kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

突っ込みどころ満載の、城内実による鳩山首相所信表明演説批判

城内実が、ブログで鳩山首相所信表明演説を批判している。
http://www.m-kiuchi.com/2009/10/27/firstpolicyspeech/

 郵政民営化の見直しの箇所はよしとして拍手した。また、社会的弱者や地方に目を向けたところなどは、小泉竹中型構造カイカク路線の弱者切りすて政策の見直しとして評価できる。
 しかし、「東アジア共同体構想」や「東西のかけ橋」をはじめとする一連の鳩山総理の発言などを聞くと、残念ながら日本の国益を守ろうという気概が感じられないのである。率直に言って、友愛精神(fraternity)を基調とする世界連邦政府日本支部長の演説あるいは純粋まっすぐな青年の主張のように聞こえてならなかった。

切り出しでは形だけ鳩山首相に敬意を表しているものの、すぐに鳩山首相の演説を「純粋まっすぐな青年の主張のように聞こえてならなかった」などと揶揄している。こういう人を小バカにしたような文章を、「上から目線」というのである。

そして、そのあとからになると城内実の本領発揮だ。

 鳩山総理の下で民主党が推進する行き過ぎた脱官僚・政治主導路線は、本来あるべき政治(=国民)主導ではなく、結果として(特定の)党主導路線に走りがちである。そのへんのところは、ファシズムソ連共産党中国共産党北朝鮮労働党のようなたったひとにぎりの党エリートがすべてを牛耳るような全体主義路線の教訓を思い起こせば明らかである。立法府と行政府(=官僚組織)との適度な権限配分あるいは緊張関係こそ、日本の国益擁護と国民・市民の幸福実現につながると確信している。

なんと城内実大先生は民主党を「ファシズムソ連共産党中国共産党北朝鮮労働党」にたとえている。このあたりについては、ぜひ喜八大先生から講釈を賜りたいところだ。ただ、「立法府と行政府(=官僚組織)との適度な権限配分あるいは緊張関係こそ、日本の国益擁護と国民・市民の幸福実現につながる」というくだりでは、突如まっとうな議論になっている。

それに続く、

 また、経済学的にも乗数効果が高く、わが国の景気浮揚にとって有効な社会資本整備(=内需拡大)を、悪しき公共事業と決めつけ、これまで民主的なルールにのっとって決定された事項を革命的な手法で白紙に戻すようなやり方は、小泉竹中路線と軌を一にする。

という部分は、「革命的な手法で」という余分な文句を除けば、このエントリの中でもっとも納得できる主張だ。しかし、腑に落ちないのは、城内実乗数効果の低い公共事業を乗数効果の高い公共事業へと振り替えていく議論を普段から積極的にしているようには全然見えないことだ。環境問題に関連して、「グリーンニューディール」の話題もある。公共事業による景気浮揚を狙うのであれば是非熱く議論しなければならない話題だと思うのだが、城内実が熱心であるとは聞いたことがない。

そもそも、城内は民主党政権旧ソ連や中国の共産党支配にたとえているのだが、旧ソ連は大規模な自然改造政策をとって、そのあげくアラル海を干上がらせてしまうという、究極の自然破壊を行った。ところが、城内がその旧ソ連にたとえている民主党は、「わが国の景気浮揚にとって有効な社会資本整備(=内需拡大)を、悪しき公共事業と決めつけ」る、というのだから、旧ソ連共産党独裁政権がやったこととはベクトルの向きが正反対である。民主党政府を批判するのであれば、ソ連や中国と同じ社会主義政権だ、というのではなく、小泉自民党政権と同じ新自由主義政権だ、として批判するのが自然だし、そういう立論ならかなりの説得力が生じるだろう。しかし、城内はなぜかそういう行き方はとらない。ここらへんは、自民党や右翼に配慮しているのだろうと思う。

締めの文章は、全くいただけない。

 結局、小泉竹中構造カイカク路線は、総理の靖国参拝を通じた似非右翼ポピュリズム民主党脱官僚政治主導路線は革命的な左翼ポピュリズムという側面がぬぐえない。
 鳩山(小沢)民主党政権がお隣の韓国のノムヒョン政権のような結果にならないことを祈るばかりである。

繰り返しになるが、民主党の路線が小泉自民党と同質、というのならまだ筋は通っているが、「左翼ポピュリズム」ってなんじゃらほい。なんか、単に適当な罵倒語を持ってきて、民主党政府に悪態をついているだけにしか見えない。それどころか、城内こそポピュリストだと私は思うのだが、今回はこの話題はやめておく。

最後に、

 (追伸:昨日来よりいただいているみなさまからのコメントを読ませていただき勇気づけられました。その結果「ブログの更新一時休止」を撤回いたします。)

なる余計な文句がついているが、それは前のエントリを受けたものだ。「これはひどい」としか言いようのない駄エントリである。
http://www.m-kiuchi.com/2009/10/26/shinnenblogshibarakuyasumimasu/