kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「緑の党」に期待したいが「トンデモ耐性」が懸念される〜「緑の政治勢力」いろいろ(5)

先週の『きまぐれな日々』の記事「安倍内閣支持率は低下するも自民支持層の忠誠度は堅い」*1に、ネットでは2006年以来の旧知であるブログ『BLOG BLUES』の管理人さんから5件のコメントをいただいた。氏に謝意を表する。同ブログのスタンスは、下記の最新エントリのタイトルがはっきり物語っている。


以下に、氏からいただいた5件のコメントを示す。まず1件目。

http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1309.html#comment16710

こんにちは。管理人様が支持したい政党の姿は、北欧型の社会民主主義政党かと存じます。換言すれば、日本国憲法の理念を具現化する政党でしょう。かの国々は、日本国憲法や改正前の教育基本法をお手本に、国づくりに励んでいるそうですから。

人類史上、最も理想的と謳われるほどの日本国憲法を戴きながら、戦後日本には、日本国憲法の理念の具現化をめざす、真の意味での護憲政党は存在しなかった。(社会党共産党も赤色革命の可能性が信じられていた時代には、日本国憲法ブルジョア憲法として退けていた)。

それを求めていた人々が少なからず存在していたにもかかわらず。そうした人々は、有名無名を問わず、たとえば「日本共産党を日本共生党に」とかの類いの働きかけをしてきたのだが、糠に釘。

これではラチがあかないと思い定めた、そうした人々は、ついに自ら政党を立ち上げた。それが「緑の党」です。「緑の党」がどのような政治ビジョンを持っているかは、HPをごらんください。管理人様をはじめ、多くの方が共鳴することでしょう。

僕は今、現行の金融資本主義国家を打破し、北欧型の社会民主主義国家を樹立したいと願う、すべての有権者に呼びかけたい。

緑の党」を育てていきませんか。私たちの日本を「多様性を尊重し、経済成長に依らなくても持続可能な共生社会」に変えていくために。

来る参院選比例区は「緑の党」へ。

2013.07.09 18:26 BLOG BLUES


私が支持したい政党の姿は、北欧型の社会民主主義政党であるというのは仰る通りです。

続いて2件目。

http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1309.html#comment16717

こんばんは。問題は、主権者である、あなたが、僕が、どういう政治体制を欲するかである。

僕は、北欧型の社会民主主義体制を欲する。それを明らかにしないと、物事は前に進まない。

物事を前に進めようと立ち上がったのが「緑の党」である。資本主義か社会主義かという命題の立て方は、冷戦時代のものであり、21世紀に生きる僕らを、決して前には進ませてはくれないだろう。

資本主義も社会主義も、物質文明の繁栄が人民に幸福をもたらすいう価値観は、同一のものだ。19世紀、20世紀のイデアだもの、そりゃ仕方ないさ。でも、その価値観で、21世紀も22世紀も、人類はやっていけるだろうか?僕は、できないと思う。あなたは、どう思うか。

21世紀の22世紀の人類の幸福を、地球的スケールで考えようじゃないか。その答えを、緑の党は「多様性を尊重し、経済成長に依らなくても持続可能な共生社会」の実現に求めている。それが具体的にどういうカタチをとるのか?それは、みんなで、考えていこうじゃないか。

とにかく、緑の党のHPをみてください。道は、遼遠である。でも、ここには、夢も希望もある。管理人様をはじめ、この人気ブログに集うすべての方に訴えたい。緑の党を一から育てていこう。きたる参院選比例区は「緑の党」へ。

