衆院予算委員会で菅直人首相と自民党の谷垣禎一総裁との論戦が行われたが、消費税に関するやりとりは、茶番以外のなにものでもなかった。
谷垣総裁は、消費税増税分の使途について、自民党は全額社会保障に充てるといい、「成長分野」に使うんじゃないでしょうね、と菅首相に質問し、菅首相は曖昧な答弁に終始した。
だが、私が菅首相と谷垣総裁に聞きたいことは、「財政再建に使うつもりじゃないでしょうね」とか、「法人税減税の穴埋めに使うつもりじゃないでしょうね」ということだ。たとえば民主・自民両党の蝶番役として消費税増税を推進したいらしい「たちあがれ日本」の与謝野馨などは、「消費税増税による財政再建」の意図を隠そうともしない。もちろん、これだと逆再分配になる。
与謝野の謬論と比較すると、「不況の時の財政赤字は、むしろ好ましい」という、昨日の論戦で谷垣総裁が暗に批判のターゲットにしていたであろう小野善康の主張の方がよほどまっとうだ。「不況時の増税」ばかりがマスコミにクローズアップされ、その財源として小野善康が消費税増税を肯定したことはいただけないが、小野善康はもちろん不況時には大規模な財政出動を行え、という当然の主張をしている。
そもそもなぜ不況の時に限って財政再建を政治家やマスコミが言いたがるのか、全く意味不明である。逆ではないか。不況だから財政出動が必要なのである。