kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「前菅」も「後菅」もあ菅?

 「前菅」(菅直人)と「後菅」(菅義偉)って確かに共通点が多いんだよな。ともに非世襲だし。でもなんと言っても最大の共通点は「坂道を転がり落ち始めた内閣」ということだろう。もちろん両者の足を引っ張った(引っ張っている)のは前任者の鳩山由紀夫安倍晋三なのだが。

 下記は朝日新聞デジタルの記事へのリンク。

 

www.asahi.com

 

 上記リンクの記事の無料部分を以下に引用する。

 

内閣支持率、大幅に下落 政権内からは「まだ大丈夫」

 

菊地直己、石井潤一郎、鶴岡正寛 小泉浩
2020年10月20日 6時30分


 菅内閣の支持率が、発足から1カ月で10ポイント余り下落した。歴代内閣でも高水準の支持率でスタートを切ったが、落ち込みの幅もまた大きくなった。与党内では、日本学術会議の任命除外問題の影響を指摘する声が上がるが、政府は除外の理由を具体的に示さない従来の対応を貫く構えだ。

 

 朝日新聞が17、18日に実施した世論調査では、内閣支持率は53%だった。政権発足直後の9月の65%から下落した。

 

 2001年の小泉内閣以降の9政権で、発足直後と翌月の内閣支持率の増減をみると、菅内閣は2番目の下落幅となる。消費増税をめぐる対応の混乱などで60%から39%に急落した10年の民主党の菅(かん)直人内閣に次ぐ数字だ。

 

 政府・与党内では下落の要因に、首相が日本学術会議の会員候補6人を任命しなかった問題を挙げる声が出ている。世論調査では、首相の説明を「十分ではない」とする回答が63%に上った。

 

 閣僚経験者は「学術会議の問題は効いている。『人事で脅す』という姿勢が怖がられたのではないか」。首相官邸の幹部は「どこまで説明しても『十分』とはなりにくい。支持率が高いにこしたことはないが、仕方ない」と語った。

 

 ただ、政権内では「説明不足」が指摘される首相の対応の変更を求める声は、ほとんど上がらない。別の閣僚経験者は「最初の支持率が高すぎた。50%あればまだまだ大丈夫」。加藤勝信官房長官は記者会見で、任命除外の政府の対応が内閣支持率に波及しているのではないかと問われたが、「世論調査を分析する立場ではない」と論評しなかった。一方で「個々の人事について具体的に答えられる範囲には限界がある」として、6人を除外した理由について説明を避ける姿勢を続けた。(後略)

 

朝日新聞デジタルより)

 

出典:https://www.asahi.com/articles/ASNBM6S77NBMUTFK00M.html

 

 いや、「まだ大丈夫」ではなく、「もうあかん」やろ。

 「前菅」も「後菅」もあ菅。

同調圧力をかけたがる人間がコメントを寄越してきた

 先週(10/14)に公開した下記記事に、今頃コメントがついた。同調圧力をかけたがる人間の戯言としか思えなかったので晒し上げておく。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

aikobros

 

こういう話は欧米に住んで向こうの方が良い社会だと感じてから書くべきでは?
個人の尊重なんて、みんなの民度の高さや価値観が大きく違わないなどの条件が整わないと成立しない。
ヨーロッパとかイスラム教徒入れ過ぎたせいで、自由な発言したら殺される事態になっている。
アメリカはアングロサクソン主体の田舎はトランプ支持で不法移民が少なくない都市部の民主党支持と対立している。
また元から低所得者への福祉負担を嫌って中所得者以上が町を逃げ出し新しくゲーティッドシティというのを作りったりしている。

人間なんて元々皆エゴイストに過ぎないが、個々の能力など動物の中で最弱クラスなので、生き残りにはみんなと協力しないといけない。で協力するためには共通の論理・価値観や皆が崇める輝かしい物語が必要。
欧米の場合、世間様だけでなく、一神教の元に全人類服属という論理があったから逆に個人という概念が成り立っただけ。