2013.07.11 02:32 BLOG BLUES


下記の3件目のコメントは、「緑の党」と「みどりの風」を混同していた「飛び入りの凡人」さんのコメント*2を受けてのもの。

http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1309.html#comment16740

管理人様および読者の皆様へ。

ネット発言のつねとして、調べもせずまったくデタラメな発言する方が、後を絶ちません。それを鵜呑みにしてしまう方も。困ったものです。

緑の党」の源流は、中村敦夫が主宰していた「緑の会議」です。その思想は「多様性を尊重し、経済成長に依らなくても持続可能な共生社会」の実現をめざすものです。HPをご覧いただければ、誰もが理解できるはずです。さらに、近代文芸社から出版されている、中村敦夫著「さらば、欲望の国」を読まれれば、その先見の明に打たれることでしょう。

現在の国際社会の中で「多様性を尊重し、経済成長に依らなくても持続可能な共生社会」を具現化しつつあるのは、北欧の国々であり、ブータン王国です。かの国々の政治体制は、社会民主主義と一般に認知されています。「緑の党」もかの国々をお手本にしようとしています。

どうぞデタラメな発言に惑わされることなく、繰り返しになりますが、ご自分の目で政党のHPを見て、ご自分の頭でご判断ください。

勝つと思うな思えば負けよ。無欲の勝利というのは、実社会で度々経験する真実です。社会民主主義は、徹底的に社会保障を充実させます。それにより安心が生まれ、女性や障害者の社会参加も増大します。それで、なんと経済も好調を来すのですね。

論より証拠。北欧の国々の経済は、日本をはじめとする落ち目の資本主義国を尻目に、実に堅調を保持しています。「日本を、取り戻す」そう思うのなら、未来を見据えた大局観に基づく、この一手を指すべきではないでしょうか。このたびの参院選比例区は「緑の党」。

2013.07.12 22:00 BLOG BLUES


その後、「緑の党」を批判する何件かのコメントが寄せられた。それを受けての4件目のコメント。
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1309.html#comment16748

こんにちは。同じエントリに何度もコメントするのは、傍目には荒しと映りますので、これで仕舞いにします。

どんな政治体制を志向しようが、どんな政党を支持しようが、各自の自由です。ですから、僕は、現行の金融資本主義による優勝劣敗の政治はイヤだ、ダメだと思っている方に呼び掛けています。

もし、あなたが、現行に対してアンチであり、北欧型の社会民主主義の政治を望むなら、現時点の日本に於いて、それとの親和性の最も高い「緑の党」を育てていくのが、最善手ですと訴えています。緑の党がどういう政党であるかは、政党HPにつまびらかにされています。緑が黒とは、色盲でしょう。ネットの流言飛語には、くれぐれもお気をつけください。

北欧型の社会民主主義の政治とは何か?社会保障を徹底し、国民の「いのち」を守り、大きな「安心」をもたらす、換言すれば日本国憲法25条「すべて国民は、健康で文化的な生活を営む権利を有する」を具現化する政治です。そして、その根底には「多様性を尊重し、経済成長に依らなくても持続可能な社会」を追究する、共生思想が脈打っています。

この思想を強く持つことが肝心で、そうでないと単なる一国の政治経済に於ける再配分強化政策に過ぎなくなります。もちろん、それでも、貧乏人は大いに助かりますので、ベターですが。

緑の党」は、地球スケールで、21世紀の人類の在り方を模索しています。「富国」という観念に囚われ「経済成長」を金科玉条としてきた19世紀、20世紀の人類の営みーそこには戦争やミナマタやフクシマがありますーその反省の上に立っています。

そして、多少なりとも世界情勢を勉強して、その潮流変化を察知していれば、国民の幸福を国家目的とし、経済成長はそのための一手段であると心定めた社会民主主義の国々だけが、金融資本主義の悲惨から免れ、堅調な経済状態を保持していることに思い至るはずです。福祉がしっかりしていると経済も順調になるのですね。経済とは、元来そういうもの。漢語の「経世済民」です。

