kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

橋下徹は「極右」だ

新自由主義にウルトラ右翼の地金をあらわにしただけ:橋下 - 山上俊夫・日本と世界あちこち(2012年8月31日)

 『朝日新聞』が8月31日、「橋下流・考」という不定期の特集で、「語り始めた歴史認識慰安婦強制確証ない」という見出しをうって橋下氏の妄言にさぐり?をいれている。
 すでに、大阪府・市共同運営の平和博物館「ピース大阪」への運営費を極限まで切りちぢめたうえに、展示内容に介入をしている。現代史について両論併記の内容にしろというのだ。靖国神社の戦争推進の資料館・遊就館の展示内容をとりいれよということだ。学問的にはまともに取り上げるに値しないような政治的見解ばかり。ピース大阪は、故小山仁示関西大教授はじめ専門の研究者の監修によって展示してきた。そこに侵略戦争肯定のものを同列に取り入れよというのだ。
 そのうえで今度の慰安婦=戦時性奴隷肯定発言だ。人権擁護が職務である弁護士とは思えない発言だ。いわく、従軍慰安婦は業者・慰安婦とも商売としてやっていたのだから問題ない、問題があるとすれば強制連行していたかどうかだが、強制連行の証拠はない、あるなら韓国政府が出せと。これは橋下氏の大好きな安倍晋三氏らウルトラ右翼政治家の常套句をくりかえしたにすぎない。逃げられない状況のもとで一日数人から数十人の兵士の性のはけ口にされることが当時であっても許されない。慰安所が軍の管理のもとにおかれていたことは多くの証拠がある。強制連行によるものかどうかは一番の中心問題ではない。だが安倍氏らは強制連行だけが問題だとして、日本政府・軍の強制連行命令書が存在しないから強制連行はなかったとする。だが被害者証人の証言がつみあげられている。彼らの言辞の特徴は、問題をわざと狭く設定して、そこに問題がなければ、全体も問題がないというやり方だ。
 『朝日』は、橋下氏は知事就任前後は歴史認識に一家言をもつ人物ではなかったという書き方をしているが、それは少しだけちがう。知事になる1年以上前、関西だけ放送の「たかじんの何でも言って委員会」という読売テレビの番組で「高校で南京大虐殺を教えられて信じてきたが、最近ある人から本を紹介されて読んでみると、高校で教えられたことが真っ赤なうそだったことがわかった」と広言した。先生の名前まではいわなかったが、あきらかにウソを教えたといった。研究熱心で知られるその先生は、橋下氏の無責任な発言に怒りをあらわにした。当然だ。早稲田大学出身ならば、すくなくとも南京大虐殺の研究を学問として確立した故・洞富雄早大教授の本の一冊でも読むべきだが、専門の研究者でない人の本をうのみにする浅はかさがきわだつ。橋下氏は知事になる戦後は一家言をもっているとまではいえないが、軽薄で無責任なな発言をしたことは事実だ。橋下氏の、学問的うらづけのない歴史認識は、南京大虐殺否定にはじまり、どんどん広がっていったのだろう。
 安倍晋三氏についてはおもしろい話をきいた。安倍氏が首相になる前のことだ。わたしが教育委員会推薦の金融問題の研修会に出たとき、講師の一人に阪大医学部の教員から医学関係の企業を設立した人物がいた。その人は自慢話として、安倍晋三氏がとりしきる懇談会のひとつによばれてメンバーになったと。学者や芸能人のとりまきをあつめた会だ。そのなかに島田伸介氏もいたと。島田さんはテレビ出演料だけで週1200万円の収入だとも教えてくれた(年52週に換算すると…)。反人権茶髪弁護士として週刊誌からテレビへと進出していた芸能人橋下さんも右翼政治家からお呼びがかかってもふしぎはない。わたしは、橋下氏が週刊誌に書いたものを当時読んで、弁護士にあるまじき人権否定にびっくりした。人権否定の土台があるから、従軍慰安婦の何が問題だといって、元慰安婦の踏みにじられた人権をふたたび蹂躙してもへっちゃらなのだ。日本政府の正式の見解さえも否定するのだ。という書き方をしているが、それは少しだけちがう。知事になる1年以上前、関西だけ放送の「たかじんの何でも言って委員会」という読売テレビの番組で「高校で南京大虐殺を教えられて信じてきたが、最近ある人から本を紹介されて読んでみると、高校で教えられたことが真っ赤なうそだったことがわかった」と広言した。先生の名前まではいわなかったが、あきらかにウソを教えたといった。研究熱心で知られるその先生は、橋下氏の無責任な発言に怒りをあらわにした。当然だ。早稲田大学出身ならば、すくなくとも南京大虐殺の研究を学問として確立した故・洞富雄早大教授の本の一冊でも読むべきだが、専門の研究者でない人の本をうのみにする浅はかさがきわだつ。橋下氏は知事になる戦後は一家言をもっているとまではいえないが、軽薄で無責任なな発言をしたことは事実だ。橋下氏の、学問的うらづけのない歴史認識は、南京大虐殺否定にはじまり、どんどん広がっていったのだろう。


