朝日・毎日・読売の三大紙の社説が、一斉に東京都の「新銀行東京」からの撤退を主張した(産経はスルー)。
朝日の社説はなぜか比較的手ぬるくて、「暴力団」という文字列も出てこないほどだが、毎日新聞はなかなか手厳しい。
(前略)石原都知事の「こうした事態を招いた旧経営陣の責任は重い」とのコメントには合点がいかない。銀行設立構想やマスタープラン作りは都の責任で行われた。大半の出資を行い、役員も送り込んだ。第三者ではない。
複数の都議による融資の口利きが明らかになっているように、新銀行東京は政治的にも使われてきた。それも都は容認してきたと見ざるを得ない。審査を簡素にした融資拡大の営業姿勢も都の意向を受けたものだったろう。累積赤字を消すための400億円の追加出資や減資も都主導で行われた。新銀行東京は「都営銀行」そのものなのである。
石原都知事は、いの一番に責任を感じなければならない立場にいる。(後略)
だが、三大紙の中でもっとも厳しいのは、意外や意外、読売新聞である。
(前略)
簡単に融資してくれる新銀行東京に群がったブローカーは多い。都議ら政界関係者が口利きをした事例もある。不正に手を貸した内部関係者も一人ではあるまい。捜査の手を緩めず、すべてあぶり出さねばならない。都では2000年にも、中小企業向け融資の信用保証制度をめぐって、都議やブローカーが暗躍し、東京地検特捜部に摘発されている。不正の構図は同じだ。
これでは、新銀行という形で新たな利権を作り直した、と勘ぐられても致し方あるまい。
石原慎太郎知事は「元行員の個人的行為で銀行は被害者でもあるが、事態を招いた旧経営陣の責任は重い」との談話を出した。納得する都民は少ないだろう。
読売新聞は新銀行の構想段階から、無担保融資でリスクを的確に見抜けるのか、融資に政治家が介入する恐れはないか、失敗すれば都民の税金がつぎ込まれる、と懸念される点を指摘していた。
今日の状況を招いた原因は、新銀行東京に発足前から内在していたもので、旧経営陣のみに責任を押しつける姿勢はおかしい。(後略)
この読売の社説を読んでいると、都知事・石原慎太郎こそ逮捕されなければならないのではないかと思える。これを読んだあと、朝日の社説を読み返すと、あまりの生ぬるさに愕然としてしまう。それでも、この件をスルーした産経よりはマシなのかもしれないが。