http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/kishii/tv/news/20070709ddm012070163000c.html
以下引用する。
起死回生の奇手はない
大荒れの国会が閉幕し、政界は29日投開票の参院選挙に向けて一斉に走り出した。最大の争点は「年金問題」で、安倍晋三首相と政府与党にとっては、猛烈な逆風の中での選挙戦となる。与野党の勝敗ラインは、与党が過半数割れに追い込まれるかどうかだが、現状では過半数の維持は難しい情勢だ。
4日朝のTBS系テレビ「みのもんたの朝ズバッ!」で、みのさんは「安倍内閣の支持率は下がるばかりだが、参院選を前に“起死回生”の手はないもんですかね」と聞いてきた。
私は「妙手、奇手はないですよ。とにかく『年金』で失った国民、有権者の信頼をいかに取り戻すかに尽きるでしょう。そのためには、具体的な救済策を着実に実行する以外にないし、原因究明と責任追及も忘れてはならない」とコメントした。
約1年前の本欄(6月5日付)は「またまた社会保険庁」の見出しが躍っていた。
「社保庁がまたまたやってくれた。信じ難い壮大なムダ遣いや不祥事で『解体的出直し』が求められているのに、今回は収納率アップのための『不正免除』事件」と書き出し、底なし沼のような社保庁の体質を取り上げた。
特に、こうした不祥事や事件、疑惑を逆手にとって、社保庁改革法案を葬り去ろうとする動きについて「どこまでも“懲りない組織”の改革は容易ではない」と書いた。
この時の改革法案は結局廃案になった。こうした経緯も踏まえて、先の国会には「非公務員化」する事実上の“解体”法案が提出された。
5000万件の「消えた」「宙に浮いた」年金記録は、政府与党内で「法案つぶしのための社保庁の捨て身のクーデター」とか「社保庁の特異な体質を持った労組の“自爆テロ”だ」という見方が広がった。
参院選を前に、官公労を支持母体とする民主党を意識したプロパガンダの側面があるにせよ、有識者会議のメンバーとして社保庁改革に携わった立場で言えば、クーデターや自爆テロ説もあながち的外れとは思えない。
その意味では、批判の多かった強行採決と、国会の会期延長だったが、社保庁“解体”法と、“天下り”あっせん禁止を柱とする公務員制度改革関連法が成立したことは、大きな前進だった。
しかし、それによって歴代の政府与党が免責されるはずもなく、将来を見据えた年金制度の抜本的改革が急務になった。
(毎日新聞 2007年7月9日 東京朝刊)
安倍を助けてくれと岸井に泣きつくみのもんたと、何とか安倍を助けようと、どちらかというと安倍に批判的な毎日新聞の紙面から浮いてしまう駄文を載せる岸井の苦悩がよく伝わってくる(笑)。