kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

特定秘密保護法が成立

ついにこの日がきた。

http://www.asahi.com/articles/TKY201312060265.html

特定秘密保護法が成立 「知る権利」損なわれるおそれ


 国の安全保障の秘密情報を漏らした公務員や民間人に厳罰を科す特定秘密保護法が6日深夜の参院本会議で、自民、公明両与党の賛成多数により可決、成立した。秘密の範囲があいまいで、官僚による恣意(しい)的な秘密指定が可能なうえ、秘密指定の妥当性をチェックする仕組みも不十分だ。国民の「知る権利」が大きく損なわれるおそれがある。衆院採決で賛成したみんなの党が退席に転じ、野党の協力を得られないまま与党のみで成立した。

 採決は6日深夜の参院本会議で記名方式により行われた。投票結果は賛成130票、反対82票だった。

 この本会議で、国家安全保障特別委員会の中川雅治委員長(自民)に対する問責決議案を与党多数で否決し、そのまま同法案の採決に入った。中川委員長の報告の最中に、日本維新の会みんなの党は退席した。民主も「中川委員長の報告は聞かない」として、野党共闘で足並みをそろえる狙いもあり、いったん退席したが、議員総会の結果、反対票を投じるべきだとの声が多数を占めた。結局、自民、共産両党の討論の間に議場に戻って来た。

 その後の採決により与党の賛成多数で可決・成立した。民主、共産、生活、社民各党は反対した。維新は退席したままだった。みんなは衆院採決で賛成したが、参院採決で退席に転じた。みんなの川田龍平寺田典城真山勇一の3議員は、退席という党方針に造反し、出席して反対した。

 法案は10月25日に国会提出され、11月7日に審議入りした。自公と維新、みんな4党が修正案をまとめたが、法案の重大な欠陥はただされなかった。衆参ともに特別委で、地方公聴会で懸念が表明された翌日、与党が採決を強行した。

 同法の問題の根幹は、閣僚のもとにいる官僚が恣意的に秘密の指定を増やせる余地があることだ。国民は何が秘密にあたるのかすら、知ることができない。

 秘密を扱う民間人や公務員が漏らした場合、罰則は最長で懲役10年。公務員に加え、省庁と契約している民間業者も対象になる。公務員が萎縮し、情報提供をしなくなるおそれがある。秘密を扱う人物は適性評価を受ける必要があり、家族の国籍や経済状況、飲酒の節度まで調べられ、プライバシーの侵害も懸念される。

 安倍晋三首相や菅義偉官房長官は国会答弁で、秘密指定の妥当性をチェックする機関として「保全監視委員会」と「情報保全監察室」(いずれも仮称)の設置を表明。しかし、いずれも国会審議中に野党から指摘され、後付けのように対応したものだ。政府内に置かれ、「身内」の官僚がスタッフとなるため、第三者的なチェック機能は期待できない。

 秘密の有効期間も政府案の「原則30年」から修正案で「原則60年」に後退した。さらに例外として「政令で定める重要な情報」など7項目も設け、60年を超えて秘密のままにできる。

 同法は今月中にも公布され、公布から1年以内に施行される。森担当相は法成立後に「運用の中で改善していく」と答弁したが、野党から「提出前に改善するのが当たり前で、欠陥法案だ」との批判が出ていた。

 民主は6日午後、衆院安倍内閣不信任決議案を提出。「国民の知る権利を著しく侵害し、国民生活に重大な影響を及ぼす」と指摘したが、与党と維新の反対多数で否決された。参院にも森雅子・同法案担当相の問責決議案を提出したが、本会議で否決された。

朝日新聞デジタル 2013年12月7日00時53分)

修正協議で政府案からさらに後退させながら、参議院の採決で欠席に追い込まれた上、川田龍平寺田典城真山勇一の3人の造反者を出したみんなの党党首・渡辺喜美や維新の怪の面々の罪は万死に値する。また、法案修正に応じた連中に劣らず批判されるべきは橋下徹であって、前に一度法案を批判する意見を述べたが、日本維新の怪の議員団が与党との修正協議に同意するなり、これを容認した。法案容認が橋下の真意だったとみなすべきであろう。また石原慎太郎党首討論で秘密保護法に賛成する意見を述べたが、その数日前に行われた衆議院の議決で「退席」を決定した党の方針に反して石原が「賛成」票を投じたという話は聞いたことがない。そもそも橋下にしても石原にしても、共同代表の「意見」が党の方針と食い違うこと自体ナンセンスであるが、この石原と橋下という2匹の双頭のチキンを頭にいただく日本維新の怪は、今後も日本の政治に害毒を流し続けるだろう。

そのほか、昨日、ピレイ国連人権弁務官の秘密保護法案批判にキレた城内実(自民)が「国連人権弁務官に謝罪させよ」と暴言(呆) - kojitakenの日記 で叩いた「バカは氏ななきゃ治らない」*1城内実もひどかった。この件に関するid:Gl17さんのコメントを紹介する*2

Gl17 2013/12/06 22:44
城内氏、もしも自説通りに国連行って文句付けて来い、と任命されたらどんな顔するでしょうね。自民の身内会合だからこんな強気妄想をぶてるとして、いかなる意味でも完全にアウェーの国連人権委で同じこと吹ける度胸はあるまいに。(あったらあったで、別の意味で救い様がない)
秘密法については「ツワネ原則」作成の米「オープン・ソサイエティ」財団からも最大限の強い口調で非難声明が出され、国際基準と彼等の乖離は明らかなのに。


財団の口調から解すると、安倍政権というのは外交的配慮をした表現では通じない、ハッキリ言ってやらないと判らない連中だ、という認識が海外で行き渡りつつあるものを感じます。