だが異教徒や生まれた国が違う人間入れ過ぎで、激しい対立が生まれそれが機能しなくなってる。

で日本人は無宗教ではないが(神社のお札をゴミ箱に捨てない等)多神教であって特定の一つの神による統制はないので、世間様という社会全体の抑制で成り立っている。批判する前に個人とやらを成り立たせ維持できる方法書かないと無意味。

 

 上記冒頭の一文「こういう話は欧米に住んで向こうの方が良い社会だと感じてから書くべきでは?」によって、書き手が「世間」の人間であることを自ら表明している。

 但し、「世間」の人間にしては自分の意見を文章で発信したことだけは評価してやる。たいていの人間は黙殺するだけだからな。だからこうやって載せてやった。ありがたく思え。

「菅首相の著書、改訂版が発売 公文書管理の記述消える」(朝日)

 これはひどい朝日新聞デジタルより。

 

www.asahi.com

 

 上記リンクの記事の無料部分を以下に引用する。

 

菅首相の著書、改訂版が発売 公文書管理の記述消える

井上昇
2020年10月19日 17時30分


 菅義偉首相の著書「政治家の覚悟」(文芸春秋)が20日に発売される。野党議員時代の2012年に刊行した単行本を改訂した新書で、全244ページ。官房長官時代のインタビューが追加収録される一方、「公文書の管理の重要性」を訴える記述があった章は削除された。

 

 12年の単行本「政治家の覚悟 官僚を動かせ」は首相の就任後、ネット上で高額で取引されていた。

 

 今回の改訂版で削除されたのは、旧民主党政権運営などを批判した章。この中で、東日本大震災後の民主党政権の議事録の保存状態を問題視し、「政府があらゆる記録を克明に残すのは当然で、議事録は最も基本的な資料です。その作成を怠ったことは国民への背信行為」と公文書管理の重要性を訴えていた。

 

朝日新聞デジタルより)

 

出典:https://www.asahi.com/articles/ASNBM5RD7NBJUTFK00Q.html

 

 上記記事についた「はてなブックマーク」から、人気最上位のブコメを下記に示す。

 

菅首相の著書、改訂版が発売 公文書管理の記述消える:朝日新聞デジタル

過去の正論と現在の不正が整合性とれなくなったら、不正を改めるのではなく正論のほうを削除。さすが改竄の菅。

2020/10/19 18:05

b.hatena.ne.jp

 

 この件は上記ブコメに尽きる。

 この極悪首相を一日も早く引きずり下ろせ。

菅内閣支持率、早くも急落\(^○^)/

 昨日(10/18)は共同通信朝日新聞世論調査結果が発表された。菅義偉内閣が発足して1か月経ったので、2度目の世論調査が出始めたわけだが、共同では6ポイント、朝日では実に12ポイントもの支持率下落となった\(^○^)/

 下記は東京新聞の記事へのリンクと引用。

 

www.tokyo-np.co.jp

 

任命拒否、首相説明不十分72% 内閣支持率60%、共同通信調査

2020年10月18日 19時23分 (共同通信



 共同通信社が17、18両日に実施した全国電世論調査によると、日本学術会議が推薦した会員候補6人の任命拒否問題を巡り、菅義偉首相の説明は「不十分だ」との回答が72・7%に達した。「十分だ」は16・1%。新型コロナ感染拡大によって生活に「不安を感じている」は「ある程度」を含め72・9%に上った。菅内閣の支持率は前回9月の調査と比べ、5・9ポイント減の60・5%、不支持率は5・7ポイント増の21・9%だった。

 

 首相が看板政策に掲げる「デジタル庁」新設に対しては「期待する」が58・2%、「期待しない」が34・7%。

 

 回答は固定電話731人、携帯電話1239人。

 

東京新聞より)

 

出典:https://www.tokyo-np.co.jp/article/62655

 

 また下記は朝日新聞デジタルの記事へのリンク及び無料部分の引用。

 

www.asahi.com

 

