地域・写真ニュース | 中国新聞アルファ には笑った。
北朝鮮の金正日総書記死去をきっかけに自民党の安倍晋三元首相の積極発言が目立つ。タカ派の論客として皇室問題も含め保守層へアピール。党内リベラル派に属する谷垣禎一総裁への不満を周囲に漏らし、来秋の総裁選で復権をうかがっているようでもある。ただ、体調不良を理由に「短命政権」に終わった悔しさを晴らす機会が巡ってくるかはまだ見通せない。
「全ての拉致被害者を日本に返す決断をさせないといけない。全力で政府の交渉を支援したい」。安倍氏は金総書記死去が報じられた19日から翌20日にかけて民放3局の4番組に生出演。拉致問題は自民党政権時代、安倍氏の知名度を上げ、首相の座へと押し上げる要因となった出来事だけに言葉にも力がこもった。
「女性宮家」創設が取り沙汰される皇室問題では慎重論を展開。こちらも保守層の耳に届きやすい主張だ。
今月は宮城、大分両県など各地で講演会も開いた。「体調のためとはいえ1年で首相を辞めて申し訳ない。2年前に画期的な薬ができ、ここ数十年で一番体調がいい」と復調を訴え。自らの去就について「政権を奪還するため力となるべき若い人材を応援していきたい」と表向きは控えめだが、非公式な場ではトーンはがらりと変わる。
谷垣氏に対し「総裁選までに衆院解散・総選挙に野田政権を追い込まなければ再選はない」と断言。総裁選出馬が予想される石破茂前政調会長にも「安全保障では同調できるが、社会保障面ではリベラルすぎる」と競争心を隠さない。
安倍氏の周辺議員は「意欲満々だ。道半ばで退陣したため『憲法改正などをやり残した』との思いが強い」と代弁する。
(中国新聞 2011年12月26日)
安倍の言う「(石破茂の)社会保障面ではリベラル過ぎる」というのが具体的に何を指すのかわからないが、どうやら安倍は自らが内閣官房長官を務めていた頃の「骨太の方針2006」、つまり毎年社会保障費の伸びを2200億円ずつ削っていくという政策が良かったと思っているらしいことが想像できる。やはり安倍晋三は今も変わらず「極右にして新自由主義者」であるらしい。
なお、安倍が賛成する石破の「安全保障」の主張には、下記のようなものがある。
原発に潜在核抑止力と石破氏
自民党の石破茂前政調会長(鳥取1区)は21日、国会内で中国新聞のインタビューに応じた。エネルギー確保のために原子力発電所を一定程度維持すべきだとした上で、核兵器を造ろうと思えば一定期間に造れる「核の潜在的抑止力」の必要性を指摘した。核武装には反対の立場を明確に示した。
石破氏は「核兵器は絶対使ってはいけない兵器だ」と強調。半面で、核兵器廃絶の難しさを挙げ「相手国に核兵器を使わせないため、どれだけ抑止力を持つかが極めて重要」とし、原発技術の維持による潜在的抑止力の重要性を認めた。また、核燃料生産につながる再処理工場と高速増殖炉原型炉「もんじゅ」による核燃料サイクルを推進する必要性も指摘した。
一方で「いつまでもあくまでも潜在的だ」とも言明。日本の核武装については、核拡散防止条約(NPT)体制を崩し核兵器が広がる契機になりかねないとして反対した。
(中国新聞 2011年12月22日)
だが、こんな極論でさえ9年前の安倍晋三の言葉と比較すればまだかわいいものだ。安倍は、2002年5月13日に早稲田大学で行なわれた講演会(司会・田原総一朗)で、下記のように述べていた*1。