kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「減税真理教」もいただけないが「金持ち優遇」野ダメ政権も×

読んだ本。


「脱原発」成長論: 新しい産業革命へ

「脱原発」成長論: 新しい産業革命へ


187頁と薄いし、文字も大きいので短時間で読めてしまう。論旨の中心は、東電原発事故を契機に、というよりずっと以前からの著者の主張だが、環境エネルギー政策を再生可能エネルギー中心へと大きく転換していくことによって「新しい産業革命」を起こせというもの。


ところでこの本の第4章は「大震災からの地域再生」と題されていて、その中の4番目のセクション「財源はどうすべきなのか」で復興財源について論じている。

金子氏はテレビでの発言からもうかがわれるように「復興増税」自体には肯定的で、不足分を復興債発行で補えという主張だ。増税反対が声高に叫ばれる現在の風潮に対しては、

ひたすら人々の負担忌避を煽る「新自由主義」の考え方が流布される。そして社会保障の削減が制度的な基盤を掘り崩し、社会を荒廃させている。

として批判的だ*1

但し金子氏が念頭に置いているのは5年に期限を区切った「社会連帯税」(所得税の付加税)の導入、相続税率の引き上げ、環境税の新設であり、法人税については現行の租税特別措置を廃止したうえで、内部留保に対する課税は強化し、一定の戦略産業(再生可能エネルギー、医療など)への投資や雇用の増加を実現した場合には法人税減税を実施するとしている。また、被災地を免税対象にできない消費税は復興財源としては不適切であるとしている*2

以上の金子氏の主張は私にはごく穏当なものと思われるが、最近は「減税真理教」が全盛だから、金子氏のような主張でも「増税主義者」として叩かれるのだろう。陰謀論掲示板「阿修羅」などを覗いてみると、私なんかも「増税論者」の末席を汚しているらしい(笑)。

減税真理教の信者(河村たかし一派のほか「みんなの党」など)は一方で公務員給与の2割削減を叫んでいるが、そんなことをしたらデフレがますますひどくなるだけとしか私には思えない。減税真理教信者はよほど日本を滅ぼしたいようだ。

一方、富裕層の味方・野ダメ政権はあれほど消費税を中心とする増税に熱心であるにもかかわらず、復興財源から「相続税増税」を外した。これまたひどい話だ。

*1:本書173頁

*2:本書172頁