kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

いついかなる局面でも「積極財政」政策をとるべきという考え方はおかしい

11/20 無駄探しの青い鳥は、自民党構造改革派と同じ: きょうも歩く は、賛同できるエントリかと思って読み始めたが、読み進むうちに、そうではないことがわかった。

ブログ主は、

どういうわけか日本人は、不景気でどうしようもないときほど、小さな政府を希求する政権を熱烈に支持し、不況をさらに悪化させる悪癖があるようだ。最初は 1986年の中曽根圧勝。円高不況のさなかである。次は1989年おたかさんブーム。社会党は消費税廃止という小さな政府路線で圧勝。次は1993年の細川連立内閣。金融の壊滅が始まったこのときに今日的な改革が始まる。次は不況のどん底が見えてきた2001年の小泉ブーム。雇用がなくなった2005年の郵政解散サブプライムローンの破綻での世界的不況の直後の2009年の政権交代

と書く。細川内閣や小泉内閣といった、不況期に財政再建を試みた政権の政策が間違っていたという主張には、私も同意だ。それらの中で、小泉構造改革の先駆者となった橋本龍太郎行政改革(1996〜98年)に触れていないことには大いに不満ではあるけれども。

しかし、このブログ主の主張で最大の問題点は、

次は1989年おたかさんブーム。社会党は消費税廃止という小さな政府路線で圧勝。

と書いていることだ。1989年というと、バブル景気の頂点の頃。政府の税収が大幅に増加した頃だ。財政学の教えるところ*1によると、

  • 景気基準による借金(130頁) = 不況時には、政府が需要をつくるために財政が借金をすることが認められる。好況で税収が増えた時に借金を返す。

ということになる。すなわち、この頃であれば、財政再建路線をとることは正しかったわけだ。それなのに、この好況時に竹下内閣は「バラマキ政策」を行った。これは、常識的に考えれば、バブルを過熱させる効果しかもたらさなかったはずだ。

それに、このエントリを読んでいると、ブログ主は消費税増税による福祉や社会保障の財源確保を主張しているようだが、逆進性の強い消費税増税による財政再建の問題点については、神野教授も

  • 借金をしていることで何が問題なのか(135頁) = 借金返済に金が使われると、国民生活や企業活動を支えるサービスができなくなる。また、所得再分配の機能を果たせなくなる。消費税は負担が逆進的なので、消費税増税による財政再建には、逆再分配が行われる危険がある。

と書いている通りだ。

結論として、ブログ主はいついかなる場面でも積極財政を求め、その財源としては税率を引き上げた消費税を考えていると私には読み取れたが、この考え方は硬直した思考に基づくものと言わざるを得ず、とうてい支持できない。