kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

注目に値するし支持もできる植草一秀氏の論考

亡国経済政策への誘導灯になる「デフレ宣言」: 植草一秀の『知られざる真実』 は、注目に値するし支持もできる論考だ。

日本では2010年にかけて、鳩山政権が超緊縮財政政策を実行するリスクが次第に強まりつつある。最近観測される日本株価下落傾向は、この政策リスクを反映したものと考えられる。

このなかで鳩山政権が「デフレ宣言」を発した意味を考察しなければならない。結論から言えば、「デフレ宣言」公表を影で操作しているのは財務省であると考えられる。財務省主導の経済政策運営は、過去に重大な失敗を繰り返していることを忘れてならない。経済政策運営の失敗は鳩山政権の致命傷になりかねないことを認識する必要がある。

拙著『知られざる真実−勾留地にて−』に、「デフレ」という言葉が用いられてきた背景を記述した。

 2001年に「デフレ」という言葉が広く流布され、日本経済の困難が「デフレ」と命名された背景に政治が存在した。

 「デフレ」の第一義は「物価下落」である。しかし、当時の日本が直面していたのは「物価下落」だけではなかった。

 日本経済は、「大不況」、「金融不安」、「物価下落」に直面していたのだ。経済状況を現実に即して表現するなら、「大不況」、あるいは「恐慌」の方が適切であったと考えられる。

 それにもかかわらず、「デフレ」という用語が用いられた。この用語法を誘導したのは財務省である。「デフレ」の第一義は「物価下落」である。「物価」の所管官庁は日本銀行である。つまり、日本経済悪化の責任を負うべきは日本銀行であり、日本経済悪化に対して率先して政策対応を示すべき期間は日本銀行である、との主張を展開するために「デフレ」という言葉が用いられたのである。

 今回、鳩山政権が「デフレ宣言」を発表した。発表と同時に、日本銀行による政策対応を求める声が広がっている。これこそ、財務省の狙いとするところである。財政政策に負担をかけず、日銀の金融政策にプレッシャーをかけようとするのだ。

 しかし、この判断は間違っている。日本銀行は超金融緩和政策を継続するべきだが、日銀の追加政策発動の余地は小さい。量的金融緩和政策が過去に採用されたが、その政策効果は限定されたものである。

 2010年にかけての最大の懸念要因は、財政政策が日本経済に強烈なデフレインパクトを与える可能性が高まっている点にある。2009年度の補正後予算が102兆円規模、国債発行金額が51兆円になることを踏まえると、鳩山政権が編成を進めている2010年度当初予算の92兆円規模、44兆円の国債発行金額は2010年度の日本のGDPを1.5〜2.0%ポイントも押し下げるものなのである。

 鳩山政権が経済政策運営を誤る可能性が生じている。財務省が政策運営を仕切り始めていることがその主因である。財務省は1997年度、2001年度と経済政策運営を誘導して、二度とも日本経済を崩壊に導いた。橋本政権はつぶれ、小泉政権も破たんすれすれの状況に追い込まれた。小泉政権が延命したのは、税金によるりそな銀行救済という禁断の金融行政に手を染めたからである。

現在の事態に、植草氏もエコノミスト魂を取り戻したと言うべきか、「悪徳ペンタゴン」云々という日頃の馬鹿げた記事ではなく、注目に値するし支持もできる論考を書いている。

こういうエントリこそ、植草信者、もとい支持者は、ブログで取り上げて議論してほしいと思うのだけれど...