あなたも、この地点に立ちませんか?そして、この「革命運動」に参加しませんか?そう、「おまかせ民主主義」を超えて。

2013.07.13 21:54 BLOG BLUES


その後さらに、「緑の党」を激しく批判する何件かのコメントが寄せられた。ブログの管理人として注記しておきたいが、緑の党」を批判するコメンテーターの中にはHNを固定せずに、別々のHNを用いることによって、(意図してか結果的にかはわからないが)読者に別人のコメントであるかのように思わせている者がいる。コメント管理欄にはコメンテーターが用いているリモホIDが記録されているので、そこから推定できるのである。これは、きわめてアンフェアなやり方である。心当たりのあるコメンテーター(そう、大阪でso-netリモホを使われているあなたである)に強く要求するけれども、今後は、同一人によるコメントであることがはっきりわかる固定HNをご使用いただきたい。但し、「緑の党」批判のコメントの中には、上記大阪の方以外からのものもある。


それはともかく、『BLOG BLUES』の管理人さんからの5件目のコメント。

http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1309.html#comment16755

管理人様および読者のみなさまへ。

身に降る火の粉は払わなくてはなりませんので、今一度だけ、コメントすることをお許しください。これが、本当に最後です。きりがありませんから。

管理人様とは「安倍ND」以来、知遇を得ていますので、よくご理解いただいていると思います。

過去、左派・市民派ブログシーンに於いては「政権交代」を錦の御旗に、民主党への集中投票を呼び掛けるブロガーが多く、共産党は立候補するなとまで主張していた。

それに対し、僕は、それこそが「システム」の思う壷。民主党保守政党であり、日本を保守2大政党制にしてはならないと、「比例区共産党」「日本共産党を日本共生党に」のブログキャンペーンを張り続けた。これ、左派・市民派ブログシーンでは周知の事実。ご存じない当ブログの新参の読者は、URLを張っておきますので「BLOG BLUES」をお読みください。

菅直人など、サイテーの政治家であり、民主党の党首選では、イチローくんが当選したほうがよいと僕は言っていた。イチローくん絡みのエントリも多数UPしているので、イチローくん命の人は、ぜひお読みください。

何度も繰り返しますが、ネットには流言飛語が飛び交っています。事実はどうなのかは、本丸にアタックするのがいちばん確実です。「緑の党」の正体を知りたければ、まず政党HPをご覧になることです。僕の「緑の党」への理解・評価が、客観的にみて概ね正しいことを、あなたもまた理解するはずです。

緑の党」は、安保解消を掲げています。これはとても重要なことで、これなくしては、脱原発も沖縄の基地問題の解決も真に果たせないからです。

僕は、安保解消を掲げていない政党に投票する気にはなれない。従って、僕の投票先は「緑の党」か「共産党」のどちらかになります。僕は東京都民ですので、今度の参院選は「比例区緑の党、東京選挙区は吉良よし子」と決めています。

これを、金融資本主義による優勝劣敗政治へ放つ、反撃の一の矢として「夏のクリスマスカラー作戦」と名付けています。ぜひ、あなたも、この作戦にご参加ください。

2013.07.14 11:28 BLOG BLUES


5件いずれも訴求力の強いコメントである。

私が「緑の党」の前身である「みどりの未来」を知ったのは、2011年6月11日に参加した「原発やめろ!!!」が終わった時にJR新宿駅前で受け取ったパンフレットによってだった。その後、これもネットで旧知であり、リアルでも2009年で岡山、翌年のメーデーで東京でご一緒させていただいたさとうしゅういちさん*3が「緑の党」に参加するとお聞きしていたところに、本屋でデレク・ウォール著『緑の政治ガイドブック: 公正で持続可能な社会をつくる』(ちくま新書)を見かけたので、購入して読み、当ダイアリーにレビューを書いた。以下再掲する。

緑の政治ガイドブック―公正で持続可能な社会をつくる (ちくま新書)

緑の政治ガイドブック―公正で持続可能な社会をつくる (ちくま新書)


