無伴奏で歌へ君が代 〜 続「荒城の月」論 - kojitakenの日記 の続き。シリーズ第3弾である。
スコーピオンズは？ - Living, Loving, Thinking, Again より。
私はスコーピオンズを知らなかったのだが、リンク先記事へのid:AmahaYuiさんのコメント*1と、当ブログ記事へのid:greenstoneさんのコメント*2で、この件はすぐに解決した。
AmahaYui 2010/12/08 07:54
(。--)ノ ハーイ、これですな。→http://www.youtube.com/watch?v=fXIr27OdDGE
朝あいほんで検索してみてみたけど、見事に半音あがっていて、
原曲のことよくわかってますｗ
greenstone 2010/12/08 21:17
二つの『荒城の月』について
今回のブログも大変興味深く読ませていただきました。面白い記事ありがとうございます。
『荒城の月』には思い出があります。
ドイツのハードロックグループScorpionsが78年に初来日したときに、日本のファンのためにこの曲を演奏しました（何故かエレキの音によく合う曲です）。
僕は、音楽の素養が全くないので、この曲をよく知らなかったのですが、彼らの演奏で、「花の宴」の歌詞の「え」の部分が強烈に耳に残り、その音が後々までこの曲全体の印象となりました。
実は、彼らの演奏が原曲通りで、改作versionが日本に流布していることを今回始めて知りました。そのとき以後、この曲を聴く機会がなかったので。
Kojitakenさんの記事を読んで思い当たったので、久しぶりにスコーピオンズを聞いてそれを確認しました。
しかし、「え」の部分のアクセントがないとこの曲の魅力が大幅に減じてしまうように思います。つまらない名曲になってしまうのではないでしょうか。原曲で始めてこの曲を聴いた人にとっては、この改作は致命的な気がします（もちろんド素人の感覚です）。今でもyoutubeでScorpionsの『荒城の月』が聞けます。『荒城の月』でググって下さい。
ボーカルが最初に歌い、その後、観客に歌わせるのですが、面白いのは、観客のコーラスは、改作の方を歌ってしまうところです。
そして、ボーカルは終わりまで歌うのですが、観客は歌詞を知らないので最初の小節しか歌えず、その後シーンとしてしまいます（笑）。
Japanese Folk Songと紹介したので、日本人はみんな知っている曲と思って演奏したのかもしれません。明治の頃はドイツと関係が深かったので、オリジナルが渡り、今でも日本の代表的な歌として元の形で知られているのでしょうか。
私が早速YouTubeで確かめたことはいうまでもない。
当記事ではあえてリンクは張らないが、AmahaYuiさんとgreenstoneさんの書かれる通り、スコーピオンズははっきり半音上げている。しかも、確かに聴衆は山田耕筰の改変版通り、半音上げないで唱和している。時に1978年、キャンディーズが後楽園球場でサヨナラコンサートをやり、サザンオールスターズがデビューした年である。
ところで、YouTubeでは、沢田研二、井上陽水＆矢野顕子、島倉千代子、小鳩くるみ、藤山一郎らが「荒城の月」を歌っている動画が確認できるのだが、なんと彼らは揃いも揃って半音上げない山田耕筰の改ざん版で歌っている。このうち、井上陽水＆矢野顕子版では、井上陽水が二度歌うが、二度目は半音上げているようにも上げていないようにも聞こえる。だが、おそらく単に音程があやふやなだけで、本人は半音上げないナチュラルで歌っているつもりなのだろう。矢野顕子の方は、はっきり半音上げない山田耕筰版で歌っている。
結局、日本人の歌手が半音上げていたのを確認できたのは、オペラ歌手の錦織健とヴァイオリンの川井郁子が共演した動画だけだった。だが、その錦織も2000年の動画では半音上げない山田耕筰版で歌っていた。おそらく、その後オリジナルの滝廉太郎版を知ってオリジナル版で歌うようになったものだろう。良いことである。
同じオペラ歌手の佐藤しのぶは山田耕筰版で歌っており、YouTubeのコメント欄で下記のように批判されていた。
「花の宴」の「え」の音を滝廉太郎の原曲より半音下げてしまったこの山田耕作版を一流の声楽家が歌うのはどうかと思います。
ちなみに鮫島有美子は原曲で歌っています。
どうやら、日本人歌手たちよりもドイツのバンドの方が滝廉太郎をよく知っているらしい。スコーピオンズの方が佐藤しのぶより「日本が好きなだけなんだよ」ってか？（笑）