内閣支持率53%に下落 不支持は22% 朝日世論調査

2020年10月18日 22時01分


 朝日新聞社は17、18日に全国世論調査(電話)を実施した。菅内閣の支持率は53%で、発足直後の前回9月調査の65%から下がった。日本学術会議をめぐる問題で、菅義偉首相のこれまでの説明について63%が「十分ではない」と答えた。
 支持率を男女別にみると、男性は前回の62%から55%に、女性は同68%から51%に下がった。年代別では、40代以下の支持は6割と高めだった。60代の支持は前回の64%から46%になった。若年層の支持が比較的高く、女性の支持が低めだった第2次安倍政権と似た傾向が見られた。
 支持する理由としては「他よりよさそう」は43%と最多で、「政策の面」23%、「自民党中心の内閣」17%、「首相が菅さん」15%が続いた。前回の「首相が菅さん」は23%だった。不支持率は前回13%だったが、22%に増えた。支持しない理由は「政策の面」36%、「自民党中心の内閣」35%、「首相が菅さん」14%、「他の方がよさそう」10%だった。
 日本学術会議が推薦した学者の一部を、菅首相が任命しなかったことについても聞いた。「妥当だ」は31%、「妥当ではない」は36%。「その他・答えない」も33%いた。任命しなかった理由について、菅首相の説明を「十分だ」と答えたのは15%。内閣支持層でも「十分だ」は23%、「不十分」は57%だった。

 

朝日新聞デジタルより)

 

出典:https://www.asahi.com/articles/ASNBL6H5CNBLUZPS001.html

 

 もちろん支持率はまだまだ高く不支持率は低いが、発足からさほど間を置かずに支持率が下落するのは、第1次安倍、福田、麻生、鳩山、菅(かん)、野田各内閣等の短命政権でみられた現象だ。

 今回は「安倍案件」でやらかした形だから、支持率の性別、年齢層別分布が第2〜4次安倍内閣と似たような形になったが、今後は新型コロナ対応が菅政権の新自由主義経済政策によってうまくいかない可能性が高い。それでなくても飲食店などがバタバタ潰れているのは日本どこでもみられる現象だろう。

 今後も内閣支持率の上がり目はない。

暴挙! 横浜スタジアムで「人体実験」実施へ

 これはひどい暴挙だ。NHKニュースより。

 

www3.nhk.or.jp

 

 以下引用する。

 

横浜スタジアム 制限上回る観客入場で実証実験 感染防止策確認

2020年10月15日 21時12分

 

新型コロナウイルスへの対策として、神奈川県などは、横浜スタジアムで行われるプロ野球の試合で、現在の制限を上回る観客を入場させた場合の感染防止策やその効果を確認する実証実験を行うことになりました。

現在、プロ野球Jリーグなどの観客の数は収容人数が1万人を超える会場では、その半分までが上限となっています。

こうした中、神奈川県などは今月30日から来月1日まで横浜スタジアムで行われるプロ野球の試合で、満員に近い観客を入場させ、最新の技術をつかって感染防止策やその効果を検証する実証実験を行うことになりました。

具体的には、高精度のカメラをつかってマスクをしていない人を見つけられるか検証するほか、試合後のスタジアム周辺の混雑の様子を球場内に映し出し、帰宅の分散化に効果があるかどうかも確認します。

また、スーパーコンピューターを活用して、試合の声援で唾などの飛まつがどの程度、広がるかについてもシミュレーションするということです。

これについて神奈川県の黒岩知事は「横浜スタジアムは来年のオリンピックの会場でもある。大規模イベントを行うためのガイドライン作りに役立つよう対策の効果を検証したい。取り組みが、オリンピック成功に向けた大きな一歩になることを期待している」と話していました。

 

NHKニュースより)

 

出典:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201015/k10012665621000.html

 

 要するに神奈川県、横浜スタジアムDeNAなどが「人体実験」をやろうとしているわけだ。

 なお、今月30日から来月1日まで横浜スタジアムで行われる予定のプロ野球の試合というのは阪神戦であって、セ・リーグでは広島戦に次いで観客動員が見込まれるカードとされる*1

 しかし、「来年のオリンピック」なんか本当に開催されるんだろうか。もうすぐ来年のプロ野球の日程が組まれるが、今年の当初の予定と同じように、DeNAとヤクルトが主催戦を東京ドームでやらされる馬鹿げた日程になるんだろうか。いい加減にしてくれ。