この本を最初に書店で目にしたのは2月だが、買ったのは3月31日夜。その日閉店したジュンク堂書店の新宿店に最初で最後の訪問をしたのだ。そして連休明けに読んだ。

このように抵抗があったのは、巻末に「右でも左でもなく前へ進む運動を」と題された鎌仲ひとみと西沢新一の対談が収録されていたからだ。ネット論壇(?)でひところ流行った「『右』も『左』もない」というフレーズを思い出させる上に、私は昔から中沢新一という人物に対して偏見を持っている。その偏見は、1988年の東大駒場騒動(中沢事件)の頃から持っていて、オウム真理教擁護の件で決定的になった。

結論から言うと、この巻末の「対談」には見るべきところもあるけれども、「右でも左でもなく前へ進む運動を」というのは不適切なタイトルだ。というのは、著者のデレク・ウォール自身がこのスローガンに否定的な文章を書いているからだ。以下本書から引用する。

・緑の政治は右か左か

 緑の運動家が共有する基本原理である「自然の尊重」「全体論」「成長の限界」についての概要を説明することは可能だが、保守主義にも様々な立場があるように、緑の運動家にも「環境保護主義者」「社会主義者」「アナーキスト」「フェミニスト」など様々な立場がある。したがって主要な問題について見解は分かれており、論争が続いている。緑の党内では様々に意見の変化が生じており、分裂したり合流したりすることもある。たとえば「左派の生命中心主義者」が自らを、ある時は「社会主義者」またある時は「ディープ・エコロジスト」と名乗るといった具合である。

 確かに、左翼か右翼かを区別する基準は一般的に「富と所得の再配分に対する方針」にある。「自然中心主義」か「人間中心主義」なのかという基準も右翼・左翼とは無関係である。「中央集権主義」か「分権主義」なのかという視点も当てはまらない。緑の党は「分権主義」だが、多くの左翼は「富と所得を再配分するためには、より強力な国家と中央集権的な政治権力が必要である」と考えてきた。そもそも従来の政治家は左翼・右翼どちらも、成長の限界や、全体論的視点、動物の権利について語ることはなかった。

 それでも緑の党を「右翼でも左翼でもない」と定義するのは単純化が過ぎるだろう。緑の党は社会的公正を求めて、「反企業・反資本主義」の政策を主張しており、多くの場合、左翼の立場をとってきたと言える。従来の視点で緑の党を分類することはできないが、右翼・左翼といった基準を無視することもできない。「富の再配分」と「企業活動の規制」をめぐってどのような政策を実行するのかは、環境にとっても大きな影響を与えるからだ。緑の政治の他の柱も同様に左翼的と言える。

 ちなみに「右でも左でもなく前へ進む政党」という定義は、「キリスト教民主党」を離党して緑の党の設立に参加した、西ドイツ連邦議員のヘルベルト・グルールが作った言葉である。

(デレク・ウォール『緑の政治ガイドブック: 公正で持続可能な社会をつくる』(ちくま新書, 2012年)93-94頁)


著者のこの文章と巻末の鎌仲・西沢対談のタイトルはいかにもミスマッチである。しかも、対談で中沢は「この本で物足りなかったのは、緑の政治哲学の部分でした」などと語っている*4。異論は本の巻末に対談者として登場するのではなく、別途書評でも書いてやるべきじゃないか、と正直言って鼻白む思いがした。


いきなり批判から入ってしまったが、この本は、賛成できる部分とそうではない部分があるものの、読んで良かったと思える本ではあった。正直言って私は「緑の党」は「環境問題」に特化した政党ではないか式の偏見を持っていたのだが、そういう先入観をこの本は一掃してくれた。第五章「生命のための政治」には

「所得の再配分」も重要な手段であり、緑の党は「高所得者層に多くの配分を求める累進課税に賛成する。

と書かれている*5。さらに緑の党は教育の民営化に反対し、労働組合の権利拡大を支援するという*6。ホームレス問題の解決、医療保険制度の拡充にも言及する*7。第三章ではボリビア大統領エボ・モラレスの言葉を借りて水道の民営化にも反対している*8。誰かさんとは真逆の政策がずらり列挙されているのだ。

