kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「画竜点睛」を欠いたNHKスペシャルの原発・自然エネルギー討論番組

NHKスペシャルで放送された原発自然エネルギーに関する討論番組をずっと見ていた。


7月9日に同じ枠で放送された討論番組の続編的な位置づけで、司会も同じ三宅民夫。視聴者からのメッセージを読み上げたのも、前回と同じく「カピバラ」との異名をとる守本奈実


今回は、専門家2人の意見を軸として、スタジオに出演したさまざまな立場の人たちの意見を取り上げ、データ放送で視聴者の意見をずっと画面下部に表示させていたが、出演者の討論もさることながら、画面下部の視聴者のメッセージに私はずっと注目していた。


これを見た限り、国民の「脱原発」への熱意は全然冷めていない、そう思った。おかしくなっているのは、菅直人が腰を引きながらも打ち出した「脱原発」を、小沢一郎鳩山由紀夫岡田克也海江田万里前原誠司野田佳彦らが「なかったこと」にしようと必死にあがいている民主党の党内政局の方だ。

番組中の最後の方で、ノンフィクション作家の吉永みち子が、1970年代の自動車業者に科せられた「マスキー法」という米カリフォルニア州の苛酷な排ガス規制に日本の自動車業界が挑み、その成果として日本の自動車業界が現在の競争力を獲得したことに言及して、現在の日本の経済界にその気概がないことを嘆くコメントを発していたが、私も同感だった。

70年代前半を覚えている者なら誰しも、マスキー法とそれに対する日本の自動車業界の果敢な挑戦は印象に残っているはずだ。また、当時家で毎日新聞をとっていた私は、1973年の石油危機の際に日本政府が選んだ「代替エネルギー原発しかない」という方針に付き従った新聞報道がなされていた印象はほとんど持っていない。それは私の個人的な好みのためだったのか、それとも当時の毎日新聞の報道に影響されたのかは今となってはわからないが、私は70年代から今でいう「自然エネルギー」(再生可能エネルギー)への期待を持っていて、原発に対しては忌避の感情を持ち続けていた。だが、その考えを深める機会は、つい最近、3年ほど前に金子勝氏や今夜の番組にも出演していた飯田哲也氏の論考に接するまで持たなかった。


あまり人の年齢のことを云々しては失礼かもしれないが、吉永みち子氏について調べてみたら、私より一回り上の世代の人だった。現在は、吉永氏や私のような世代の人間が、もっと「脱原発」の原動力にならなければならないと思うが、やはり同じ世代の人間が多い、民主党代表選の候補者たちを見ていると、あまり期待できないなあと思う。少なくとも菅直人に負けているようではお話にならない。


ところで、今日の番組でもっとも物足りなかったのは、前回私を楽しませてくれた「あの人」が出演していなかったことだった。以下に先月の番組放送直後に当ブログに書いた記事へのリンクを示す。


原発停止をジェット機に喩える「頭の悪い大学教授」奈良林直が「原子力安全委員会専門委員」を務める恐怖 - kojitakenの日記


NHKはどうして今晩の番組に奈良林直センセを出演させなかったのだろうか。「画竜点睛を欠く」とはこのことだw