kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

主要政党の右傾化が人々をデモに駆り立てている

エコノミスト誌の2012年7月28日号に掲載された下記の記事は、結構説得力がある。


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35802 より。

日本では珍しい好戦性が政治の主流に忍び込んでいる。


このところ、野田佳彦首相が執務する官邸前でほぼ毎週金曜に行われる反原発デモに大きな注目が集まっている。1960〜70年代の左翼運動を思い起こす向きもあるが、今回のデモ参加者は過激派の学生ではなく、祖父母の世代やベビーカーを押す母親たちが大半を占めている。

 デモほど目立たないのは、日本の政治の主流派における急激な右傾化の動きだ。

 半世紀にわたって保守支配が続いた後、政権の座を追われた3年前には考えられなかったことだが、自民党は今、まもなく与党に返り咲くとの自信を深めている。自民党は今後数カ月内に野田首相を解散・総選挙に追い込めると考えており、選挙が実施されれば、野田首相が率いる民主党は敗北する可能性がある。

 世論調査では自民党の支持率は民主党をわずかに上回っているだけだが、自民党としては、ほとんど天皇崇拝と見なされるような国家主義的な選挙運動で自党を差別化したいと考えている。また、強硬姿勢を取る中国が近くにいる不安定な地域で、憲法で平和主義を掲げる日本が自国を軍事的に守る方法を変えることも模索している。


野田首相の消費税増税が何より右傾化に拍車


 一方で、野田首相も窮地に立つ民主党を大きく右寄りに移行させようとしてきた。この6月、首相が抱く財政保守の思想は、50人以上に上る左派議員の民主党離党を招いた。

 政府は社会的セーフティネット(安全網)の強化など、2009年に民主党が国民に約束した公約の多くを放棄した。

 日本のポピュリストの一角では、石原慎太郎東京都知事橋下徹大阪市長のような扇動的な政治家も政策問題を巻き起こし、前者は中国批判、後者は労働組合叩きを展開している。しかし、両氏が国政の舞台で大きな成果を上げるだけの影響力を持っているかどうかは不透明だ。

 アナリストたちは、論議を呼んでいる野田首相の消費税倍増案は何よりも右傾化に拍車をかけたと話している。多くの人は、増税は財政保守の砦である財務省の官僚に感化された動きだと考えている。

(中略)

 日本の2大政党が右傾化する中で、リベラルな大義(日本の場合、過度な力を持つ官僚機構の終焉や、社会福祉の改善、日本株式会社の退屈な大企業ではなくリスクテークとイノベーションを優遇する政策などを含む)のために戦う確かな勢力は存在しない。

 昨年の福島の原発事故後に膨らんだ原子力エネルギーへの不安を別にすると、これほど多くの主婦や一般市民が突然街頭デモに繰り出したもう1つの理由は、これかもしれない。彼らを代表してくれる人がもう残っていないのだ。

(英エコノミスト誌 2012年7月28日号掲載記事)


概ねその通りだろうと思うが、これに少しつけ加えると、民主党を離党した「50人以上に上る左派議員」を率いるボス政治家は、橋下徹と手を組んで天下を取る野望を隠そうともせず、実際には少なくないタカ派政治家を含む民主党離党組を、自民・民主両党どころかそれ以上の「経済極右」である「維新の怪」とくっつけようとしている。

デモの参加者の中には、そんな「ボス政治家」に期待する人たちも混ざっていると思うが、ボス政治家に期待する、しないは別として、デモにでも参加しなければ何も変わらない、いやデモに参加したって変わるという希望は持てないけれども、選挙で投票しても何も変わらない以上、せめてデモにでも出るしかないのではないか。そう思っている人たちが非常に多いことは間違いないだろう。

一部のデモ主催者は、上記がサイレントマジョリティーだと思ったから、「左翼になんかイニシアチブをとられてたまるか」とばかり「権力闘争」を始めたのではないかと想像する今日この頃である。