kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「発送電分離」案を毎日新聞が報じる

毎日新聞記事では、これも注目される。


http://mainichi.jp/select/biz/news/20110404k0000e020082000c.html

東京電力:発電と送電の分離案 政府、大手と統合検討


 福島第1原発で深刻な事故を起こした東京電力への公的支援に関連し、政府内で東電を発電部門と送電部門に分離し、送電部門を他の大手電力会社などに統合する処理案が浮上していることが4日、明らかになった。東電は福島原発事故放射性物質の漏えいで巨額の損害賠償が見込まれる。政府は原発周辺の避難住民らへの賠償に万全を期すとともに、電力供給の安定を図るため、東電に出資して管理下に置く方針。しかし「深刻な事故を起こした東電を公的資金で救済するだけでは、国民の理解が得られない」(政府筋)と見ており、分離処理案が浮上した。


 東電の分離と他の電力会社への統合が実現すれば、電力大手10社が地域ごとに発電から送電まで電力事業を事実上独占する戦後の電力体制の再編につながる可能性がある。


 10社の中でも、東電は売上高が関西電力の約2倍の約5兆円と断トツの存在で、昨年末時点で約7兆5000億円の有利子負債を抱える。福島原発の処理や数兆円にのぼると見込まれる損害賠償負担で経営が悪化するのは確実で、政府は東電破綻を防ぐため、出資して一時的に公的管理下に置く方針を固めている。


 ただ、公的管理の長期化は避けたい考えで、最終処理策の検討も進めている。政府が公的資金で救済することには国民の反発も予想され、政府は「(公的管理脱却後の最終処理では)東電の看板のまま存続させるのは難しい」(官邸筋)との見方に傾いている。


 また、丸ごと他の電力会社に統合するには規模が大き過ぎるとの指摘もある。このため、政府内では発電部門と送電部門を分離する「発送電分離」に踏み切り、送電部門を東北電力と合併させて「東日本電力」とする案や、ナンバー2の関西電力と統合させて、東西で異なる電力の周波数の統一を進め、長期的な電力の安定供給体制の構築につなげる案などが議論されている。【三沢耕平】


 【ことば】発送電分離


 東電など電力会社が一貫して行う電力事業を「発電」と「送電」などの機能別に分離し、それぞれ別の事業者に行わせること。発電会社は送電会社に送電線網の使用料を払い、家庭や企業に電力を供給する。実現すれば、鉄鋼会社など発電事業への新規参入組も公平な条件で送電線網が使えるようになり、電力市場の競争が活発化。電気料金の値下げや太陽光発電など再生可能エネルギーの普及促進につながると指摘される。


政府が発送電分離を軸とする電力自由化にまで政策を転換することができれば、これまでパッとしなかった菅政権の評価は一変する。毎日新聞記事の末尾にあるように、「再生可能エネルギーの普及促進につながる」と期待されるからだ。この政策をとってはじめて、民主党政権が「グリーンニューディール政策」を実行することができる。

これぞ、金子勝氏や飯田哲也氏が前々から主張していた政策。北欧諸国など、再生可能エネルギーの比率を伸ばしてきた国々が採用してきた政策でもある。しかし、震災前には日本人の関心は全く薄く、東電を筆頭とする電力会社が、戦時体制にルーツを持つ「電力大手10社が地域ごとに発電から送電まで電力事業を事実上独占する戦後の電力体制」の既得権益を享受し続け、わが世の春を謳歌してきた。

毎日新聞の記事が書くようにトントン拍子で話が進むとは、私は全く考えていない。電力会社はもちろんのこと、毎日新聞の倍以上の部数を持ち、これまでも原発推進の先頭に立ってきた読売新聞も、全社を挙げてこんな政策は潰しにかかるだろうし、自民党はもちろん、民主党でも原発推進勢力の小沢一派あたりはそれに加担する可能性がある。そして、菅直人もまた、震災前には自民党や小沢一派の敷いた路線に乗って極端な原発推進路線をとってきた政治家だから、そうした圧力に対してどこまで突っ張れるかについては、多くは期待できないように思われる。

毎日新聞の記事が書くような方向に政策を向かわせるには、世論のバックアップが欠かせない。さもなくば、既得権益を守りたい原発推進勢力の術中にはまってしまう。