第四章では、「ベーシック・インカム」に言及している*9緑の党ベーシック・インカムを支持する。ベーシック・インカムはやはり一筋縄ではいかない。フリードマン流の「負の所得税」があれば、マルクス主義学者に起源を持つとの話も聞いたが、「緑の党」流のベーシック・インカムもあるようなのだ。緑の党は「環境税」にも賛成するが、この税が富裕層や企業の負担を貧困層に移転するために右派が支持してきた政策だとも同時に指摘し、この問題を解決するために、緑の党は「環境税」導入と同時に消費税などの間接税を引き下げるべきだと主張している*10

緑の党選挙制度にも言及し、小選挙区制を批判して比例代表制を求める。「アメリカ緑の党」はアメリカの小選挙区制を廃止して比例代表制を導入することを求めている*11。さらに、連立政権入りして連立与党の政策にのみ込まれた例を紹介し*12、「既成政党を内側から改革するより、一切の妥協を排した真の緑の党として政策を競い合うことで、他姓等に影響を与える方が容易で効果的だという意見もある」としている*13。また、「ニュージーランド緑の党」は企業献金の制限を主張している*14


緑の党」と旧来左翼を分けると著者(や中沢・鎌仲両氏ら)が考えていると思われる「中央集権」と「地方分権」の問題については、私個人はその中間に解があると思っている。中央集権を原発に、地方分権地産地消再生可能エネルギーになぞらえるアナロジー、あるいは前者をホストコンピュータが全体を制御するシステムに、後者をインターネットのwww(world wide web)のようなシステムにそれぞれなぞらえるアナロジーを私は以前から念頭に置いている。それは金子勝氏や(橋下徹のブレーンになってしまった)飯田哲也氏らの影響を受けたものであり、この観点からいえば、ともに原発に強くこだわる民主党自民党は左翼政党に負けず劣らず中央集権的な政党なんだなといつも思っているが、その反面、地域間格差を縮小するためには中央政府の役割は決して無視できないとも考える。だから「小さな政府」にも反対であり、中沢新一が言うような、モジュールが結合してネットワークを形成すればコモンズを復活できる、みたいな楽観的な考え方にも与することができない。もっとも、中沢と違って「グリーン左派」に属しているらしい著者デレク・ウォールは本書で繰り返し新自由主義を批判しているから、その点に関しては著者の考え方にはそれほど違和感はない。

むしろ本書を読んで一番納得できなかったのは経済成長否定論であり、これは人類の理想としてはわかるのだが、現在の日本において、欧米やアジア諸国が経済成長をしている中で日本経済だけ(に見える)が縮小している現状にこれを短絡的に当てはめるとたまったものではないと思った。この責めを、もともとは日本人向けに本を書いたわけではないイギリス人の著者に負わせることは、もちろん不当なことなのだけれど。それこそ日本政府は「日本版グリーン・ニューディール」で内需を拡大すべきだし、省エネ技術や「ダムを壊す公共事業」だってありじゃないか、と私は思うのである。野田佳彦民主党政権にそれが期待できないことは言うまでもないが。


最後に、今年、日本の「緑の党」の結成を予定しているという「みどりの未来」との関連に言及すると、私がもっとも懸念しているのは、ずばり橋下徹との関係だ。

もともと、「みどりの未来」には新自由主義に絡めとられがちな「脇の甘さ」があった。本書に、2007年参院選で「みどりの未来」に支援されて当選した川田龍平が言及されているが、残念なことに、

川田龍平氏は後に「みどりの未来」を離れ、二〇〇九年に「みんなの党」に加わった。

との訳注*15がつかざるを得なかった。さらに懸念されるのが橋下徹との関係であることはいうまでもない。

上に見たように、「緑の党」の本来の政策は、「ハシズム」とは真逆のものである。しかし、「みどりの未来 橋下」でググってみればすぐにわかるが、日本版「緑の党」が「ハシズム」に絡め取られてしまうのではないかとの懸念を抱く向きは多い。