この記事のタイトルと本文にある通り、橋下徹は「極右」だ。それ以外のなにものでもない。


昨年、私がブログで橋下徹批判を本格的に再開した頃、ブログに「橋下を『右翼』と呼ぶべきではない」というコメントを右派のコメンテーターの方からいただいて違和感を覚えたことがある。しかし、誰が言い出したのかは知らないが、「橋下には政治思想色は強くない」という言説が、いつの間にか「定説」とされていたのに私は少しばかり驚いた。2008年の大阪府知事選当時に橋下を批判していた私の感覚としては「橋下=極右」というのは常識の範疇に属する事柄だったと思う。その「定説」がいつの間に覆ったのかと訝ったのだ。橋下を「知事就任前後は歴史認識に一家言をもつ人物ではなかった」と評した朝日新聞の記者も、そんなトレンドに影響されていたものと思われる。


今日知ったばかりの想田和弘の下記論考にも賛成できない。
観察映画の周辺 Blog by Kazuhiro Soda: 同世代のノンポリ・モンスター、橋下徹について


この論考に『世に倦む日日』のブログ主が噛みついてTwitterを発信しており、それによると池田香代子想田和弘の論考を嬉しそうに取り上げた、これは「橋下徹を右翼のカテゴリーから解放したいわけ」であって、

「右も左もない」とか「真の右翼」とかの言説と関わる問題。「橋下徹は右翼ではない→橋下徹ノンポリ橋下徹は自分と同じ」。

と断じている*1

私は当の池田香代子の意見発信を確認できていないので、この件に関する論評は差し控えるが、池田香代子が「右も左もない」という、脱イデオロギーに見せかけてその実強烈にイデオロギー的な意見を発信し続けているのは紛れもない事実だ*2。その延長線上に「橋下容認」がくることは自明だし、それは、かつて城内実を肯定的に評価したことのある日本共産党系の某左翼人士が「脱原発に頑張る橋下市長を応援しよう」と呼びかけたこととも通底する。


橋下徹を「脱色」したいという願望は、良心的なブログの範疇に属すると私が考えている下記ブログ記事にも表れているように思える。


橋下&小沢"知られざるホントの関係…政権獲りで連携濃厚(鈴木レポート) : 日本がアブナイ!


この記事は、鈴木哲夫(相当に怪しげな人だ)の記事を紹介したあと、こう結んでいる。

 造反残留組で、かつて小沢&鳩山Gのパイプ役だった松野頼久氏は、維新の会の国政新党の結党に参加することが確実視されている。(・・)

 また、同じく造反残留組で小沢氏に近い原口一博氏も、松野氏らと道州制に関する勉強会を立ち上げることになり、3日に橋下氏と会談を行なったとのこと。
<ちなみに原口くんは、日本維新の会なるグループを作っていて、以前、橋下氏がその名称を譲って欲しいと頼んでいたことがあったという話もあったのよね。^^;>

 さらに、こちらも小沢氏に近い名古屋の河村市長(日本減税党)も、9日の維新の会の討論会に出席して、連携を模索するつもりのようだ。
 
 ・・・というわけで、まだまだ維新の会と小沢氏or「生活」が全く手を組まないと見るのは、早計なのではないかと思っているmewなのだった。(@@)

<p.s. 小沢氏は、2日に「生活」の候補者を100人ぐらい立てる予定だと発言。また早めに各候補者の選挙区を決めるようにと指示したとのこと。もちろん選挙準備を急ぐためというのもあるけど、早く選挙区を決めた方が、他党と組んだり調整しやすいし。オモテでは組まなくとも、お互いに弱い地域において、水面下でちょこっと選挙協力するということも可能なのではないかと思ったりもする。>


ブログ主の意見は明示されていないのだが、タイトルといいこの文章といい、橋下と小沢一郎の連携を期待しているようなニュアンスが感じられるのだ。

そういえば、池田香代子は現在は「卒業」したとはいえひところはかなり重度の「小沢信者」だったし、「小沢信者」たちが開設している「政治ブログ」は、ごく一部の例外を除いて橋下徹を記事で取り上げることを避ける傾向が見られる。それには、「橋下の悪口を言うな」という、配下の者に対する小沢一郎の指示が、リアルで「小沢一派」に属しているわけでもない「政治ブロガー」にまで影響しているように感じられるのである。

橋下支持者や「橋下信者」よりもっと気持ちが悪いのが、本来なら橋下徹を強く批判してしかるべき人たちの、橋下への迎合や沈黙である。

*1:https://twitter.com/yoniumuhibi/status/243907213415047168

*2:最近、『世に倦む日日』のブログ主は「右も左もない」なるスローガンや、それを推進している池田香代子に対する批判に熱心だが、一昨年頃の当ダイアリーでも同様の批判を展開していた。当時、池田香代子は「小沢信者」だった。