今日は「防災の日」、つまり関東大震災から90周年に当たる日だが、90年前の今日、東京は火の海になった。一方、現在大きな問題になっているのは、東京電力が原発事故を起こした福島第一原発で今も垂れ流している放射性汚染水である。
http://www.asahi.com/national/update/0831/TKY201308310374.html
新たに汚染水もれ、高線量検出 最大1800ミリSv
【小池竜太】東京電力福島第一原発のタンクから高濃度の放射能汚染水が漏れた問題で、東電は31日、4カ所で高い放射線が検出されたと発表した。2カ所はすでに表面で毎時約70〜100ミリシーベルトの高線量が見つかっていた場所で、今回は最大同1800ミリシーベルトが測定された。
今回の高線量は、汚染水漏れを受けて東電がタンクの調査を強化する中で見つかった。調査が進めば、今後も漏れが見つかる可能性がある。
東電によると、8月22日に高線量が確認されていたH3エリアと呼ばれるタンク群の2基の底部の継ぎ目付近で31日に再測定したところ、同約220〜1800ミリシーベルトが確認された。同1800ミリシーベルトは人が4時間ほど浴びると死亡する線量だが、ほとんどが透過力が弱いベータ線なので、きちんと防護していれば遮蔽(しゃへい)できる。
(朝日新聞デジタル 2013年9月1日1時4分)
東電原発事故で覚えたことは、半数の人が死亡する被曝量はおよそ4シーベルトということ。上記記事が書いている被曝量は7.2シーベルトであり、これだと多数の人が死亡する被曝量である。原発報道でいつもうざいと思うのは、上記朝日の記事のような「1800ミリシーベルト」という表記であり、「1.8シーベルト」と表記すべきだと私はずっと考えている。「マイクロ」や「ミリ」のつかない「シーベルト」オーダーの被曝量は、「人体に直ちに影響を与える」ものであり、そのことを読者に印象づけるべきだと考えるからだ。人々が「放射線不感症」(いわゆる「安全厨」)と、「放射線過敏症」(いわゆる「リスク厨」または「危険厨」)の両極端に分かれているのが嘆かわしいと思う今日この頃だが、今回の東電放射性汚染水漏洩は、間違っても軽く扱われてはならない重大事である。「重大な異常事象」とされる「レベル3」は、国内では「レベル7」の東電原発事故本体と、「レベル4」の東海村JCO核燃料加工施設臨界事故(1999年)に次いで深刻な、「重大事象」なのである*1。
しかるに、国会議員、特に自民党の議員どもは下記のようなていたらくだ。
http://www.asahi.com/politics/update/0830/TKY201308300429.html
汚染水漏れ審議、国会先送り 五輪招致への影響考慮
東京電力福島第一原発の放射能汚染水漏れをめぐり、衆院経済産業委員会の閉会中審査が30日、9月中旬以降に先送りとなった。経産省が来週中に打ち出す汚染水対策を見極めてから、審議日程を再調整する。9月7日の国際オリンピック委員会(IOC)総会前に、委員会審議が紛糾すれば、2020年の東京五輪招致に影響しかねないとの判断も働いた。
閉会中審査は、国会閉会中に重要案件を審議する必要があると国会が判断すれば、開くことができる。
経産委は30日に理事懇談会を開き、経産省の平将明政務官らが「来週中に現地対策本部を立ち上げ、具体的な対応に入る」と説明した。与党は「対応策をしっかり見て、もう少し時間をとったうえで、閉会中審査を検討したい」と提案し、野党も「政府の対策を邪魔するつもりはないので、対応が決まったら委員会を開いてほしい」と応じ、先送りが決まった。
(朝日新聞デジタル 2013年8月30日23時2分)
森喜朗(シンキロー)は「重大事象」の影響を懸念しているようだ。
http://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/news/CK2013083102100018.html
五輪招致 汚染水で混迷 森元首相 本紙インタビュー
「日本の力 見せる時」
九月七日の二〇二〇年夏季五輪の開催都市決定まであと一週間余り。東京招致に向け、政財界一体となった招致委の評議会議長を務める森喜朗元首相は三十日、本紙のインタビューに「(福島第一原発の汚染水漏れ事故の報道で)ますます分からなくなってきた」と情勢を分析。安倍晋三首相が出る最終プレゼンテーションでの対応が重要との認識を示した。(田嶋豊)
一九年のラグビーワールドカップ(W杯)招致を成功させた森氏は、今回もきめ細かな采配(さいはい)を発揮。日本オリンピック委員会(JOC)が中心だった前回のコペンハーゲンの反省から「敗因分析も明確にない中、戦略を立て直した方がいい」と指示。招致委に外務省や文部科学省の人間を送り込み、あらゆる団体を網羅し、国民的運動として盛り上げてきた。
マドリードと東京の決選投票をにらんだ情勢も一部伝えられるが、森氏は王室を巻き込んだスペインの動きを警戒。さらには「アンフェアだが、欧州における汚染問題のネガティブキャンペーンが痛手だ」と分析する。
一方、その対応をめぐり、二十九日の出発直前まで竹田恒和理事長らと協議。森氏は国際オリンピック委員会(IOC)委員には欧州勢が多く「風で(票が)動くこともある」と警戒感を募らせ、プレゼンに臨む首相に「ネガティブキャンペーンをうまく打ち消す対応をしなきゃいけない」と注文する。
戦後、国民に自信と希望を与えた一九六四(昭和三十九)年の東京五輪から半世紀。森氏は「東日本大震災もあった。復興と元気、世界中に日本の力を見せる時だ」と強調する。日本だけではない。「スポーツの世界で取り残されているアジアの存在感を示し、理解してもらう機会になる」と期待を込めた。
改憲「国民の意見聞いて」
森元首相は本紙のインタビューで、改憲や集団的自衛権の解釈見直しなどに積極姿勢を打ち出す安倍政権に対し「そこまで踏み込んで良いのかという思いが正直ある」と述べ、慎重な対応を求めた。
自民党の実力者だった古賀誠元幹事長(73)や野中広務元官房長官(87)らが、改憲発議要件を定めた九六条見直しに反対を表明するなど、政界でも安倍政権の姿勢に慎重な意見は少なくない。
森氏は「僕らの世代には、そういう気持ちは少なからずある」と話し、実体験で戦争を知る世代として古賀氏らの考えを理解できると説明。その上で「もっと慎重に国民の意見を聞いて判断していくべきだ」と安倍政権に十分な議論をするよう求めた。
(室木泰彦)
(中日新聞 2013年8月31日)
私は五輪の選考で東京が落ちてほしいと念じているが、仮に間違って東京が選ばれてしまった場合、1940年の二の舞になるのではないか。
すなわち、「幻の五輪」である。