特にひところ話題になったのは、3月28日付の朝日新聞に掲載された尼崎市長にして「みどりの未来」の元共同代表である稲村和美氏のインタビュー記事で、稲村氏は明らかに橋下を肯定的に評価していた*16

脱原発」の一点での橋下との共闘、などといった思惑があるのかもしれないが、橋下はマスコミ(特に大阪・東京のテレビ局)をバックにした全国的な人気者であるのに対し、「緑の党」結成を予定している「みどりの未来」はごく少数派の政治勢力である。同党の良さは、橋下に妥協することでほぼ100パーセント吹っ飛んでしまうものだと私は考えている。同党が「ハシズム」から完全に自由になり得る、と確信を持てた時に初めて、子供の頃から「心情エコ派」だった私は、同党を支持することを検討するだろう。現時点は、はっきり言って「ハシズムにのみ込まれるのではないか」との懸念が大きすぎて、同党への支持を検討する気にはなれない。


その後、橋下が「なんちゃって脱原発派」の正体を露呈したこともあって、「緑の党」が橋下と組む可能性はほぼ消滅した。「みどりの未来」の共同代表だった稲村和美氏も、「緑の党」にもかかわっているものの、同党の「共同代表」ではないはずだ。それでも、「緑の党」への懸念は払拭されたわけではない。現段階では、相変わらず「トンデモ」への耐性が懸念される。おそらくこの参院選で「生活の党」の党勢がさらに縮小すると思われるが、同党支持者の中に少なからずいる、リチャード・コシミズばりの「不正選挙」を叫ぶトンデモ陰謀論者が、「緑の党」になだれ込みやすい状況になっている。

それでも、「緑の党」には中央政界に是非参入してもらいたいと思っている*17。党勢が拡大したあかつきに、上記に紹介したデレク・ウォール氏のようなしっかりした思想を持った指導者が党を指導していけば、党の「トンデモ耐性」も増していくことが期待されるからだ。

しかし、結論を申せば、まことに歯切れの悪い文章で申し訳ありませんけれども、現時点においては私は「緑の党」を、期待と懸念を込めて見守るという以上の立場に立つことは、残念ながら「まだ」できません。上記に書いたような懸念がまだまだ大き過ぎて「支持」には踏み切れない次第です。

*1:http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1309.html

*2:http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1309.html#comment16722

*3:http://hiroseto.exblog.jp/

*4:本書221頁

*5:本書153頁

*6:本書153頁

*7:本書154-156頁

*8:本書108頁

*9:本書130-132頁

*10:本書127-128頁

*11:本書159頁

*12:まるで「自社さ政権」の時の社会党みたいだと思った。

*13:本書172-174頁

*14:本書159頁

*15:本書37頁

*16:稲村市長が橋下を絶賛していた、として論難する向きもあるが、そこまでひどくはなかったのではないかとは思う。個人的にいえば、それよりも私が気になったのは、稲村氏が「新しい公共」の支持者だと明言していたことである。これは鳩山由紀夫が大好きな言葉で、2009年の「民主党マニフェスト」にもうたわれているが、(特に民主党政権下においては)容易に新自由主義に転化してしまう性質のものであって、軽々しくこの言葉を用いる人を、私はどうしても信頼できない。

*17:但し、新規の政治勢力が中央政界に参入する際に障壁となるのは選挙制度である。参院選には比例区があるが、改選議席は48議席であり、現在「緑の党」が1議席を獲得するのは難しいと見られる。衆院選も比例ブロックは大きくなく、参院選以上に新規の政治勢力の参入は難しい。今年に入って東京で2度参加した、さとうしゅういちさんを囲む「お茶会」で私が発言したのは、持論である小選挙区制批判だった。