kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「勇気ある自エンドクラブ」よ、どこへ行く

かつて「三大左派ブログ」と称されていたのは、『きっこのブログ』、『世に倦む日日』ともう一つなんだっけ、忘れてしまったが、3つめに本当に「三大」に入るのか怪しいブログがあって、風の便りによるとそこはすっかりレイシズムブログになってしまったらしい。

世に倦む日日』は、有料制になって読者数がかなり減ったと思われ、あそこやあそこなど、『世に倦む日日』よりアクセス数が多いんじゃないかと思われるブログもあるし、山口県光市母子殺害事件などについて見られる厳罰論をはじめとして、『世に倦む日日』には賛成できないことも多いけれども、それでも普天間基地移設問題に関して、鹿児島県の諏訪之瀬島に新基地を建設する案を提案するなど、意欲を見せている(http://critic6.blog63.fc2.com/blog-entry-175.html)。

きっこのブログ』も、一頃あまりに民主党鳩山由紀夫への肩入れが過ぎて、本当に社民党支持ブログなのかと訝ることも多く、やはり賛成できないエントリが以前より相当多くなったけれども、11月9日付(『きっこの日記』では11月8日付)の「ハトポッポよ、沖縄の声を聞け!」では、

今まで64年間もガマンして来た沖縄の人たちにしてみれば、わずか数年を焦って中途半端なことをされるよりも、この先、何年掛かろうとも、アメリカの基地は完全に排除してもらいたいって思ってるに決まってんだろ。普天間飛行場の移設問題に限って見たって、この移設案が持ち上がってから、13年間、ずっと反対の座り込みを続けて来た辺野古のオジィやオバァたちの願いは、ただひとつ、「県外移設」であり「国外移設」に他ならない。「自分たちのとこに来ないのならどうでもいい」なんてミジンも思ってない。

民主党だって、一応は国民に支持されたんだから、もっと自信を持って、もっと胸を張って、アメリカや自公政権負の遺産と堂々と渡りあって欲しいと思う今日この頃なのだ。

と書いていて、これには共感した。

ついこの間までだったら、この主張に対して、「自エンド」ブログから賛同の声が次々と上がったはずだ。だが、今ではそうはならない。なぜだろうか。

きっこのブログ』や『世に倦む日日』と比較して、同じ「左派」と言われる人気ブログながら、その論調が異彩を放っているのが植草一秀氏のブログである。植草氏のブログについて論評した『大脇道場』の記事から引用する。
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-1485.html

 この普天間基地問題に関わって、どうしても言及しておかなければならないブログ言論がある。家の道場のように弱小ならともかく、この有名ブログは悪影響が大きすぎるのではないかと・・・。 植草一秀氏は、鳩山所信演説の次の日の10月27日 、「平成の無血革命成功を期す鳩山首相演説」で、次のように述べていた。

 沖縄の普天間基地移転問題は、これまでの自民党政権が米国との間で、キャンプシュワブへの移転で合意をしてしまっているために、取り扱いが極めて難しい問題であるが、鳩山首相は次の認識を示した。

 「沖縄の人々が背負ってこられた負担、苦しみや悲しみに十分に思いをいたし、地元の皆さまの思いをしっかりと受け止めながら、真剣に取り組んでまいります。」

 普天間飛行場の返還を確実にするためには、県外への移設を確定する時間的余裕はないと考えられる。嘉手納基地への統合かキャンプシュワブへの移設を軸に着地点を見出す必要があると考えられる。

 その後、皆さんもご承知のように、鳩山政権は普天間基地移設問題での迷走を続け、岡田外相の、「県内以外には無い。県外、国外は公約して無い」発言は、上記決議のような沖縄県民はじめ国民の批判の的となったのである。

 植草氏は、そうした経緯を憂慮し、11月 9日 (月)には、「普天間基地移設日米外交問題解決への提案」というエントリーを掲げた。

 「これまでの日本外交は「対米隷属」と呼ぶべきものであった。日本が米国の隷属国であるかのごとく、米国の言いなりになることが日本外交の基本とされてきた。」

 「日米間の当面の最大の懸案は、沖縄普天間飛行場の移設問題である。米国はこれまでの自民党政権との間で、沖縄県名護市にあるキャンプシュワブ地域に新しい基地を建設することで普天間飛行場を返還する合意を成立させた。」

