kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「偽装CHANGE勢力」伝説を疑う〜前原誠司より小沢一郎の方が「小さな政府」指向だった

小沢一郎の秘書が逮捕された件を機に、民主党に対する関心が高まっている。

このところ、「自End」ブログ界隈では、「偽装CHANGE勢力」批判がよくなされているが、率直なところ、私はこれを疑っている。
この手の議論では、コイズミ一派のほか、民主党の「前原誠司一派」が「偽装CHANGE」勢力と見なされて、「真正CHANGE」勢力の敵として批判されているが、その「真正CHANGE」勢力とされる人たちの中には、平沼赳夫城内実のような極右が含まれているのである。何度も書くが、平沼や城内は、日本国憲法をベースに、これを修正していく「改憲」ではだめだ、明治憲法のような性格を持った「自主憲法」の制定を求めている人たちである。一方、民主党前原誠司枝野幸男は、平沼一派よりはずっとリベラルな立場から、改憲を求めている人たちである。それなのに、前原らを「敵」、平沼らを「味方」と規定する倒錯した主張には、私はずっと前からついていけずにいる。

経済政策が違うではないか、前原らは新自由主義者で、平沼らは「反カイカク」派だ、と言われる方は多いだろう。だが、それも果たして本当だろうか。平沼赳夫は、サッチャーの教育カイカクの信者だが、これは、教育に市場原理を取り入れたもので、新保守主義的であると同時に、十分すぎるほど新自由主義的なのである。

また、2004年当時の民主党議員の経済政策を論じた掲示板を見つけた。

民主党スレッド - 1068688996 - したらば掲示板

317 名前:元豪腕幹事長 投稿日: 2004/01/22(木) 15:54
代表戦にむけて動きはじめた模様です

民主党 「小沢派」旗揚げ 旧自由の若手ら50人規模
http://news.goo.ne.jp/news/sankei/seiji/20040122/NAIS-0122-04-03-06.html
民主党小沢一郎代表代行を支持する若手、中堅議員が党内に政策集団「小さな政府研究会」
旗揚げすることが二十一日明らかになった。小沢氏自身は不参加だが、旧自由党若手議員に加え
民主党内の保守系議員らが参加し、当面は当選一、二回生を中心に五十人規模の集団を目指す。
小沢氏が率いた旧自由党議員らは解党後、派閥活動を停止しているが、同グループが核となり、
九月の代表選では小沢氏擁立の動きも加速しそうだ。
 「小さな政府研究会」の結成は河村たかし達増拓也一川保夫鈴木克昌衆院議員、海野
参院議員らが呼びかけた。二十日夜に都内の居酒屋で開かれた準備会合には、一、二回生を中
心に約二十人が出席した。二十二日に初会合を開き、週一回のペースで定期会合を持つ予定だ。
 旧自由党は昨年の衆院選で党内最大派閥に匹敵する衆参三十人の勢力を維持。
派閥活動は控えてきたが「小沢氏の一声でいつでも動き出せる状態」(旧自由党幹部)。
加えて、五十八人いる初当選議員には「小沢氏シンパ」が多く、新グループも「旧自由党
出身者より、それ以外の議員の参加者の方が多い」(中核メンバー)という。
 小沢氏周辺には合併後の人事で小沢氏の幹事長起用を求める声もあったが、菅氏は
現執行部の存続を決めた。それ以降、小沢氏は執行部に対して半身の構えを貫いており、
九月の代表選での動きが注目されている。

ここで、自由党出身議員など、民主党右派の議員たちは、政策集団を設立して、小沢一郎を担ごうとしていた。その名もなんと、「小さな政府研究会」。
なぜか小沢一郎はこのグループに参加しなかった。実はその頃既に小沢は「転向」していたのだが、2004年1月の時点では、小沢は典型的な「小さな政府」論者だと見なされていたのだ。

334 名前:香川県 投稿日: 2004/01/24(土) 03:25
そして党内のグループや支持基盤。
無用な対立は避けてほしいものです。

>人数的な主流…保守
>党の成立過程からの本流・執行部…リベラル
>地方組織など…旧社会

保守・自助重視・小さな政府
「小さな政府研究会」・・小沢グループ
「政策研究フォーラム21世紀」・・旧民社と旧自由の一部
政権交代を実現する会」・・鳩山グループ
リベラル・公助重視・大きな政府
凌雲会=朋友会」・・前原・枝野・仙谷グループ
国のかたち研究会」・・菅グループ
新政局懇談会」・・横路・旧社会グループ

断っておくが、この「香川県民」は私ではない。

ここでは、なんと前原誠司枝野幸男仙谷由人らの「凌雲会=朋友会」は、「リベラル・公助重視・大きな政府」を目指す勢力として位置づけられている。さすがに、これにはすぐ反論があった。

