のツイートを以下に引用する。まずデータ編。

 

 

 

 グレタ・トゥーンベリさんに対する懐疑論や醜悪なバッシングが巻き起こったらしいことを、平河氏のツイート及びリツイート経由で知った。

 

 

 グレタさんに人格攻撃を仕掛けているのは、何も「崩壊の時代」にある日本のネトウヨや「小沢信者」ばかりではなく*3、世界中の保守派がそうらしい。以下、上記ツイートからリンクされた「NewSphere」の記事を引用する。

 

newsphere.jp

 

16歳の環境活動家グレタ・トゥーンベリさんを嫌う大人たち 人格攻撃も

 

 スウェーデンのグレタ・トゥーンベリさんは、2018年夏に気候変動への対応を政府に求め、学校を休み一人で議会前での座り込みを始めた。その活動が報じられると、共感した若者たちが世界中で学校ストライキに参加。いまやリーダーである彼女は、16歳の環境活動家として大きな注目を浴びている。その一方で、彼女のやり方や影響力の高まりを嫌う心ない大人の誹謗中傷も広がっている。

 

◆力強いスピーチ、しかし伝わらない大人も

 グレタさんは23日、ニューヨークで開かれた国連気候変動サミットでスピーチを行った。涙を見せ、厳しい表情と言葉で大人たちの対応の遅さを批判。若い世代が負わされるリスクの大きさを訴え、若者を裏切るのなら「あなたたちを許さない」と怒りを表した。

 そんなグレタさんに対し、アメリカの保守的な政治評論家マイケル・ノウルズ氏は米フォックスのテレビ番組で、「30年以上も(温暖化は)科学で明らかだったのに、なぜ背を向けてきたのか」というグレタさんの言葉に言及し、「科学の問題なら、むしろ科学者がリードすべき。政治家や親と左翼に利用されている精神異常のスウェーデンの子供の仕事ではない」と述べた。ほかのコメンテーターが発言を取り下げるよう求めたが、ノウルズ氏は受け入れなかった(ウェブ誌『デイリー・ビースト』)。フォックスはその後、ノウルズ氏の発言は「不見識」だったと謝罪している。

 

◆陰湿なバッシング 大人げない大人たち

 実はグレタさんは自分がアスペルガー症候群と公表しており、以前から大人による彼女への人格攻撃のような発言がしばしばあった(エネルギーと環境に関するメディア『E&Eニュース』)。彼女を気に入らない人々は、彼女の自閉症に言及。「モノトーンな声」だと指摘し、「世紀末的恐怖のまなざし」を持った「ミレニアル世代の変わり者」と呼んでいたという。

 アイリッシュ・タイムズ紙のコラムニスト、ジェニファー・オコネル氏によれば、ツイッター上でのグレタさんへの批判にも驚くべきものがあったとしている。たとえばオーストラリアの保守派の温暖化否定論者アンドリュー・ボルト氏などは、「非常に精神不安定」「異様なほど影響力がある」とコメントしている。意図的に自閉症と関連づける、最も悪意があり、最も愚鈍ないじめがネット上で行われているとオコネル氏は指摘している。

 専門家は、このような人格攻撃は、知的障害、発達障害がある人に公の場での発言を思いとどまらせるという深刻な二次的被害につながるとする。大人の「操り人形」だから、という遠回しな表現をグレタさんに使う人もいるが、それは明らかに、彼女の考え方は変わっているのでその発言を無視するべき、というシグナルを特定の集団に送ることになる。自閉症や脳の多様性に関する著書を持つスティーブ・シルバーマン氏は、これは典型的な自閉症バッシングだと述べている(E&Eニュース)。

 

◆グレタ批判は解決にならず
 グレタさんが、今回の会議出席のため、二酸化炭素排出量の多い飛行機を使わず、ヨットでやってきたことに関しても批判がある。米ロングアイランドの新聞ニューズデイのコラムニスト、キャシー・ヤング氏は、数人がこのヨットを持ち帰るために飛行機で戻る予定であることを指摘し、今回のグレタさんの旅は、彼女自身のまばゆい環境ブランドが持つエリート意識と、実用より象徴を好むことを典型的に表したと述べる。グレタさんの活動は疑似宗教的で、パニックを煽るものだとも述べ、今後の科学の発展に期待し、あまりに悲観的になる必要もないだろうと述べている。

