kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

中日新聞が労働者派遣法改正の「骨抜き」を批判

ここ1週間の三大新聞の社説を見渡しても、労働者派遣法改正問題に触れたところは1紙もないが、今朝の中日新聞に改正案の「骨抜き」を批判する社説が掲載された。
http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2011111902000005.html


以下引用する。

 懸案だった労働者派遣法改正案が大幅に修正され今国会で成立する可能性が強まった。社会問題化した“派遣切り”再現を防ぐ規制策が骨抜きになりかねない。労働者保護の原点に立ち戻るべきだ。

(中略)

 修正内容には驚くばかりだ。これでは現行案が目指す派遣労働者の処遇改善は到底困難だ。

 派遣法改正案の成立を急ぐのは来年の通常国会で、社会保障と税の一体改革の一環として契約社員などの待遇改善をはかる「有期雇用法制」や、厚生年金の支給開始年齢引き上げにともなう高年齢者雇用安定法の改正など、重要法案がめじろ押しのためという。

 だが現行案は雇用政策を転換させる一里塚となるものだ。労働者派遣法は一九八五年「派遣事業の適正な運営確保と派遣労働者の就業条件整備」を目的に制定されたが、相次いで緩和された結果、労働者保護が薄れてしまった。

 派遣という働き方が問われたのはリーマン・ショックの時だ。失職したとたん仕事も住居も失う。全国に出現した“年越し派遣村”は大問題となった。不安定雇用の削減・解消が大切なのだ。

 派遣会社の中には禁止業務である建設現場に労働者を送り込んだり、データ装備費と称して多額の手数料を徴収するなど違法・不法行為が目立っていた。

 製造業への派遣禁止は残すべきだ。すでに自動車など主要企業は派遣から期間工採用など直接雇用への転換が進んでいる。

 連合が修正案を容認する姿勢を打ちだしたことは残念だ。これでは「すべての労働者の処遇改善」のスローガンが色褪(あ)せる。


「すでに自動車など主要企業は派遣から期間工採用など直接雇用への転換が進んでいる」、つまりトヨタは同法の改正を織り込み済みだから困らない、だから中日新聞も堂々と派遣法の「骨抜き」を批判できるという内情がうかがえなくもないが、それでも三大紙が何も書かないうちに中日が書いたことは評価できるだろう。だからといって今日の日本シリーズ第6戦でドラゴンズを応援したりはしないが*1

社説の中に、「派遣会社の中には禁止業務である建設現場に労働者を送り込んだり」とあるが、「世直し大工」氏がおそらく実例として見聞していた「建設業者への労働者派遣」は、現行法下でさえ違法行為なのである。それが「骨抜き」は別として派遣法改正自体の反対につながる氏のロジックは、何度も書くけれども全く理解不能である。

*1:今年の日本シリーズに関しては、時にホークスに対して、あるいは時にドラゴンズに対して同情したり批判したりするものの、基本的に私は中立である。