 「鳩山政権が反省しなければならない部分もある。外交は国と国の関係であるから「継続性」を重視する必要がある。」

 「自民党政権がキャンプシュワブへの移転で米国と合意を成立させてしまった現実が存在する以上、この点を踏まえない訳にはいかない。」

 「短期日のうちに県外または海外への移設を決定することは不可能だろう。岡田外務相は、こうした認識の下で、嘉手納基地への一時的な飛行場移設案を提示したが、嘉手納地区住民から強い反発を受けて立ち往生している。新構想を提示するための事前の根回しが行なわれたとは考えられない。」

 「こうした状況を踏まえると、キャンプシュワブ地域への移転を決断しなければ、普天間返還そのものが流れかねない状況になってくる。しかし、大山鳴動して、結局キャンプシュワブ地域への移設で着地させれば、鳩山政権の政策運営全体に対する強い批判が生じることを免れない。」

 「このように考えると、キャンプシュワブ地区に大型滑走路を伴わないヘリコプター離着陸施設を建設するとの、新たな計画を描き直すことが検討されるべきではないのか。」

以上、ポイントを引用したが、なんということは無い、岡田外相と同じことを言っているに過ぎない。
岡田との違いは嘉手納か、辺野古。結論的には、県内キャンプシュワブ・辺野古に、置くしかないと。

ブログ主の友さんは、さらに厳しく植草氏やそのフォロワーたちを批判する。

 口先では、「対米従属外交の転換」を主張し、現実では「アメリカが当初要求していた短い滑走路のヘリ基地を県内キャンプシュワブ沖合い、即ち辺野古に、でいいんじゃないか」ということだ。自民党外交を批判しながらその域を出きれず、踏襲するしかないという話に過ぎない。

 民主党を「応援」するリーダー的ブログが、実は民主党の悪いところを後押しするとは、民主党を支持した国民から見れば民主党の足を引っ張っているといえるものでは無いだろうか。

 すでに沖縄の民意は13年間一貫して明らかで、鳩山政権がとるべき態度は、自らの公約と沖縄の声を、オバマ大統領に伝え本腰を入れた外交交渉を進めることである。鳩山さんは、「沖縄県民のことをよく考えて、最後は私が決断する」といってるんだから・・・。即ち、「米軍基地は要らない、出て行ってくれ」と、しっかりチェンジを迫ることだ。

 民主党に提案すると言うなら、植草氏は、以上のように提案してこそ「総選挙で民意に支持された民主党」支持という一貫性を保てるというものだが、いかがだろう。それとも、彼もまた民主党本体とともに迷走のお付き合いをするしかないのだろうか。そして、無批判に植草氏を持ち上げこれについて行くブロガー諸君も。

 横槍を入れる積もりも、ケンカを売るつもりもありませんが、マスメディアをとことんこき下ろしながら、こんなことが無批判に「信奉」されたり、見逃されるブログ言論とは一体なんなのか、と申し上げておきたい。

 一体、政権交代は何のために、だれのためにあったのか、と。

私も友さんに同感である。

思い出されるのは、「勇気ある自エンドクラブ」とかいうやつで、確か3月に西松事件が起きた直後だったと思うが、きっこさんや植草元教授をはじめとして、数人のブロガーらが、権力の弾圧に堂々と立ち向かうヒーロー、ヒロインたちだということになっていたと記憶している。そして、当時小沢一郎を批判していた「はてな村」に棲息するヘタレブロガー連中は、「裏切り者」であり、「自公の工作員」だったはずである。

しかし、自民党の政策を「ふしゅう」する民主党政権を批判しない植草元教授やそのフォロワーたちはいまや権力(民主党政権)べったりだとしか言いようがないのではないか。あの輝かしい「勇気ある自エンドクラブ」は、いったいどこへ行ってしまったのだろうか。

もっとも、中には、「表向き権力を掌握しているのは鳩山内閣小沢民主党だが、今でも事実上権力を握っているのは、『裏の権力』である、CIA→電通マスゴミ東京地検→司法・警察という『悪徳ペンタゴン』だ」などと主張する人もいる。

政権交代前に、かの人が「右派や左派など意味なし!体制擁護派と体制批判派こそが存在している!」と書いた時、間もなく民主党が「体制」になるんだけど、そうなったらどうするのかなあ、と思ったものだ。そして、政権交代後の記事を楽しみにしていたのだが、政権政党支持と「反権力」を両立させる新理論には唖然とした。この論法なら、ご自身も植草元教授も永遠に「反権力」でいられるってワケだ。そのあまりのぶっ飛び方に、ビックルを一気飲みするのも忘れてしまった今日この頃なのだ。