 一方、前出のオコネル氏は、グレタさんのヨットでの旅は抗議行動の一つで、他人に同じことを強要するものではないとする。だからこそ、象徴的であり挑発的であってよいのだとしている。

 グレタさんが多くの人々の怒りを買うのは、気候変動が恐ろしいものだとわかっているからだと同氏は指摘し、否定は真実に向き合うよりずっと簡単だと述べている。グレタさんを批判する大人は多いが、本当の変人は、力強い世界的ムーブメントを自力で始めた活動家ではなく、安全なコンピュータのスクリーン越しに、アスペルガー症候群の子供をあざ笑う中年男性のほうではないかとしている。

 若さと決意と変化を意味するグレタさんを彼らは怖がっているのだと同氏は述べ、科学を見方につけた彼女にアイデアのない大人は勝てず、彼らがどんなにツイッターやブログで熱弁をふるっても、より大きな問題に取り組む彼女がそれに反応することはないとする。グレタさんは理想主義者であり若さゆえの行動も取るが、彼女のような意見は必要だとし、より穏健な不同意の声は否定することなく、彼女の主張に耳を傾けたいとしている。

 

(NewSphereより)

 

 豊かな国の子どもが何を言っているのだという誹謗もあるが、気候変動の影響をより強く受けるのが貧困国であることは、考えてみるまでもなく当たり前の話だ。

 

 

 

 こんな話もある。

 

 

 

 今やネトウヨの代表格になってしまった菊池誠は、この問題でも恥を晒しているようだ。

 

 

 下記ツイートでこのエントリを閉める。

 

 

 遅くなったので、立花孝志に関する記事は今夜以降(おそらく明日以降)に公開する。

*1:このAFP通信記事の日本語訳では「トゥンベリさん」となっているが、NHKは「トゥーンベリさん」と報じており、ネットで調べたところ、こちらの方がよりスウェーデン語の読みに近そうなので本エントリはNHKの表記に従った。NHKはかつて(1990年代初頭)にスウェーデンのテニス選手だったステファン・エドベリを「エドバーグと発音していたが(朝日・読売など大新聞は「エドベリ」と表記していた)、最近では当初「ワウリンカ」と表記されていたスイスの選手を大新聞より早く「バブリンカ」の発音に変更するなど、現地読みに近い発音にしようと努力する傾向が見られる。なお、「バブリンカ」表記についてはこの日記で取り上げたことがある。https://kojitaken.hatenablog.com/entry/20150201/1422763427

*2:もちろん山本太郎自身が地球温暖化懐疑論を信じているわけではないと信じたい。

*3:むしろ彼ら(日本のネトウヨや「小沢信者」ら)は今回のグレタさんバッシングには関心がなさそうだ。

あいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」、愛知県知事の再開意向表明直後に補助金不交付の方針が報じられる

 先週半ばは平日に休みをとってネットから離れていたのだが、その間に前回書いた電力会社の問題よりもっと重大な問題を安倍政権が引き起こしていた。あいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」再開の意向を大村秀章・愛知県知事が表明した直後に、文化庁補助金を交付しない方針だと報じられた一件がそれだ。調べてみると、第一報はNHKが伝えたらしい。日時(9月26日12時45分)を参照すると、ちょうどNHKニュースのタイムスタンプの時刻には、私は山のてっぺんにいて開放感を満喫していた。

 

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190926/k10012099321000.html

 

愛知 国際芸術祭への補助金 不交付の方針 文化庁

 

慰安婦を象徴する少女像などの展示をめぐって脅迫めいた電話などが相次ぎ一部の展示が中止された愛知県の国際芸術祭について、文化庁は、事前の申請内容が不十分だったとして、予定していたおよそ7800万円の補助金を交付しない方針を固めたことが、関係者への取材で分かりました。

 
愛知県で開かれている国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」のうち「表現の不自由」をテーマにした企画展は、慰安婦を象徴する少女像などをめぐって脅迫めいた電話などが相次ぎ、先月、開幕から3日で中止されました。

「あいちトリエンナーレ」について、文化庁は、ことし4月、観光資源としての文化の活用推進を目的とした国の補助事業として採択し、およそ7800万円を交付する予定でした。

しかし一連の事態を受けて改めて検討を行い、愛知県からの申請は、少女像などの具体的な展示内容の説明がなく不十分だったとして、補助金を交付しない方針を固めたことが、関係者への取材で分かりました。

