kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

思い出す1978年の自民党総裁予備選。党員・サポーター票はどうなるかわからない

これまで民主党代表選の情勢調査記事を載せずに沈黙を守っていた朝日新聞が、一面トップで「菅氏、地方でリード」とブチ上げ、小沢信者の怒りを買っている。


http://www.asahi.com/politics/update/0910/TKY201009100540.html


リンク先に掲載されているグラフを見ると、見出しにある地方議員票以上に、党員・サポーター票で菅直人小沢一郎を圧倒しているように見える。朝日新聞がこれまでに固めたとしている票は、国会議員と地方議員の合計で菅直人が414ポイント、小沢一郎が420ポイントであり、僅差とはいえ小沢リードだ。これを党員・サポーター票で逆転すると朝日新聞は見ているわけだ。

本当だろうか?

有権者が限定されている政党の党首選では、無作為抽出によるサンプリングは使えない。だから、朝日新聞は国会議員や地方議員を通じて党員・サポーター票の状況を調べたという。ここで、菅派の議員と小沢派の議員で、票固めの技術に巧拙があったとして、というか巧拙があるだろうと思うのだが、朝日新聞はそこまで考慮に入れているのだろうか。

私は、福田赳夫大平正芳が争った1978年の自民党総裁予備選を思い出している。

当時、田中派の数の力を恐れていた福田赳夫は、予備選で圧勝して、一般党員の支持を背景にして、田中派・大平派以外の国会議員たちに「党員の声を裏切るのか」と圧力をかけて再選を目指す戦略をとっていた。当時福田赳夫が口ぐせにしていた言葉が「天の声」だった。「天の声」というと小沢一郎を指すと勘違いされる方がおられるかもしれないが、「民の声は天の声」ということである。つまり、福田赳夫は党員の支持で大平正芳を圧倒していると自ら信じて疑わなかった。

しばらく前に、図書館で当時の朝日新聞の縮刷版をめくってみたが、予備選における福田赳夫の優勢を予想していた*1。当時の朝日新聞がどういう調査法に基づいて調べたかまでは確認しなかった。

ところが、自民党総裁予備選の結果は、誰も予想しなかった大平正芳の圧勝で、戦略が根底から覆された福田赳夫は、「天の声にもたまには変な声がある」という名言を残して、総裁選本選には進まず、自民党総裁及び日本国総理大臣を辞任する意向を明らかにした。

この時勝ったのは大平正芳だが、勝利に最も大きく貢献したのは大平の盟友・田中角栄の集票力だった。小沢一郎はその田中角栄の直系。今回も32年前の再現があってもおかしくないと思う次第である。

*1:もちろん実際に確認するまでもなく、当時の朝日新聞福田赳夫有利をずっと報道していたことはよく覚えている。