kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

江副浩正が『取調べの「全面可視化」をめざして〜リクルート事件元被告・弁護団の提言』という本を出している

私はここ数日、非常に苛立っている。それは、民主党が「取り調べの可視化」に消極的な姿勢を見せているのではないかという疑念が一つ。民主党と検察が取引したのではないかという陰謀仮説を立てたくなる。そして、私自身も煽っている「取り調べの可視化」法制化を主張する声に対する反応がいたって鈍いことがもう一つの理由だ。あの熱狂的なことで知られる植草一秀信者にしてからが、教祖の植草一秀が取り調べの可視化を熱心に主張しているのに、信者たちの反応は鈍い。また、植草一秀小沢一郎と距離を置いている「左」側の人もやはり反応が鈍く、小沢一郎を助けることを潔しとしない空気でもあるのかと勘繰ってしまうほどだ。事実は、取り調べの可視化と小沢一郎の間には、何の関係もないとまではいわないが関係は極めて薄い。そして今の日本が、一度起訴されたが最後、ほぼ100%有罪になってしまう北朝鮮も真っ青の国である事実に鈍感な人間があまりにも多すぎることに対して、私は怒り心頭に発している。「東京(大阪、名古屋)地検特捜部は不要である」という、『広島瀬戸内新聞ニュース』の主張に、私は賛成だ。

前振りが長くなったが、sweden1901さんから当ブログにいただいたコメントを紹介する。

江川紹子氏「供述の任意性や信用性が問題になれば、裁判に長い時間を要することになり、真相の解明にも悪影響を及ぼすことを考えれば、これを機に、検察の捜査も含め、任意段階からの全面可視化を急いでもらいたい。」
kojitaken氏「これはその通りで、取り調べの可視化こそ焦眉の急。今の衆参両院の勢力分布から考えて、これは法制化できるはずだ。」

これに関連して。
kojitakenさんもすでにご覧になっているとは思いますが、2/7にkojitakenさんが「kojitakenの日記」で紹介された、北海道新聞高田昌幸記者のblogの1つ前のエントリー(2月2日)
http://newsnews.exblog.jp/d2010-02-02
は 3本ありいずれも大いにうなづけるものでした。そのうちの一つには、江副浩正氏が昨年10月に出した、『リクルート事件江副浩正の真実』の一部を引用していて、最近、二枚舌で話題になっている宗像紀夫リクルート事件の主任検事(当時)の江副氏に対する、ひどい尋問内容が暴露されているんですね。(私も遅ればせながらこの本を注文することにしました。)
以下、孫引きです。
<187ページから。以下引用>
 当時の私は毎週のように政治家を囲む朝食会や夕食会に出席していたが、政治家にリクルートの事業に関連する依頼をしたことは一度もない。調べられても、コスモス株を譲渡した政治家が収賄罪で立件されることはないと思っていた。ところが宗像検事は言った。
 「政治家の中から誰か立件できないか、合同会議で検討された。これだけマスコミに書かれると、政治家をあげないわけにはいかなくなった」
 「私は政治家へ頼み事をしたことはありません」
 「大局的見地からあなたに協力をお願いしたいんですよ。自民党2名、野党を1名あげたい」
(中略)
 「特捜は中立的、という世間の印象も大事なんでね。加藤のほかに自民党1名、野党1名を挙げる方針が決まった。仕方ないと思ってもらいたいんですよ」
 「そこであなたとのネゴシエーションなんだが。。。政治家の件では君を逮捕しない。4回も逮捕されたら、あなたの世間体も悪いだろう。僕もしのびないと思っている……早期に保釈する。求刑は起訴時に検査が決めるんだよ。悪いようにしないことを約束する」
<引用以上>

そしてこの本の書評をチェックしていたら、なんと産経新聞のweb siteにありました。
http://sankei.jp.msn.com/culture/books/091107/bks0911070810002-n1.htm
書評というより、この本の出版社である中央口論社からの宣伝のようですが、それはさておき、注目すべきは、この書評記事の最後に「なお、本書とペアを組む『取調べの「全面可視化」をめざして〜リクルート事件元被告・弁護団の提言』をいま編集中だ(12月刊、中央公論新社)。本書著者も「一被告人経験者の生の声」として一文を寄せている。併せてお読みいただければ、事件の内実がさらにわかるであろう。」と書かれていることです。
リクルート事件の捜査については、検察リークの観点からの検証とともに、やはり取り調べの可視化の観点からも十分な検証、反省が必要、ということだと私も感じています。

12月刊ということは、もう出ているはずだと思って調べてみたら、昨年12月16日に発売されていた。


取調べの「全面可視化」をめざして - リクルート事件元被告・弁護団の提言

取調べの「全面可視化」をめざして - リクルート事件元被告・弁護団の提言


もちろん、各人にはそれぞれの言い分があり、江副浩正の主張をすべて鵜呑みにすべきではないことは当然だ。しかし、これまでリクルート事件について語られてきたことは、ほとんどが検察側の視点に立ったものではなかったか。ここらで、リクルート事件についても再検証する必要があると思う。