kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「保守本流」と「真正保守」の区別もつかないネット右翼の劣化

中川昭一を「保守本流」だ、などと書いているネット右翼が多いことには呆れる。極右が自称しているのは「真正保守」であって、「保守本流」といえば、吉田茂池田勇人前尾繁三郎大平正芳伊東正義宮沢喜一加藤紘一といった系列の人たちであり、「真正保守」にとっては政敵にあたる。そんな自民党についてのイロハも知らないのが、ネット右翼の実態なのである。

中川昭一 保守本流」でググってみて上位に引っかかったブログ記事を以下に晒す。

http://geocities.yahoo.co.jp/gl/tabitonokumasan/view/20091005/1254978975

 麻生総裁辞任後の総裁選のことで書き込んだこととも重複しますが、総裁候補に保守本流の考えを持つ人が立たなかったのは、二大政党論に賛成できない立場でも違和感を感じました。その保守本流の切り札の一人が、中川昭一氏と見ていました。

保守本流の考えを持つ」人間なんて、今の自民党には加藤紘一くらいしかいないが、いちおうその流れをくむ谷垣禎一が立候補した上当選したではないか。但し、谷垣は民主党の路線を「大きな政府を目指している」と評したり、亡くなった中川昭一を「国士」とほめたたえるなど、「保守本流」路線からはずいぶん外れてきている。しかし、「保守本流の切り札の一人が中川昭一」と書いているところを見ると、ブログ主はそもそも「保守本流」とは何か、ということを全くご存知ないらしい。

http://cotodama-6000.iza.ne.jp/blog/entry/1254998/ のコメント欄。このブログ記事自体も香ばしいが、下記のようなコメントがついている。

Commented by 近未来 さん

ご無沙汰しております。
 保守本流の中川氏の死は、非常につらいです。次世代の保守の指導者と思っておりました。
 小生の中では、安倍氏、麻生氏、中川氏、平沼氏、城内氏が今現在の保守本流を歩んでいる方々との思いがあります。城内氏は一番最初に「人権擁護法案の危険性に気づき、周囲の方々にその危険性を啓蒙された人です」。

こいつも「保守本流」と自称「真正保守」の区別が全くついていないおバカさん。

http://sugata346.blog.shinobi.jp/Entry/378/

これは、ブログ記事自体はなんてことない右派の意見表明だが、コメント欄に無知な人間がいる。

中川さん、情けないぞ!!


>新しい保守のグループをつくろうと話していた

本当に私もそれを願う1人でした。中川さん、安倍さん、麻生さん、若手なら稲田さん、城内さん・・・。自民党が下野せざるを得なかったのは『保守本流』の精神を忘れたからです。それを再興する義務が中川さんにありました。

でもね、死者に鞭打つ言葉に聞こえますが、中川さん、これはあなたのミスです。油断です。こんなに大事にせねばいけない時期に、弱って睡眠薬に頼る生活は、あなたが悪い。「政治は結果。政治家は結果」を一番ご存知だったじゃないですか!

POLE 2009/10/04(Sun)19:00:35 編集

だから『保守本流』の精神なんて「真正保守」たちは最初から持ってないんだって。
ただ、このコメントは中川昭一を責めているあたりの冷静さは持っている。「政治は結果。政治家は結果」とは、中川昭一自身も口にしていたのだろうか。

おまけ。保守本流とは何か。これらのブログ記事のすぐ下に検索された。
保守本流とは - はてなキーワード

  1. 保守政党の中で理念的に中核となる集団。自民党で言えば宏池会
  2. 最も伝統を受け継いでいるグループ。元祖。本家。

真正保守」たちは「保守傍流」なのである。そもそも、「保守本流」とは宏池会登録商標みたいなものだから、この名前を名乗れないために「真正保守」なる言葉を発明したのではなかろうか。

私が面白いと思うのは、「本流」は「傍流」を必ずしも排除しないけれども、「真正」という言葉には「ニセモノを排除する」というニュアンスがあることだ。「真正保守」とは、「純化」という言葉も連想させる、いかにも極右たちが自称しそうなネーミングだと思う。