この補助金について菅官房長官は先月2日の会見で「審査の時点では、具体的な展示内容の記載はなかったことから、補助金の交付決定では事実関係を確認、精査したうえで適切に対応していきたい」と述べていて、文化庁の判断が注目されていました。
「あいちトリエンナーレ」に対する補助金の取り扱いについて、文化庁は、審査の結果「申請者である愛知県は、開催にあたり、来場者を含め、展示会場の安全や事業の円滑な運営を脅かすような重大な事実を認識していたにもかかわらず、事実を申告することなく、文化庁から問い合わせを受けるまで事実を申告しなかった」と指摘しています。

そして「審査の視点で重要な点である、実現可能な内容になっているか、事業の継続が見込まれるかの2点で、適正な審査を行うことができなかった」としています。

そのうえで「補助事業の申請手続きにおいて不適当な行為であったと評価した」として、補助金適正化法に基づき、全額不交付とする方針を固めました。

こうした方針について、文化庁は「文化資源活用推進事業」では、申請された事業は、全体として審査するもので「あいちトリエンナーレ」は、申請金額も事業全体として不可分一体な申請がなされているとして、総合的に判断したとしています。

表現の自由”めぐって議論

愛知県の国際芸術祭、「あいちトリエンナーレ」のうち「表現の不自由」をテーマにした企画展をめぐっては、主催者側を脅迫するファックスや脅迫めいた電話のほか、あわせて770通の脅迫メールが届きました。

また、政治家の発言が相次ぎ、憲法が保障する表現の自由をめぐって議論が起きました。

このうち名古屋市の河村市長は、先月2日、会場を訪れたあと記者団に対し「どう考えても日本国民の心を踏みにじるものだ。税金を使ってやるべきものではない」と述べ、この企画展の中止を求めました。

この発言について、愛知県の大村知事は先月5日の会見で「憲法違反の疑いが濃厚だ。公権力が『この内容はよくてこれはダメだ』と言うのは、検閲ととられても仕方ない」と批判しました。

また、河村市長の発言のほか、菅官房長官が先月2日の会見で芸術際への国の補助金について、事実関係を精査し、交付するかどうか慎重に検討する考えを示したことについて、日本ペンクラブが声明で「行政の要人によるこうした発言は政治的圧力そのものであり、憲法が禁じている『検閲』にもつながるものである」と指摘するなど議論を呼んでいます。

官房長官は先月5日の会見で、補助金をめぐるみずからの発言が主催者側の判断に影響を与えたと考えるか問われたのに対し「まったくない。国民の大事な税金を交付するので、事実関係を確認した上で適切に対応すると答弁しただけで、記者の質問に対して申し上げただけだ」と述べました。

そのうえで「暴力や脅迫はあってはならない。刑事事件として取り上げるべきものがあれば、捜査機関で適切に対応する」と述べました。

官房長官補助金文化庁で審査中」

官房長官は午前の記者会見で「展覧会を開催するかどうかについては、主催者において判断されるべきことだ。文化庁補助金の取り扱いについては、文化庁で審査中であると報告を受けている」と述べました。

憲法学者の木村草太さん「不交付は被害者を追撃したことに」

愛知県で開かれている国際芸術祭について、文化庁補助金を交付しない方針を固めたことについて、憲法学者で、首都大学東京の木村草太教授は「安全を害したから補助金を交付しないとなると、脅迫を受けた被害者を追加で攻撃していることになってしまう。脅迫は犯罪なので、警察や司法機関が適切に対応して解決すべき問題だ。文化庁は、寄り添うべき相手が加害者なのか被害者なのかという点を、もう一度冷静に考えるべきだ」と指摘しています。

そのうえで「補助金の交付は、芸術作品としての価値を基準に判断するのが原則で、今回のような理由で交付しないとなれば、不十分な理由での補助金の運用が横行して、補助金を通じて特定の思想表現には援助しないという排除が進む危険性が高い。交付しないのであれば、極めて慎重に、また十分な理由をもって判断すべきだ」と指摘しています。
 
NHKニュースより)

  

 決定した補助金の交付を事後に不交付にするなど前代未聞で、これは表現の自由への公然たる挑戦以外の何物でもない。平河エリ氏が下記の怒りに満ちたツイートを発信している。これがあいちトリエンナーレの一件を指していることは、その前後のリツイート疑う余地がない。