*1:最近は読売の人気が低下している上、おそらく首都圏の読売ファンなら読売の試合は東京ドームで見る機会が多いからだろうか、横浜スタジアム神宮球場の試合では読売ファンはそんなに多くない。DeNAやヤクルトにとっても読売戦の比重はずいぶん下がっていて、両球団とも読売戦を地方で開催することが増えている。

国内の新型コロナウイルス感染症の週間新規陽性者数3,793人、死亡者数40人(2020/10/10-16)

 身の回りでは飲食店の閉店が異様に増えている。主に居酒屋、ラーメン屋、蕎麦屋などだ。新しい店も、かなり古くから、というのは10年以上前になると現在の住所には住んでいなかったから知らないわけだが、当地に引っ越してきた頃からあった店も閉じてしまった。

 しかし新型コロナウイルス感染症はいっこうに終息の気配を見せない。このところ6週間も週間の新規陽性者数はほぼ一定程度だが、10/10-16の1週間は、その直近6週間の中では新規陽性者数が、少しだけとはいえもっとも多かった。下記はNHKニュースへのリンク。

 

www3.nhk.or.jp

 

 上記サイトから、昨日(10/16)の23時59分時点での新型コロナウイルス感染症の陽性者数と死亡者数を転記すると、陽性者数が92,167人、死亡者数が1,665人となっている(クルーズ船・ダイヤモンドプリンセス号を除く)。先週の時点(10/9)では陽性者数累計が88,374人、死亡者数が1,625人だったから、今週は陽性者数3,793人、死亡者数40人だったことになる。先週は陽性者数が3,499人、死亡者数は31人だったから、陽性者数は294人(8.4%)、死亡者数は9人(29%)、それぞれ増加した(但し、先週は先々週と比べて陽性者数、死亡者数とも減少していた)。週間の死亡者数を陽性者数で割った値は1.05%であり、先週の0.89%より微増した。8月1日以降の累計では陽性者数は55,778人、死亡者数は652人となった。「致死率」は1.17%。

 どういうわけか、直近6週中5週までもが、前週土曜日から金曜日までの新規陽性者数の10の位が「9」だな。100の位は、「4」が2度、「6」が二度で、1000の位は5週とも「3」だった(4連休のあった週だけは2千件台だった。検査数が少なかったためだろう)。だから毎週同じような数字になって「またか」と思うのだが、今週だけは100の位が「7」だった。だから、先週までの5週のうち新規陽性者が多かった2週より、今週は100人ほど新規陽性者が多かったのだ。

 このままだと、新自由主義経済政策にご執心の菅義偉政権の下、新型コロナウイルス感染症の脅威が再び増すのではないかと危惧される。もっとも、この文言は毎週のように書いているから「狼少年」かと思われるかもしれない。しかし、直近6週間では最多の新規陽性者数を記録した数字の上からも、感染がいつ顕著な増加傾向に転じても不思議はない。

筒美京平死去

 私は筒美京平の死去について感慨を多く持つ人間なのだけれど、いつか読書ブログに書いたような理屈っぽい記事を書いて公開するのもどうかと思っていたので何も書かずにきた。

 最初に結論を書くと、筒美京平とは「日本の歌謡曲の西洋化を完成させた人」ということになろうか。少しだけ理屈をこねればそれは「機能和声に支配された音楽」であって、人聞きの悪い言い方をすれば「西洋音楽による植民地支配」の完成というべきか。昔、柴田南雄(1916-1996)*1という現代作曲家が、世界中のどの国でもポップスは同じような西洋化の道をたどる」という意味のことを書いていたのを読んだ記憶がある。立ち読みでそれを知ったのは1981年頃だったか。柴田のような現代作曲家にとっては、というよりワーグナーよりあとの西洋の作曲家にとってそれは、解き放たれるべき束縛だったのだろう。しかし、21世紀の今に至るまで、彼らがそれに成功してきたようには思えない。そういえば故武満徹(1930-1996)は日本の歌謡曲が大好きだった。

 

sumita-m.hatenadiary.com

 

 以下引用する。

 

偶然ながら、最近、脳内ジュークボックスで太田裕美の「木綿のハンカチーフ」が1週間に1度くらいかかっていたのだった。

 

