kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

小沢一郎の主張は本当に「社会民主主義的」なのか?

民主党代表選だが、菅直人小沢一郎両候補の接戦が伝えられている。私には、小沢一郎の勢いが伸び悩んでいるように見える。

それは、一つには山岡賢次松木謙公森裕子ら「武闘派」の取り巻きや、「小沢先生が日本を正しい方向へ導いて下さいます」などと口走る信者系国会議員が小沢一郎にマイナスイメージを与えていることが影響しているだろう。それなら小沢一郎陣営は、著名人が応援していることをPRすれば良いと思うが、ネットで調べてみたところ、小沢一郎を応援すると公言している著名人の主張にはろくなものがない。たいていの著名人は、菅を応援するでも小沢を応援するでもない立場をとっているが、そりゃそうだろう。あんなしょぼい論戦では、どちらも応援するわけにはいかないと思うのが普通だ。

小沢一郎を応援する著名人の典型例が魚住昭である。日刊ゲンダイに魚住が載せた記事のコピペが出回っているが、菅直人の政策は新自由主義だが、小沢一郎の政策は極端に言えば社会民主主義だ、などと言っている。

果たして社会民主主義者が「所得税・住民税の大幅減税」など言い出すだろうかと魚住昭には聞いてみたいが、「小沢信者」と化した魚住昭には、何も答えられないだろう。

菅直人の消費税増税論を批判する小沢一郎が、財源捻出の手段として「一括交付金」を持ち出したことにも、私は疑問を感じたが、「きまぐれな日々」でそのことに触れても、小沢信者から下記のコメントが返ってきただけだった。
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1106.html#comment10111

kojitakenさんの小沢批判にも、すこしデリカシーに欠ける傾向はありませんか(笑)。たとえば地方交付税の問題では、ひもつきの補助金のように使途を限定されなければ、無駄がはぶかれ、もうすこし地方行政はやりやすくなると首長たちは考えてきたようです。


言うに事欠いて、「デリカシーに欠ける」とはね。大いに笑わせていただいた。もう少し小沢一郎大先生の意図を「ソンタク」せよとでも仰りたいのだろうか?

それはともかく、このコメントで問題なのは、ひもつきの補助金を一括交付金にする際、小沢一郎が金額を3〜4割カットする意図をテレビであからさまにしゃべったことを無視している点にある。

そりゃ、使途を限定されなければ、無駄を省ける分だけ地方行政はやりやすくなるに決まっている。だがそれは、金額が削減されなければの話だ。

小沢一郎が言うように、金額を3〜4割もカットしたらどうなるか。それこそ、小泉・竹中の「三位一体の改革」の再来ではないか。テレビで小沢一郎の話を聞きながらそう思ったし、実際菅直人は小泉・竹中の名前を出して、「(小泉・竹中同様の)福祉切り捨てにつながらないか」と突っ込んでいた。

小沢信者諸賢が大嫌いなマスゴミ毎日新聞にもこの件を取り上げた記事が出ている。


http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100907ddm008010143000c.html

民主党代表選:小沢氏主張「一括交付金」 地方、補助金減を懸念


<分析>


 民主党代表選で、マニフェスト政権公約)の実現を訴える小沢一郎前幹事長が、財源捻出(ねんしゅつ)をめぐり「補助金を一括交付金化すれば、現在の6、7割に減らせる」と打ち出したことが波紋を広げている。もともと一括交付金化は民主党政権公約で掲げた方針だが、補助金を減額することについては地方自治体側が強く反発。菅直人首相も補助金で財源を捻出する手法には懐疑的で、代表選の主要な論戦テーマに浮上している。【坂井隆之、久田宏】


◇「財源捻出の手段」に反発 7割、削減困難な社会保障


 「私の近しい首長*1に聞くと、本当に自由に使えるなら今の補助金総額の5割で十分やっていけるという話がある。補助金を全部自主財源として地方に交付するだけでも、かなり多くの財源が見込める」。小沢氏は菅首相との共同会見などで、再三にわたってこう主張し、独自の財源論を展開している。


 小沢氏は、補助金を支出するにあたって国が定める基準が地方の実情に合わず、過剰な設備や社会保障サービスが行われていると主張、一括交付金で地方の自主性に任せれば国の支出を大幅に減らせると説く。また、「中央がやれば大手企業が全部受注して、地方にはお金が回らない。(地方が自主的に行えば)表面上は金額が減るが、地方に回るお金は増える」とも主張。地方分権推進と、マニフェストの財源確保、地域振興が同時に実現するという算段だ。


 これに対して、菅首相は、「補助金をやめて交付金にしても、額そのものを2〜3割削るのはなかなか難しい」と小沢氏の主張に反論する。補助金総額21兆円のうち、約7割を削減が困難な社会保障費が占めるためで、「一括交付金化しても地方の自由裁量の拡大につながらない」との見方は、地方にも根強い。


