kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

小沢一郎を唯一再評価した点は「消費税増税反対」

昨日の政局で、当ブログはさほどではなかったけれど、『きまぐれな日々』は、昨年の総選挙2日後の9月1日付以来のアクセス数を記録した。

一連の政局報道では、民主党内の小沢グループと反小沢グループの動きなどをマスコミ(『報道ステーション』)が熱心に追っていたが、それには私は興味をそそられなかった。明日になれば決まる話であり、昨年の小沢辞任の政局では手を挙げようともしなかった菅直人が素早く手を挙げた時点で、もうシナリオはできあがっていて、昨年の鳩山由紀夫が今年の菅直人に相当するだけだと私は考えている。

小沢一郎のシンパは、誰が総理大臣になっても小沢一郎は幹事長をとどめるべきだと言うが、小沢一郎自身に幹事長再任のつもりなど全くないに違いない。なぜならそんなことをしたら参院選での民主党惨敗は避けられないからだ。そうなると、総理大臣以上に小沢一郎自身が責任を厳しく追及されて、それこそ再起不能のダメージを受ける。

菅直人が総理大臣就任後にどういう手に出てくるかは、あらかた想像がつくのだが、民主党代表及び総理大臣になるかどうかもわからない段階だから書くのは差し控える。

社民党の件では、辻元清美阿部知子以上に民主党寄りの人間になっていたことは、昨年の総選挙の頃から気づいていたが、又市征治重野安正をあそこまで小沢一郎が取り込んでいたとは知らなかった。小沢一郎に取り込まれた社民党が、たとえば共産党に接近するとかそういう話は考えられないし、それでなくとも歴史的に社民党共産党は修復不可能な間柄にある。今後、社民主義勢力が拡大する局面が生じるにしても、主役は社民党共産党以外から生まれる、というか両党以外から生み出すしかないようにも思える。もちろんそれは民主党自民党といった既成の(新自由主義系の)大政党ではない。

小沢一郎にすっかり取り込まれた社民党、というのも頭の痛い話だが、昨夜の『報道ステーション』で小沢一郎の見解として報じられたのは、小沢一郎が消費税増税に積極的でなく、社民党との関係を修復できる政治家が望ましいと言っていたらしいことだ。

これを聞いた私は、鳩山内閣と同じくらいの期間しかもたなかった細川護煕内閣が1994年に崩壊した時には、小沢一郎は消費税増税を図って社会党を追い出したことから政局になって、羽田孜内閣を経て自社さ政権の成立を招いたのに、16年後にその正反対の意図を持つようになるとは、と呆れた。

だが、呆れはしたけれども「消費税増税反対」の小沢一郎の意見は正しい。そしてこの点で小沢一郎に同調するマスコミはほとんどないし、これまで「消費税増税反対」をはっきり打ち出していたのは亀井静香共産党しかなかった。「国民新党」と書かずに「亀井静香」と書いた理由は、亀井静香がいなくなれば国民新党の主張などどう変わるかわかったものではないからである。

まず直接税から手をつけて、足りない分を消費税増税で補うのが、福祉国家を目指す場合の手順であって、「小さな政府」を目指すのであれば、直接税に手をつけるだけですませる、というのが、民主党社民党のブレーンである神野直彦の考えるシナリオであるが、新自由主義のドグマにとらわれて直接税を上げるなどもってのほかと考えている財務官僚とマスコミに世論がリードされている。小沢一郎の「政治とカネ」は確かに大きな問題だし、解釈改憲論者である小沢一郎の安全保障政策を私は支持せず、だからこそ社民党小沢一郎に取り込まれている現状は歓迎しないが、今回の政局で小沢一郎を再評価したたった一点は、小沢一郎が消費税増税反対論者であることがわかったことだ。たとえそれが16年前からのあからさまな転向であろうとも。残念ながらこの立場は、世論においてさえ少数派だが、「国民の生活が第一」というならこの立場しかあり得ない。この点では、菅直人は簡単にマスコミの論調に流されるので、あまり信用できない。だから、私が最も注目する財務大臣の人事も、正直言って期待していない。

なんだかんだいって、まだまだ社民主義勢力は超少数派である。30年間も新自由主義プロパガンダが行われたのだから仕方ないともいえるけれども。