 私の場合は、筒美京平の訃報を知る1か月前の9月12日に、あるきっかけから「太田裕美 ゴールデンJ-POP THE BEST」という、20年以上前に出た2枚組のCDをiTunesに移してあったのを引っ張り出して聴いていたのだった。太田裕美以前には、筒美京平南沙織に多くの曲を提供してきた。私は「南沙織 ゴールデンJ-POP THE BEST」も持っているのだが、こちらは太田裕美ほどには面白くない。筒美京平は1970年代半ば頃から一段と洗練の度を増したかのようだ。とはいえ小学生の頃には南沙織の「色づく街」(1973)が大好きだった。国鉄甲子園口駅から阪神国道(国道2号線)に向かう商店街でよく流れていた。蛇足ながら、私はなぜか阪神タイガースのファンにはならなかったが、大のアンチ読売にはなった。

 

筒美京平は(TV番組どころか)公の場に顔を出すことも殆どなく、どんな顔をしているのかということも知らなかった。 

 

 そういえばそうだ。私も「報道ステーション」で初めて筒美京平の顔を知った。有名歌手が死ぬと異様なほど長い時間をかけて訃報を報じるこの番組だが、筒美京平の死はいやにあっさり流してしまった。

 

今回の訃報をきっかけに、記憶を手繰り寄せて、古いCDを引っ張り出してきたり、YouTubeで検索したり、或いは脳内ジュークボックスを再生したりしている人も少なくないと思う。筒美京平という鍵言葉でどんな曲を想起したのか? これによって、生活史の一端というか自己(self)の一端が顕わになってしまうかも知れない。私が再生しているのは、「ブルー・ライト・ヨコハマ」も「真夏の出来事」も「魅せられて」も勿論そうだけど、上の記事で言及されていない曲だと、「飛んでイスタンブール」(庄野真代)、「東京ららばい」*5中原理恵)、「たそがれマイ・ラブ」(大橋純子)といったところだろうね。

 

 私の場合は太田裕美でも南沙織でもなく「また逢う日まで」(尾崎紀世彦, 1971)が真っ先に再生される。いつもそうだ。先月もそこから太田裕美を思い出したのだった。しかし、「生活史の一端というか自己の一端が顕わになってしまう」とは、実にうまいこと言いますねえ。今回の記事からいろいろ分析されても仕方ないかなと思いながら書いています。

 

 ところで上記リンクの記事で引用された朝日新聞デジタルの記事*2によると、筒美京平(本名・渡辺栄吉)は「元々はクラシックのピアニストを目指していた」のだそうだ。さもありなん。だから太田裕美の「夏風通信」*3みたいに自在な転調を繰り返したあと最終的にはサビで5度上に落ち着くという凝った曲が作れるんだ。ただ作曲家のあり方としては典型的な「保守派」の人だったと思う(もちろんそうでなければ歌謡曲の人気作曲家にはなれない)。その点では少し前に安倍晋三にすり寄るコメントを発して顰蹙を買った松任谷由実と共通している。筒美京平といえば「歌謡曲」であって、今の「J-POP」とは断絶しているかのような幻想を持っている人も少なくないかもしれないが、もちろんそれは誤りであって、両者は完全に連続している。たとえば、今世紀初めごろに鈴木雄大という人がMISIAに提供した「飛び方を忘れた小さな鳥」の転調を聴くと、私は前述の「夏風通信」を思い出してしまうのだ。両者は転調のコード進行こそ全然違うが、「自在な転調を繰り返したあと最終的にはサビで5度上に落ち着く」という明確な共通点がある。そしてそれは完全に「西洋音楽の機能和声」の掌の上で踊る音楽なのだ。「日本のポップスの西洋化」が行き着いた地点だというのが私の認識。

 いや、最後は結局理屈っぽい話になってしまった。

*1:吉田秀和(1913-2012)と仲が良かったらしい。

*2:https://news.yahoo.co.jp/articles/df06620abda0b4662c48353949d52a1e8f1ea033

*3:アルバム「こけてぃっしゅ」(1977) 収録曲。