プロ野球読売の「内紛」だが、スポーツ紙の報道がひど過ぎる。
既に今までの経緯から明らかになったナベツネの「虚偽発言」を全く問題にせず、「江川招聘」を言い出したのは読売監督の原辰徳だと本人から無理矢理言質を取って、それを一面トップにしていた。報知のみならずサンスポと日刊もそうだった(東京本社版)。
これは無論、ナベツネが原を呼びつけて、「江川招聘はお前が言ったことにしろ」と虚偽の口裏合わせを強要した結果だ。だから原のコメントも奥歯にものが挟まったような言い方になっている。当初原は江川招聘の話など全く知らないと言っていたのだから当然だ。この報道によって矛盾した発言をした点ではナベツネも原も同じという印象を読者に与えることになった。もちろんそれこそナベツネの狙いなのである。
真実はどうかというと、これは今までプロ野球というか読売ジャイアンツに関するニュースをずっと追ってきた人間にとってはあまりにも明白なのだが、原を追い落としたいナベツネが「江川助監督」を思いついたのであって、決して原が言い出したことではない。つまり「嘘つき」はナベツネ一人だ。もちろん清武英利は桃井恒和と共闘する腹づもりだったが、桃井はナベツネに懐柔されてあっさり寝返ったのである。こういう手練手管にかけては、学生時代に共産党に入党して以来いやというほど権力闘争を経験してそれに勝ち抜いてきたナベツネの右に出る者はいない。清武(や桃井)の反乱を鎮圧することなど、ナベツネにとっては赤子の手をひねるようなものだ。
まあナベツネは昔からそういう人間なのだが、問題はスポーツ紙各紙だ。親会社が何新聞であろうが、ことごとくナベツネの手下と堕している。いかにも「日本の組織」らしいと苦々しく思う次第である。