kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

経産省人事をめぐって海江田万里と菅直人の「代理戦争」を展開する産経と朝日の記事を読み比べる

すっかり「小鳩派びいき」になってしまった産経の記事より。なんと、「朝日新聞 海江田」でググったらこれが筆頭で表示されたのだ。


http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110804/plc11080421100028-n1.htm

奏功するか、海江田氏の「刺し違え作戦」
2011.8.4 21:07


 経産省3首脳の更迭には、海江田万里経済産業相の自らの辞任に向けた環境整備の意味合いがある。東京電力福島第1原発事故や原子力安全・保安院の「やらせ」問題の責任をとる形で、更迭と辞任という2枚のカードを切り、菅直人首相と刺し違えるのが狙いだ。ただ、首相には逆に海江田氏に官僚のクビを切らせて、自らの責任を回避する意図も見え隠れしており、海江田氏の作戦が奏功するかどうかは不透明だ。

 「大臣が辞めるなら、われわれも辞めます。先に辞めるので、新しい体制を決めてから辞めてください」

 7月下旬ごろ、海江田氏は今回更迭した3人からこう訴えられ、自らも辞任の意思を強めた。そして今月2日、首相に3人の更迭方針を報告した。この時、首相との会話は5分。首相は「お願いします」と述べただけだった。

 海江田氏は12日に3首脳更迭の発表を予定していたが、4日の朝日新聞が「首相の意向」として、これを大々的に報じ、海江田氏の足元をすくった。

 「浜岡パターンだ。首相側のリークに違いない」

 海江田氏の頭をよぎったのは、自らが進言した中部電力浜岡原発静岡県御前崎市)の運転停止だ。この時も、首相は海江田氏に相談もなく、緊急記者会見を開いて、首相の手柄として発表してしまった。

 首相は7月29日の記者会見では、保安院のやらせ問題について「極めて由々しき問題。徹底的な事実関係の究明と厳正な対処が必要だ」と制裁人事をちらつかせていた。だが、官邸主導で経産省人事を検討した形跡はうかがえない。

 海江田氏は報道を受けて4日午前9時半に緊急会見を開き「自らの判断」を強調するのがやっとだった。当の首相は、記者団の問いかけに小首をかしげるだけで、何も答えなかった。

 首相の居座り戦略は明らかだ。原発事故を背景に経産省を標的にし、「ポスト菅」に浮上した海江田氏にはアピールの場を与えない−。2人の戦いは霞が関を巻き込み、激しく火花を散らしている。(坂井広志、坂本一之)


一方の朝日だが、今朝の2面に掲載されている政局記事は、asahi.comには見当たらない。仕方ないから手打ちする。

 「経産省が生まれ変わったと思われる人事をする」。海江田氏は3日、周辺に決意を語った。(中略)ところが、その中身は松永次官が推す安達健祐・経済産業政策局長(59)の次官昇格などの順当人事だった。

 経産省幹部は「松永次官は菅首相に後任人事を仕切られないように、海江田氏が3首脳のクビを切る派手な演出を容認する代わりに後任人事をのませた」と解説する。発令が12日なのに早々に発表したのも「サプライズを狙う首相の介入を防ぐためではないか」(同省幹部)との見方もある。

 「私は『更迭』とは言っていません」。海江田氏自身も4日午後、鳩山由紀夫前首相の事務所を訪れ、経産省を敵に回す人事ではないと説明した。

 代表選をにらみ、どんなエネルギー政策を掲げるのか。そのためにどんな布陣をしくのか。今回の人事から方向性は見えない。

 「省内の事情に理解のある海江田氏の在任中に人事を固めようと首脳たちは考えたのだろう」。経産省内には「サプライズなき人事」に安堵感が広がる。

朝日新聞 2011年8月5日付2面掲載記事より)


更迭された官僚の直訴と書く産経と、官僚と海江田万里の取り引きだと書く朝日両紙の記事には、左記のニュアンスの違いはあるものの、内容的にはほぼ同じで、要するに「経産官僚の意向で海江田万里が動いた」というものだ。


こんな海江田万里について、「小沢・鳩山派なら『政治主導』ができる」という信仰をお持ちの小沢信者はどう考えるのか。聞いてみたいものだ。