335 名前:さきたま 投稿日: 2004/01/24(土) 04:49
>>334
前原・枝野グループは「高朋会→凌雲会」です。
横路Gはよく分かりませんが、前原・枝野Gや菅Gは、リベラルですが大きな政府派ではないと思います。
特に前原、枝野、仙谷らは、徹底した構造改革財政再建論者ですから。
菅も大きな政府は否定しているはずです。

元「国のかたち研究会」事務局長の河村たかしが「小さな政府研究会」世話人で、
「高朋会」の世話人だった海野徹も「小さな政府〜」に参画しているあたり、明確な線引きは難しいですね。

つまり、前原らは「リベラルだが構造改革論者」と見られていたわけだ。これは、前原が代表を務めた頃も変わってなくて、「前原誠司 小さな政府」でググると、

http://www.dpj.or.jp/news/?num=8418

前原 我々は小さな政府には与しない。効率的で人に温かい政府を目指す。

http://www.maehara21.com/blog/straight.php?itemid=928

他方、小さな政府と言いながら、官の聖域にはメスが入れられず、むしろ巧妙化、悪質化、ステルス化(つまり、国民の目に見えにくくなっているということ)していると言っても過言ではない。天下りは減るどころかむしろ増加している。

(中略)

それでいて、小さな政府志向は様々なセーフティネットを破壊し続けている。どのように重い障害を持っていても、サービスを受ければ一律1割の負担を押し付けられる障害者自立支援法の「改悪」はその代表例だ。また、今の医療の問題は、医師不足、病院における医師と看護師の過酷な勤務実態による頻発する医療ミスなどを是正することが主眼に置かれなければならないが、医療費の公的負担を減らすため、過去最大の診療報酬の引き下げや高齢者の一部負担増などに終始した。一昨年の年金改正、昨年の介護保険見直しもそうだったが、サービス内容の改善ではなく、どうして国の負担を軽減するかのみに議論が偏っている。

天下りや官製談合、そして特別会計が抱える問題などは温存され、一律的な小さな政府路線でセーフティネットに穴が開き、個人間の格差、地域間の格差が拡大した。これが小泉政治5年半の「実績」ではないだろうか。外交も中国や韓国との関係が冷え切ったばかりではなく、強力な関係が誇示された日米関係も、実務レベルでは交流や人脈が先細り、極めてお寒い状況になってしまった。

などなど、「真正CHANGE勢力」と称される人たちと寸分たがわぬ主張が展開されている。少なくとも、前原誠司は「小さな政府」論者であるとはいえない。むしろ、確かに菅直人が唱えた「第三の道」に近い主張をしている。
私自身は、前原誠司らの「徹底した構造改革財政再建論」は間違った主張だと考えているが、上記に紹介した部分については、前原の主張は正しいと思う。「真正CHANGE」論者は、これを超えた主張などしていないはずだ。唯一特徴的なのは、「真正CHANGE」論者がご推薦の政治家たちが「郵政民営化」に強く反対していたことだが、この法案には民主党議員もみな反対だったし、もちろん前原誠司も例外ではない。

以上を考えると、なぜ前原誠司が「偽装CHANGE」勢力批判者に蛇蝎のように憎まれ、平沼赳夫城内実が崇拝されるのかさっぱり理解できないのである。平沼や城内の人権感覚は、例の「国籍法改正」の一件で明らかだろう。極端な排外主義者である。何しろ、「城内実」でググろうとすると、「城内実 差別 - Google 検索」とか、「城内実 レイシスト - Google 検索」などという複合検索語が現れるほどだ(笑)。

私は、小沢一郎がかつてはタカ派かつ新自由主義支持の政治家だったことにつけ込んで、自民党の中でも最右派だった平沼一派を小沢民主党と組ませようとたくらむ人たちがいて、「偽装CHANGE勢力」批判者たちは、まんまとそれに乗せられたか、あるいは自ら進んで加担したのではないかと考えている。

たとえば私自身の政治的立場からいうと、前原誠司に対しては不支持であり、特にタカ派の外交・防衛政策や「構造カイカク」を推進する立場には大反対だが、それでも極右の平沼一派と比較した場合、はるかに前原誠司の方と距離が近い。とにかく、平沼らは日本国憲法を全否定する人たちなのだ。平沼は、「教育基本法」の「改正」に骨を折ったが、城内実にいたっては、「教育勅語があるから教育基本法なんてどうでも良い」とまで妄言を吐いた人物である。そんな、「真正保守」を自称する彼らと、「右も左もない」といって共闘しよう、などという主張が「リベラル・左派」のブログ界隈で大手を振ってまかり通っている現状は、私には全く信じられないものである。