kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「リベラルな新自由主義者」など存在しない

社民党は、連立政権に加わった以上は結果を出すための行動をしてほしかった。福島瑞穂党首は、内閣を去る時になってようやく意地を見せて「辞任」ではなく「罷免」にもっていき、政治家として鳩山由紀夫との力量の差をまざまざと見せつけたが、これほどの実力があれば、福島党首が本気を出していれば、連立内閣でも結果を出せた、特に普天間基地問題、労働問題、税制問題などで、日本の社会を良くするのに貢献できたのではないかと思う。

それをなしえなかった社民党及び福島党首の、連立政権与党および閣僚としての結果を私は評価しないし、社民党に赤点をつけるという意味をこめて、参院選では選挙区も比例区共産党に投票する。だから、元からの共産党支持者とは、投票行動は同じでも投票の動機は異なる。

ところで、「きまぐれな日々」に寄せられるコメントを見ていると、橋下徹は左派寄りの新自由主義者だなとと書いてきた人がいるが、とんでもない。左派と「新自由主義」は両立しない。そのロジックを、例によって神野直彦の著書から紹介する。


「分かち合い」の経済学 (岩波新書)

「分かち合い」の経済学 (岩波新書)


以下は、前掲書の「『小さな政府』でも財政支出は抑制できない」と題した節(136〜138頁)からの、当ブログ管理人による要約である。

 新自由主義の狙いは、富める者をさらに富ますことにある。「小さな政府」のドグマも、社会的支出の負担を減らすための方便にすぎない。「小さな政府」のドグマを掲げて減税を実施し、「均衡財政」のドグマを口実に、社会的支出を切り捨てようとするけれども、「小さな政府」にしたところで、経済成長が実現するわけではないので、上げ潮路線のシナリオのように、租税収入が規定どおりの自然増収を実現してくれはしないが、仮にアメリカのように経済成長を実現したとしても、財政の支出を削減することは困難となる。

 というのも、「小さな政府」は格差と貧困を溢れ出させ、社会統合を困難にする。社会的統合を困難とする社会的亀裂を放置しておくわけにはいかない。社会的亀裂が入り、犯罪行為や社会的逸脱行為が蔓延すれば、強制力を行使する社会的秩序維持機能を強化せざるをえなくなる。

 アメリカのカリフォルニア州などでは、警察官や刑務所などにかかわる治安維持費が、教育費を上回る勢いで伸びている。さらに、アメリカには、世界に巻き起こした格差と貧困によって生じる世界秩序の混乱を鎮圧するための膨大な軍事費が存在している。つまり、政府の機能が小さく、「分かち合い」の経費は小さくとも、財政支出は抑制することが困難となる。

 日本でも悲劇は同じで、「分かち合い」の経費は削減できても、警察と刑務所にかかわる経費は削減できない。公務員は大幅に削減されているにもかかわらず、警察や刑務所における職員は増加の一途をたどっている。そのため、「分かち合い」に携わる職員は大幅に削減される。

神野直彦 『「分かち合い」の経済学』(岩波新書、2010年) 136-138頁より要約)


以下は私による拡大解釈だが、新自由主義者の目指す「小さな政府」は、必然的に治安維持機能の強化を招くから、新自由主義新保守主義の親和性が高いのは必然である。つまり、「リベラルな新自由主義者」など存在しない。だから、出発点においてはリベラルだった人間が、新自由主義にかぶれるにつれ、その人間は右傾化し、国権主義者(新保守主義者)になっていく。

貧困にあえぎ、「国民の生活が第一」を掲げる政党に藁をもつかむ気持ちで一票を投じた人々の思いとは裏腹に、小泉構造改革の全盛期にそれにかぶれた民主党の国会議員の多くが、右傾して格差解消に全く熱意を示さないどころか、消費税増税へと大きく傾くのも、「小さな政府」そのものが治安維持機能強化の必要性その他のために、新自由主義者が意図するほど財政支出を縮小することができないことと関連づけられる。彼らは、新自由主義のドグマにとらわれているために、直接税(所得税法人税)は減税こそすれ増税など思いもよらない。

前原誠司松下政経塾系の民主党新自由主義者たちがこの流れに乗っているばかりではなく、菅直人のような市民運動出身の幹部党員でさえ、この流れには抗しきれないのが現状であるように見える。

だからこそ、社会民主主義を掲げる社民党に歯止め役を期待したのだが、社民党はその役割を果たすことが全くできなかった。

何度でも書くが、神野直彦社民党ばかりではなく、民主党の経済政策にも強い影響力を持つ財政学者である。だが、その神野の主張は、平均的な民主党支持者の目から見ると「異端」に見えるのではなかろうか?

自民党の支持者は言うに及ばず、民主党支持者のうちかなりの数の人々までもが、「財政再建(というより財政均衡)のための歳出削減や消費税増税」を当然のこととして受け止めているように見える現状に接して、私はそう疑わざるを得ない。

新自由主義を信奉する人々がかくも多い日本という国の方が、それこそ世界から取り残されて「ガラパゴス化」していると私は思う。異端なのは、消費税増税を支持している、国民の7割にも及ぶという人たちの方ではないかと思うのだけれども、いかがだろうか。