kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

買わなきゃ良かったと思った本『原発推進者の無念』

タイトルにひかれて買ったが、買わなきゃ良かったと思った本。買ったからにはと思って読んだが、時間の無駄だった。


原発推進者の無念―避難所生活で考え直したこと (平凡社新書)

原発推進者の無念―避難所生活で考え直したこと (平凡社新書)


著者は「原子力村」の住人にして、原発立地自治体である福島県富岡町の町民。東日本大震災に伴う東電原発事故で避難生活を余儀なくされた。その避難記が第一部「原発事故に遭う」で、これが全体の3分の2を占め、残り3分の1が第二部「原発を考える」だ。タイトルにひかれて本書を買った人間なら誰しも後者に主たる関心があると思うが、著者による国や東電への批判はあまり心に残らない。それは、原発に対する根源的な批判が欠けているからだ。それが特にあらわになっているのが第二部の最後に置かれた第6章「原子力関係者の責務」であり、自然エネルギーに懐疑的で、原発を止めたら二酸化炭素の排出量が増えるとか、LNGの火力発電が増えると大規模停電が心配だとか、原発を止めると大量の失業者が出るとか、経済界が「脱原発」による日本経済への悪影響を心配しているとか、そんなことばかり書き連ねられている。そして、最高レベルの原発の安全対策を求めるスタンスは、「野ダメ」こと野田佳彦首相と同じだ。それまでもあまり心に響かないなあと思いながら読んでいたが、最後にきて完全に馬脚を現した。著者は今でも「原発推進勢力」の一員以外の何者でもない。


タイトルから期待した内容とは大違い。羊頭狗肉とはこのことだと思った。この本は買わない方が良い。