税制の議論に関する朝日新聞の論調は本当にひどい。
小泉・竹中の市場原理主義よりもっとひどい。小泉一派は、市場原理主義を妨げる消費税増税には消極的だったが、朝日新聞は小泉構造改革に賛成の立場でありながら、消費税に関してはもっとも強硬な増税派だ。
その朝日新聞のスタンスを2次元プロットして痛烈に批判したのが、『広島瀬戸内新聞ニュース』及び「労働組合・生存のためのメーデー広島実行委員会」(略称:生存ユニオン広島)のブログだ。
朝日新聞にかく乱され、「誤爆」してはいけない : 広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)
【税制改革論議】 朝日新聞にかく乱されて「誤爆」してはいけない - 「労働組合・生存のためのメーデー広島実行委員会」(略称:生存ユニオンひろしま)
上記のブログ記事に掲載されている2次元プロットを下記に示す。
この2次元プロットにおいて、「消費税大」で、「お金持ち・大手課税小」の朝日新聞は、「たちあがれ日本」とともに「経済極右」に分類されている。これには大拍手。確かに、朝日新聞や「たちあがれ日本」(与謝野馨)は、市場原理主義者の小泉・竹中よりもっとタチの悪い「経済極右」といえる。
もう一つ、このプロットで溜飲を下げたのが、「消費税小」で「お金持ち・大手課税小」の「リバタリアン」にプロットされている「一部民主支持者」と「植草教授」が、「お金持ち・大手課税大」の神野直彦・東大名誉教授を「誤爆」しているイラストだ。
厳密には、神野氏を「誤爆」したのは某有名ブログであり、「植草(元)教授」が「誤爆」したのは小野善康阪大教授だが、小野教授も所得税の累進課税強化を持論とする経済学者だから、プロットに誤りはないと思う。某有名ブロガーは、ブレが非常に激しく、しばしば立ち位置が大きく変化するから、プロットの対象外かもしれない。
ところで最近、リベラル・左派系ブログ界では、気に入らない人間を「新自由主義者」呼ばわりするのが流行っていて、当ブログにもそういう傾向があったが、あまりにも安易にこの言葉がレッテル貼りに使われているので、少し方針を改めることにする。
私の場合、「新自由主義者」という言葉を、「格差拡大のプロジェクトに、自覚的にせよ無自覚にせよ加担する人間」という意味で使ってきたが、リバタリアンに位置づけられる人々が、増税に言及する人間のすべてを「新自由主義者」呼ばわりするような風潮が出てきた現在、同じ言葉で相手を貶める議論は水掛け論になるだけだと考えるからだ。
税金には何でも反対、税金を払ったって政府が賢く使ってくれるはずなどないという素朴な感情は昔から日本では根強かった。私は、大平元首相が1979年に言い出した「一般消費税」が潰れたことは良かったと思ったが、同時期にアメリカなどで注目されるようになった「納税者の反乱」を持ち上げる傾向には反発していた。後者は所得再分配を快く思わない富裕層の反撃であることが明らかだったからだ。
「リバタリアン」に位置づけられている植草元教授について、私の他に指摘する人は誰もいないのだが、彼の本職は経営コンサルタントである。だから、植草元教授が富裕層や大手企業への課税強化に賛成するはずなどないのである。実際、彼はあらゆる増税に反対している。
別に植草元教授がどんな主張をしようと個人の自由だが、一部民主党支持者がリバタリアン的な立場をとる植草元教授の主張に寄り添いながら、所得再分配の強化を主張する人たちを「新自由主義者」として非難することは筋が通っていない。それだけは強く主張したい。
前記リンク先ブログの、下記の指摘は鋭い。