 

 

 平河氏は旧民主・民進支持系のライターで、私と意見が合わないことも少なくないが、このツイートに見る感度の鋭さや怒りの強さは他の件でもしばしば見られる。気候変動の件やN国党・立花孝志の暴言の件などがそうで、それらはこのあと引き続いて公開する記事で言及する。休暇を取って山に登ったり旅の電車の中でのんびり村上春樹なんぞを読んだりしていた先週は、実はとんでもない1週間だったようだ。慄然とさせられる。

 各野党があいちトリエンナーレ、立花、気候変動などの問題にどう反応したかも気になるところだ。特に最初の2つの問題では山本太郎*1やその支持者、最後の問題では玉木雄一郎*2や民民支持者の反応が気になる。彼らは平河エリ氏が示したような敏感にして強い反応を示すことができたのだろうか。

 この国の「崩壊の時代」はもうとんでもなく深刻な局面を迎えているのだ。 

*1:「表現の不自由展・その後」に中止の圧力をかけた名古屋市長・河村たかし小沢一郎系のお仲間だし、地球温暖化懐疑論は「小沢信者」の間に蔓延している。

*2:国民民主党代表・玉木雄一郎は、立花孝志との対談のYouTube動画をまだ公開された状態のままに放置しており、立花を批判する言葉も発信していないらしい。

総額3億円余 経営幹部ら20人が受け取り 関電社長認める(NHK)

 日記の更新を休んでいる間に、この国の末期的症状を感じさせるニュースが報じられた。まずNHKニュースより。

 

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190927/k10012101541000.html

 

総額3億円余 経営幹部ら20人が受け取り 関電社長認める

 

関西電力の岩根茂樹社長は27日午前、記者会見を開き、関西電力原子力発電所がある福井県高浜町の元助役から会長や社長など経営幹部や社員、合わせて20人が金品を受け取り、その総額はおよそ3億2000万円にのぼることを明らかにしました。そのうえで岩根社長は「関係者や社会の皆様に多大な心配をおかけし、深くおわび申し上げます」と陳謝しました。

関西電力の岩根茂樹社長は27日午前11時から大阪 北区の本社で記者会見を開いています。

このなかで岩根社長は会長や社長などの経営幹部や社員、合わせて20人が、去年までの7年間にわたって3億2000万円相当にのぼる金品を受け取っていたことを明らかにしました。

金品を渡していたのは関西電力原子力発電所がある福井県高浜町森山栄治元助役でした。岩根社長は森山元助役について、「地元の有力者で、さまざまにお世話になっている。金品の返還を申し出たが、厳しい態度で拒まれた。関係悪化をおそれ、返せなかった」と述べるとともにこれらの金品は一時的に受け取ったものだったと釈明しました。

こうした金品の受領は金沢国税局の税務調査で指摘され、すでに一部もしくは全部を返還し所得税の修正申告をしたということです。

岩根社長は「関係者や社会の皆様に多大な心配をおかけし、深くおわび申し上げます」と陳謝しました。

森山元助役はすでに亡くなっていますが、関係者によりますと原発関連の工事を請け負う地元の建設会社から受注に絡む手数料を受け取り、この一部を関電の経営幹部に渡していたことが税務調査で判明したということです。

岩根社長は今回の問題を受けて「私も含め、報酬の返上を行った」と述べすでに社内処分を行ったとしましたが、処分内容の詳細については「差し控える」として説明しませんでした。

地元自治体の元助役から不透明な金品が原発を運転する電力会社の経営幹部にわたっていたことには批判の声があがりそうです。

森山元助役 退職後も地元行政と関わり続ける

高浜町によりますと、森山栄治元助役は京都府綾部市役所を退職後、昭和44年12月に高浜町役場に入庁しました。その後、当時の総括課長や収入役などを歴任し、昭和52年4月から退職する昭和62年5月までの10年間、助役を務めました。

退職後も町の都市計画審議会で委員を務めるなど、地元の行政と関わり続け、ことし3月、90歳で亡くなりました。葬儀には役場のOBなど、多くの地元の人たちが参列したということです。

助役だったころの森山氏を知る、高浜町の岡本恭典副町長によりますと、森山氏は周囲からの信頼が厚く、当時の町の幹部から、仕事を任せられていたということです。収入役を務めた経験から、原発関連の財政にも詳しく、当時は役場の若手職員に対し、「原発の財源は有限なので、住民の要望に何でも応じるのではなく、できないこととできることをはっきりと住民に示さなければならない」と話していたということです。

