kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

民主党最大の敗因は「成果をあげられなかった」こと

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/20100713/CK2010071302000058.html に、今回の参院選での各党の得票率(東京選挙区)を、前回の参院選及び昨年の衆院選と比較したグラフが出ている。

これを見て気づくのは、昨年の衆院選と比較すると民主対自民の得票率の比において、民主党は退潮しているが、前回の参院選と比較すると、その比は3対2でほとんど変わっていないことだ。2007年には民主39%、自民26%で、民主は自民の1.5倍だが、今回は民主31%、自民21%で、やはり民主は自民の1.5倍だ。

つまり、民主と自民はその得票率の比を保ちながら、パイを小さくしており、その分を「みんなの党」に取られた形だ。

語られ尽くしている通り、地方の一人区で自民党民主党に圧勝したことが勝敗を分けたが、コアな民主と自民の支持者は投票先を変えていないだろうから、このことからいえるのは、「民主党離れした人も自民党離れをした人も民主党候補に投票しなかった」ことだ。

今回の民主党の敗因をめぐって、小沢信者は菅直人が消費税増税を持ち出したこと一点に絞ろうとするし、菅直人びいきの人は小沢一郎鳩山由紀夫の「政治とカネ」の問題や普天間基地移設を巡る鳩山前首相の迷走を指摘する。

どっちも「ひいきの引き倒し」としかいいようがなくて、たとえば税制の問題では鳩山前首相は3月に国会で「法人税減税が必要だ」と答弁している。一方で財政出動を必要とするマニフェストを昨年の衆院選前に示しながら、法人税減税とはなにごとか。「消費税を次の衆院選まで議論もしない」という公約と矛盾するではないか。だが、小沢信者たちは誰かさんの唱える「良い小さな政府」なる幻想を盲信するような人たちだから、そんなことには無頓着だ。

一方、「政治とカネ」の問題はともかく、普天間については鳩山内閣の副首相だった菅直人首相にも大きな責任がある。小沢や鳩山のせいだ、いや菅直人のせいだという議論は不毛だし、間違っている。小沢も鳩山も菅も、等しく責任を負うべきなのである。

今回の民主党の敗因は何か、というと、その最大の要因は「民主党政権がこの10か月で結果を出せなかったこと」だ。政権交代後最初の国政選挙は、アメリカの中間選挙に典型的に見られる通り、新しい与党が議席を減らすのが普通だ。つまり、政権の成果が問われるのだ。だから、小沢信者、とりわけ植草一秀菅直人槍玉に挙げる姿は見苦しいの一語に尽きる。植草が出来の悪い替え歌を作って、それをブログに上げた馬鹿馬鹿しい記事を見た時には絶句した。
『菅敗』-菅直人首相参院選完敗の歌-: 植草一秀の『知られざる真実』
こんな植草のような人間が「ブログ言論」の質を下げる。

私は、これまでの民主党政権において、鳩山内閣は「民社党内閣」であり、菅直人内閣は「松下政経塾内閣」、あるいは「凌雲会内閣」であったと考えている。つまり、前者は大企業の御用労組が引っ張る内閣で、後者は大都市に住む大企業男性正社員の利益代表たちが引っ張る内閣だった。だから、両方とも(菅内閣は発足したばかりだが)、昨年の「国民の生活が第一」のスローガンを信じて民主党に投票した国民の期待を裏切ったのだ。

「旧民社」にせよ「松下政経塾」にせよ、90年代後半以降、民主党が大きくなって政権交代に至るまでには欠かせない勢力だったから、政権交代後、一度は権力の座を謳歌したかったことはわかるし、鳩山政権と菅政権の失敗は、それぞれ避けがたいプロセスだったと思う。しかし、いつまでも「旧民社」や「松下政経塾」が大きな顔をしていたのでは、国民のための政治など永久になされない。

「旧民社」や「松下政経塾」を引きずり下ろすべきは、国民なのである。