読み終えた本。

- 作者: 寺田寅彦
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/06/10
- メディア: 文庫
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「ものを怖がらなさ過ぎたり、怖がり過ぎたりするのはやさしいが、正当に怖がることはなかなか難しい」という言葉が出てくる。寺田寅彦の最晩年、1935年の文章。
寺田寅彦の随筆を読むのは、高校生の頃に国語の教材として読んだとき以来かな。上記の寺田の文章だが、ネットで調べてみると、「少量の放射線は体に良い」という、元東電副社長・元自民党参院議員の加納時男が大好きな「ホルミシス仮説」を正当化するために引き合いに出されているのをはじめ、「原発安全厨」に引用されている例が多かったのにはずっこけてしまった。天国の寺田がそんなものを読んだら怒り出すのではないか。寺田は、「安全厨」にも「リスク厨」にもなるなと言っているに過ぎないと思うのだが。
ところで、死の年、1935年の文章が多数収録されているので、寺田寅彦の死因はなんだったのだろうかと思って調べてみると、転移性骨腫瘍だったとのこと。症状は死の前年から現れていて、1935年の大晦日に亡くなったのだった。寺田寅彦の墓は高知市にあるのだそうで、この人は土佐の人だった。
上記講談社学術文庫は、寺田寅彦の随筆全集から災害に関するものを抜粋して再構成したもの。東電原発事故に関して政府が設置した事故調査・検証委員会委員長を務める畑村洋太郎が長文の解説文を書いている。