kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

『世に倦む日日』のコメント欄に当ブログの名前が出てきた(苦笑)

思いがけないところで当ブログの名前を見かけた。


派遣法改悪と反貧困系の凋落 - 政権と官僚に愚弄された果て : 世に倦む日日 のコメント欄より。

「反貧困」はどこへ行った? at 2011-11-18 04:56
派遣法改悪と反貧困の運動体の劣化にまで切り込んだ視点はお見事。kojitakenの日記は小沢一郎民主党までしか批判できなかった。反貧困の運動体は政権交代してから貧困問題や若者の就職難に対して明らかにトーンダウンしすぎだ。民主党政権になってから雨宮処凛福島瑞穂がにこにこ動画に出演したのだが、若者の就職難の話題なったときの反応は政権交代前に熱く語った情熱は一体どこに行ったのかと思うほど素っ気無いものだった。今、彼女達は脱原発を熱心に語っているが、本当のところ、彼女達は脱貧困にも脱原発にも興味がなく、自分だけに関心があるのだろう。もう、彼女達は信じられない。


コメント主のメインの槍玉は「反貧困」運動体であり雨宮処凛であり福島瑞穂なのだが、当ブログが「小沢一郎民主党までしか批判できなかった」というのはもちろんその通り。私にはあんな記事は書けない。


ただ、「反貧困」運動はいまや相当熱がさめてしまっているのではないかとは私も感じる。例の「世直し大工」氏からのコメントには考えさせられる点があった。1995年の時点では一部上場企業の正社員だった私の目には、派遣労働の拡大の端緒が同年の日経連(現在は経団連に吸収された)の「新時代の『日本的経営』」*1にあることはあまりにも自明だった。1996年の労働者派遣法改正による16業種から26業種への職種拡大の影響は、翌97年には私が勤めていた職場にも現れた。2004年にはもう一部上場企業には属していなかったが、それこそ雨宮処凛の著書に書かれているのとそっくりの、派遣労働のワーキングプアの人が貧乏ゆえに犯した過ちの実例も見てきた。それが2004年の労働者派遣法の直接の影響であることはあまりにも明らかだった。なにしろ四国の地方都市にさえ北海道などはるか遠方から派遣労働者が職を求めてやってきていた。

ところが、20年ほど前に半年間ダイハツ期間工を務めたことがあるという「世直し大工」(id:yonaosi)氏は、1993年に制定された「パートタイム労働法」のせいでパートタイマーを直接雇用していた企業が、それができなくなって派遣労働者を使うようになった、その増加した派遣労働者をさらに規制しようとしたのが「労働者派遣法」だ、そう考えておられるようなのだ。

これを「荒唐無稽の妄論」と片づけるのは簡単だけれど、それでは何も前進しないと考え込んでしまったここ数日だった。彼をそう思わせてしまったのは何なのか。そうした誤解によって、ひたすら労働コストを下げたかった経団連やその手先としか言いようのない政策をとってきた自民党公明党、最近ではそれに民主党が加わったが、本来彼らに対して向けられるべき批判がそらされてしまっている。


「反貧困」運動体の人々に関する『世に倦む日日』についたコメントについていえば、格差拡大と原発の問題と沖縄の米軍基地の問題はいずれも根は同じだと私は考えているから、彼らが「脱原発」に熱心であるのは悪いことではないと思う。しかし、「反貧困」運動の熱が冷めているのではないか、「反貧困」をおろそかにするなと感じる人は少なくないだろう。

私は一時大きく盛り上がった「反貧困」運動も、このままでは一過性のブームとして片づけられてしまうのではないかと危惧している。「脱原発」にしても、現在議論になっている「TPP」にしてもそれは同じで、さらに次の議題になるであろう「消費税」についても同じことになるのではないかと今から悲観している。

脱原発」や「TPP」については政治の影響も大きく、「脱原発」の政治局面において自公が内閣不信任案を出すのに協力したばかりか自公を煽りまくった政治家が与党・民主党に存在したし、同じ政治家は自派内の自称「TPP反対派」の行動を抑え続けた。このところ私が主に問題視してきたのはこの政治家、すなわち小沢一郎だった。小沢一郎は、当然ながら労働者派遣法改正の問題についても沈黙を保っている。そしてその小沢一郎と対をなすのが野田佳彦(「野ダメ」)で、この男は「脱原発(依存)」を既に反故にし、TPPには交渉参加を表明し、労働者派遣法の改正を骨抜きにした。あとは「消費税増税」を実行できれば、経団連や読売新聞会長・主筆渡邉恒雄ナベツネ)が当面の課題として思い描いてきた政策はすべて実現されることになる。ここまで短期間で何でもかんでもやる保守政治家はちょっと他に思いつかない。小渕恵三小泉純一郎でさえこんな猛烈なスピードで事を進めることはできなかったのではないか。

何も「反貧困」運動体だけではなく、他の運動体にしても肝心なところでことごとく腰が引け、一過性のブームに終わってしまった例ばかりであるように思われる。TPPに関していえば、反対論者が「民主党の(自称)TPP反対派」の行動に期待を託していた時点で敗北は見えていた。過去にさかのぼれば、たとえば1989年の参議院選挙で社会党を大勝させた「消費税反対」運動も、今となってはあれって何だったの、という位置づけでしかない。

その社会党の残党・社民党福島瑞穂も前記コメントの槍玉に挙がっていたが、社民党がいつまでも小沢一郎と距離が近かったり、すっかり「小沢信者」と堕した「きっこ」と福島瑞穂党首がいつまでもメッセージをやりとりしているようでは、社民党に期待できるところなどいまや何もなくなったと言うほかない。