kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

自民党総裁選報道〜フジとテレ朝は狂騒、NHKとTBSは冷静?

私は日本テレビ系列の番組は、稀に土曜朝の辛坊治郎の不愉快な番組を見る以外はほとんど見ない。

だから、日テレを除く4局の比較になるが、日曜朝のテレビ番組を見ると、自民党総裁選の扱いが局によって違っていて興味深い。

フジの「報道2001」では、立候補を表明した7氏のうち4氏と、残り3氏の「応援団」を集めて、にぎやかにショーをやっていたが、すぐに退屈してしまい、8時になると同時にTBSの「サンデーモーニング」に切り替えた。なお、与謝野馨氏は告示日前にはテレビ出演はしないそうだ。

こちらは、岸井成格はいるものの、論調の主導権を握っていたのは寺島実郎で、7候補が全員「日米同盟重視」の立場をとっていてその点の議論がないことを突いていた。番組のフリップは、7候補の「日米同盟重視」に、小沢一郎の「国連重視」を対照させていたが、寺島は「日米関係を基軸としながら、対中、対露関係など多面的な外交を行わなければならない」と言っており、これこそもっとも現実的な保守の考え方と感心した。番組でも指摘していたが、数年前と比較して、ドルは対ユーロで7割下落しているが、円も対ユーロ6割の下落をしている。サブプライム問題によってグローバルな金融システムが危機に瀕している現在、日米同盟重視(というより対米従属)の従来路線を不問に付す自民党総裁選の議論は不毛なのだ。当ブログの過去記事および「きまぐれな日々」でも紹介した『環境エネルギー革命』アスペクト、2007年)をアンドリュー・デウィットとの共著で出版した金子勝は、再生可能エネルギーの開発推進の必要性に言及していた。

寺島・金子両氏とも、パラダイム変換が求められるこの時に、それを考慮しない自民党総裁選騒ぎを厳しく批判。金子勝は、推薦人20人も集められないのにテレビに出て売名に余念のない自民党議員たちをこき下ろしていた。

その「推薦人も集められない」人たちが狂騒を展開したのが、テレビ朝日の「サンデープロジェクト」。7人のうち、積極財政派の麻生太郎増税派の与謝野馨は出席せず、過激な新自由主義者5人が(石破茂は「過激」まではいかないかもしれないが)、自称「政策論議」をしていた。だが、郵政造反議員復党問題をめぐる責任論でエキサイトしていただけのあの茶番のどこが「政策論議」だったんだろうか。

田原総一朗は、新自由主義をアピールしようとしてこんな構成の番組にしたのかもしれないが、完全に逆効果で、視聴者は「カイカク」を競う5候補に呆れ返ったことだろう。

最後に、朝日新聞編集委員星浩が、山本一太に釘を刺した。「推薦人を集められなかったら、責任を取ってくださいよ」と。山本は口を濁したが、星は「政治は結果責任だから」と追い討ちをかけた。ふだん、あまり感心しない発言の多い星だが、これには溜飲を下げた。間違いなく山本は推薦人を集めることができず、次に山本と星がテレビ出演で同席した時、山本は星に糾弾されるだろう。

そもそも、山本一太に限らず、棚橋泰文小池百合子石原伸晃石破茂のうち、推薦人20人を集めた候補がいるのか。誰もいないか、石破茂だけのいずれかだろうと私は推測している。彼らのやっていることは、総選挙をにらんだ売名行為に過ぎないのではないかとは、誰もが感じていることだろう(参議院議員山本一太は謎だが、単なる目立ちたがり屋なのだろう)。

「カイカク」派がこのザマでは、自民党総裁選は麻生太郎与謝野馨の争いになるだろう。私の予想通り、過激な新自由主義者たちは惨敗を喫し、きたる総選挙でも、コイズミチルドレンの「ほぼ全滅」を含んで、「ネオリベの凋落」はますますはっきりしてくるのではないか。

なお、NHK日曜討論は、古賀誠太田昭宏菅直人三氏へのインタビューであり、自民党総裁選の狂騒からは距離を置いていた。中では、古賀誠が「コイズミカイカク」の継承は必要と言いながら、その舌の根も乾かぬうちに、「コイズミカイカクは市場原理主義だった」と明言したことと、総裁選のすぐあとに総選挙がありますが、とアナウンサーに聞かれて、うなずいていたことが注目された。つまり、自民党執行部は既に「脱カイカク」へと舵を切っており、麻生太郎または与謝野馨を押し立てて、臨時国会冒頭の衆議院解散から総選挙までの流れを乗り切るつもりのようだ。