 さらに、小沢氏が主張する交付金化による財源確保は、地方の財源縮小にもつながりかねないことから、地方自治体側からは懸念や批判の声が相次いでいる。麻生渡全国知事会長(福岡県知事)は6日、東京都内で記者会見し、「そもそも(補助金を)地方の創意工夫に基づいたものにするという話だった。いつのまにか財源捻出論になっている」と、小沢氏の補助金削減論をけん制した。


 知事会や市町村会は従来から、地方の自主財源を増やすよう求めている。警戒しているのは小泉純一郎内閣の下で行われた「三位一体の改革」の再現だ。地方自治体の財政基盤と自立性を強化する」とうたったものの、04〜06年度で補助金削減額が4・7兆円にのぼったのに対し、税源移譲は3兆円にとどまった。民主党の一括交付金化の議論に対しても、当初から「国の一方的な財源捻出の手段とすることがあってはならない」として、総額削減をけん制してきた。


◇「権限縮小につながる」 各省庁も必死の抵抗


 ひも付き補助金の一括交付金化は本来、民主党が昨年の衆院選マニフェストで打ち出した政策だ。昨年12月には、当時の鳩山由紀夫首相を議長に地域主権戦略会議を設置。関係閣僚のほか、橋下徹大阪府知事ら地方の代表も加わって一括交付金化などを議論し、今年6月に「11年度予算から一括交付金化を段階的に実施する」との方針を盛り込んだ大綱をまとめている。


 しかし、補助金の廃止が権限の縮小につながるとの危機感を抱く各省庁は、一括交付金に対し強い反発姿勢を示した。同会議が実施したヒアリングでは、「国が政策の必要性を認めて交付するので、使途に全く制約がないことはありえない」(国土交通省)、「保育や介護は国を挙げて取り組むべき重要施策で、国が主体的に取り組む必要がある」(厚生労働省)などの声が続出した。


 地域主権戦略大綱の策定では、国の関与を抑えるために試案の段階で盛り込まれていた「一括交付金は地域が自己決定できる財源」との文言が、最終的に削除されるなど骨抜き化も目立った。メンバーの神野直彦東大名誉教授は「国交省が反対して削除された」ことを明かす。


 戦略会議では今後、一括交付金の対象となる補助金や、交付金の配分などの議論を進める方針だが、各省庁が激しい抵抗を続けることも予想される。これに対し、小沢氏は「民主党が国民の期待を担って誕生した以上、どんなに官僚の抵抗が強かろうが約束を実行するために政策を断行しないといけない。私はやることに自信を持っている」と、強い態度で臨む姿勢を示している。


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■ことば


◇一括交付金


 国が地方自治体に使途を特定して支出する補助金や負担金(ひも付き補助金)を、基本的に地方が自由に使えるお金として一括交付すること。民主党は09年衆院選マニフェスト政権公約)で、ひも付き補助金の一括交付金化を明記。地方の実情に応じて効率的に財源が活用できるほか、補助金申請にかかわる経費や人件費が削減できるとしている。


それでなくとも、小沢信者たちの大嫌いな神野直彦・東大名誉教授が、「一括交付金は地域が自己決定できる財源」との文言が、国交省の反対によって最終的に削除されたと指摘するように、官僚によって骨抜きされ、本当に地域が自己決定できる財源になるかも危ぶまれているのに、金額が3割カットだ4割カットだなどになったら、それこそ「小泉構造改革の再来」以外の何物でもなくなってしまう。

一括交付金を財源捻出の手段にするという小沢一郎の政策は、小泉・竹中の「三位一体の改革」といったいどう違うのか。小沢一郎の支持者には、この疑問に答えて欲しいものだと思うのだが、誰も答えてくれない。

これでは、「小泉・竹中の構造改革は悪い構造改革小沢一郎構造改革は良い構造改革」、「小泉・竹中の『小さな政府』は悪い小さな政府、小沢一郎の『小さな政府』は良い小さな政府」ということになってしまうではないか。

それにしても、論戦を通じて、小沢一郎が「サービスの大きな政府を目指す」ビジョンを明言した場面には、一度も遭遇しなかった。その点は菅直人も同じだが、魚住昭曰く「菅直人新自由主義者」だそうだから、魚住昭の主張と矛盾はない。しかし、小沢一郎の主張は「社会民主主義」からあまりに遠く隔たっているのではなかろうか。

残念ながら、魚住昭は(江川紹子森永卓郎ともども)「終わった文化人」だと断じざるを得ない。

*1:岩手県知事を務める小沢一郎子飼いの達増拓也あたりを指すと思われる。