高浜副町長「森山元助役は信頼厚く 地域振興に熱心」

森山元助役が昭和62年まで勤務していた、福井県高浜町の岡本恭典副町長は「退職されてからのことで、報道を知って、ただただ驚いた、としか言いようがない。元助役は周りからの信頼が厚く、地域振興に熱心な人で、事業をやり遂げることが住民のためになるのだ、という行政マンとしての心得を、一から教えてもらった」と話しています。

また、「当時は原発を誘致して、財政が豊かになってきた頃だったが、元助役からは、財源は有限なので住民の要望に何でも応じてしまうと住民が行政頼みになってしまう。できることとできないことははっきりと住民に示さなければいけないと言われた」と話していました。

地元県議「原発誘致のころからいろいろな関わりあった」

福井県高浜町がある大飯郡を選挙区とする、福井県議会の田中宏典議員は森山栄治元助役について「原発を誘致するころから、いろいろな関わりがあった人だ」と述べました。

田中議員は高浜町の元職員で、森山元助役と同じ時期に町役場で仕事をしていたということです。田中議員は「報道を見て驚いている。事実関係はわからないが、真面目で厳しい人だったのでもし事実であればとても遺憾だ」と話しました。

森山元助役については「原発を誘致するころから、いろいろな関わりがあった人で、行政職員として、原子力政策に貢献してきた。今ほど原発に対する風当たりが厳しい時代ではなかったが、立地をめぐって住民からの要望も多く苦労したと思う。真面目な人という印象で、今回、報道されているような話は聞いたことがなく、引退後も影響力があったという話についても分からない」と述べました。

さらに「原発は必要だと考えているが、こうしたお金の問題に終始してしまうのは大変残念で、原子力政策を再点検して、これからも対応していきたい」と話していました。

元助役知る県議「義理堅く約束を守る人だった」

森山元助役を知る福井県議会の石川与三吉議員は「食事をするなどおつきあいしていた時期があるが、義理堅く約束を守る人だった」としたうえで、「『関西電力は森山元助役のおかげで大きくなった』というぐらいのことは言ってもいいと思う。根性が通った人で、関西電力は森山氏の前を通らずにいられなかったと思う」と話しました。

そのうえで石川議員は「町役場で原発政策の対応の窓口を務めてきて、それが大きくなって『面』となり、助役を辞めてからも関西電力はつきあいが続いたのだと思う」と話していました。

共産 町議「昔から原発にまつわる疑惑あった」

元助役を知る高浜町議会の日本共産党の渡邊孝町議は「森山元助役の周りでは昔から原発にまつわる疑惑があったが、そうした黒い部分の一端が初めて明らかになった。本人が亡くなったのでどこまで追及できるかわからないが、できるだけの真実を今、明らかにしてほしい」と話しました。

また「行政と電力事業者がなれ合っていては原発の安全は保たれないので、しっかりと距離を置いた好ましい緊張関係を絶えず保つ必要がある」と話していました。

高浜原発 テロ対策の工事中

関西電力の高浜原子力発電所は、福井県内で最も西に位置する高浜町にあり、内浦半島の付け根に1号機から4号機までの4基が設置されています。

敷地面積はおよそ233万平方メートルと関西電力原発の中では最も広く、営業運転の開始は最も古い1号機で昭和49年11月、最も新しい4号機で昭和60年6月です。

8年前に起きた東京電力福島第一原発の事故のあと、4基とも長期間、運転を停止しましたが、このうち3号機が平成28年1月に4号機が翌月2月に再稼働しています。

また1号機と2号機は運転開始から40年を超える稼働に向けて、現在安全対策工事が行われていて、工事の完了後に地元の同意が得られれば、再稼働する計画です。

現在、高浜原発ではテロによる航空機の衝突などを想定して、予備の制御室や電源などを備えた「特定重大事故等対処施設」の建設工事が進められています。

この施設は再稼働に必要な原発本体の工事計画の認可から5年以内に設置することが義務づけられていて、期限までに設置できないと原発が運転できなくなります。

関西電力によりますと、高浜原発では3号機と4号機が来年8月と10月の期限からそれぞれおよそ1年、1・2号機が再来年6月の期限からおよそ2年半、施設の完成が遅れる見通しだということです。

経団連会長「詳細わからず コメントしようがない」

関西電力の会長や社長など合わせて20人が関西電力原子力発電所がある福井県高浜町の元助役から多額の金品を受け取っていたことについて、経団連の中西会長は、27日の記者会見で「詳細が全然わからないので、コメントしようがない」と述べました。

そのうえで「私はメーカー出身なので、自治体の首長の方とよく話をするが、その際には、ウエットな関係は何もない。電力会社は地域に根を張るので、自治体と一体で、いろいろなことをしなければならないんだろうなと想像できるが、今回に関して、どういう背景があったのか、全く情報を持っていない」と述べました。
 
NHKニュースより)

 

 このニュースは背後関係がよくわからないが、業者だの政治家だのを含めた、いわゆる「ズブズブの癒着構造」が存在した(する)であろうことは想像に難くない。

 この件に関する経団連会長のコメントがまたひどい。以下朝日新聞デジタルより。

 

https://www.asahi.com/articles/ASM9W51M0M9WULFA01T.html

 

関電役員の金品授受、経団連会長「友達で悪口言えない」

加藤裕則 

 

 関西電力の岩根茂樹社長や八木誠会長を含む役員らが、関電高浜原発が立地する福井県高浜町の元助役から計3億2千万円分の金品を受け取っていたことについて、経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)は27日の定例記者会見で、「詳細な情報が分かっていない」としたうえで、「八木さんも岩根さんもお友達で、うっかり変な悪口も言えないし、いいことも言えない。コメントは勘弁してください」と語った。

 中西氏は、原発の立地自治体について問われ、「私ども(日立)は(原発)メーカーで、自治体の首長とよくお話をするが、その際はウェットな関係は何もない」と言及。そのうえで「電力会社は根を張られると思うが、今回に関してどういう背景になっているのか、まったく情報を持っていない」と述べた。(加藤裕則)

 

朝日新聞デジタルより)

 

 こんな野郎が財界の頂点でふんぞり返っているわけだ。開いた口がふさがらない。
 
 電力会社といえば、一昨日(25日)には、東京電力が「千葉の停電がゼロになった」と発表したのに現実には復旧していない地域が少なからずあることが報じられた。以下朝日新聞デジタルより。
 

https://www.asahi.com/articles/ASM9S6V3HM9SUTIL05X.html

 

千葉の停電「ゼロ」 その後「復旧困難26カ所」なぜ?

台風15号支援通信

原田悠自 

 

 台風15号などの影響による停電の復旧作業にあたっている東京電力パワーグリッドは24日、同社のホームページ(HP)上で提供している千葉県内の停電情報軒数が同日午後6時45分の時点で「ゼロ」になったと発表した。一方、親会社の東京電力ホールディングスはその後、倒木や道路の陥没などで復旧困難な地点が県内に26カ所(190戸)あると発表。双方で食い違う内容となり、住民からは不安の声も上がっている。

 東電パワーグリッドによると、HPの停電情報軒数は、高圧線の復旧状況などに基づいて更新されている。県内の高圧線の復旧工事が完了したとして「ゼロ」となったが、土砂崩れや道路の陥没などで一部復旧が困難な地点がシステム上表示されない形になっていたという。

 この点を補足する形で、東電ホールディングスは24日夜、25日以降も復旧作業を継続する地点が9市町26カ所に点在していることを明らかにした。ほかに、高圧線から各家庭につなぐ引き込み線が断線するなどして停電している場合もあるという。

 千葉県内では、台風が上陸した直後の9日午前8時時点で、50市町村で最大約64万1千戸が停電した。東電は当初、11日中の全面復旧の方針を示したが、その後先延ばし。27日までにおおむね復旧の見込みと変更していた。復旧困難な地点があるため、全面復旧は27日以降になる可能性があるという。

 停電に対する問い合わせは、東京電力カスタマーセンターのフリーダイヤル(0120・995・007)または有料電話(03・6375・9803)で受け付けている。(原田悠自)

 

朝日新聞デジタルより)

 

 不正な金品受け取りといい、大嘘の「停電ゼロ」宣言を平気で垂れ流すことといい、電力会社ほど信用できないものはないが、その仲間というか元締めというか経団連もひどいし、そもそも安倍晋三政権が一番どうしようもなく腐敗している。

 「崩壊の時代」にはこういう側面もある。