しかし、維新てのは強気姿勢、ぶれない・怯まないといった自己イメージで売ってる政党だったはずですが。(実態は違うとして)
これだけ露骨に「脅す」と言われてそのまま膝を屈するのか、ちょっとした見物ではあります。
恐らくこれまでのパターンからすると私が期待するような喧嘩にはならず、満天下に知られた「脅し」が無かったかのように振る舞い、何も無かったので負けてない、というフリをするのでしょう。


上記Gl17さんのコメントのうち、赤字ボールドにした件について、下記記事を挙げておく。

http://www.asuno-jiyuu.com/2013/12/blog-post_4434.html

2013年12月6日金曜日
ツワネ原則発表のオープン・ソサエティ財団が“今世紀最悪”と声明発表


 ツワネ原則作成に関わってきたアメリカのオープン・ソサエティ財団が、特定秘密保護法案について声明を出し、「知る権利を厳しく規制するもので、日本にとって後退となる」「この法は、21世紀に民主政府によって検討された秘密保護法の中で最悪なものである。」と、厳しく批判しています。

 NHKでも報道されています。 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131206/k10013643701000.html

 このオープン・ソサエティ財団は、アメリカの元政府高官のモートン・ハルペリン氏(←かねてから同法案を批判)が上級顧問を務めています。

 国際的な批判が、止まりません。このように、転落していくかのように国際的な信用を失っていく安倍政権は、どこへ向かうのでしょうか。


 http://www.opensocietyfoundations.org/press-releases/japans-new-state-secrecy-law-threatens-public-accountability


 以下、声明の和訳を貼り付けます。

日本の特定秘密保護法によって説明責任が脅かされている


 ニューヨーク−オープン・ソサエティ財団は、金曜日に日本の国会において採択されようとしている特定秘密保護法について、強い懸念を表明します。

 上級法務顧問であるSandra Coliver氏は、この新法は、国家安全保障に関する公の知る権利を制限する点において、厳しい制限を設けている国際基準から大きく後退することを指摘しました。
 Justice Initiativeにおいて知る権利に関する業務を率いているColiver氏は、「日本にとって後退を意味している。」と指摘しました。
「これは、政府の説明責任を脅かすほどの秘密主義を提案するものです。」


 オープン・ソサエティ財団の上級顧問であり、アメリカ政府において安全保障に関する3つの要職を務めるモートン・ハルペリン氏は、「この法は、21世紀に民主政府によって検討された秘密保護法の中で最悪なものです。同じく懸念すべきは、公共の関心に関する事柄は、市民社会や国際的な専門家からの広いヒアリングと相談を行っていないことです。」と述べます。


 国連の表現の自由に関する特別審査官であるフランク・ラ・ルー氏は、「きわめて広範かつ抽象的な事柄が秘匿されるというだけでなく、公益通報者や秘密を報道したジャーナリストに
対して深刻な脅威を与えるものである。」と表明しました。


 新法は、下記の内容を含んでいます。

  • 2001年の法律によって防衛省が保持することになった「特別防衛秘密」権限を劇的に拡大するものであること。新法は、複数の抽象的で過度に広範な種類の情報−防衛、外交、「特定有害活動」、テロ防止を含む−に関する上記権限を拡大すること。
  • 政府が秘密を指定することができる権限を与える者は、すべての閣僚と主な官僚にまで拡大されること。
  • 機密を暴露したことに対する刑罰は、2001年の法律では最大で5年の懲役であったものが10年の懲役に拡大されること。
  • 完全に独立した第三者機関や裁判所から、秘密の指定を見直す方策はとられていません。

加えて、

  • ある情報に対する公共の関心が、情報の公開による害悪に勝る場合に、その情報を公開することを許容する、「公共の関心の超越」という考え方を含んでいません。
  • 公共の関心の擁護が含まれていません。公共の関心が高い事項を漏らした人についても、公共の関心が公開による現実の害悪よりも上回る場合には、刑罰に問われるべきではありません。

 これらのいずれの点についても、この法律は、ツワネ原則−国家の安全や情報に関する権利に関する国際的な原理であり、Justice Initiativeが起草に関わった−に反映された国際的な水準と良き慣例から大きく後退しています。

 ツワネ原則は、近代民主主義国家の法律や裁判所の判断に反映された、国際的及び国内的な法律、標準や慣例に基づいています。これは、世界中から集まった22の団体と学術センターが起草し、国家安全保障や外交の知識や経験のある者を含む500人以上の専門家に相談して作られたものです。ツワネ原則は、ヨーロッパから選出された委員会、関連する国連の特別報告官、情報を求める権利や表現の自由にかかわるアメリカやアフリカの人権団体の報告者の支持を受けています。

 ツワネ原則は、政府が機密情報を秘匿することは、正当な国家安全保障上の利益を保護するために必要な限りにおいてのみ許されると指摘しています。日本の法案は、この基準に合致していません。

 安倍晋三首相は、米国をモデルにしたNSCを創設するために、強力な秘密保護法が必要だと繰り返し主張しています。
 しかし、米国の親密な同盟国のいくつかは、機密情報に指定するに際しては公共の利益を考慮し、国家機密情報の暴露に対する刑罰を最大で5年かそれ未満とし、機密指定できる省庁
を限定し、裁判所及び(又は)独立した第三者機関によって機密指定を変更できる手続きを定めています。

 「アメリカ型の機密種別は、他の国に強制されるべきでないものです。米国政府が膨大な数の情報を機密としたことは、本物の秘密を守ることを事実上不可能にしています。」Sandra Coliver氏は付け加えました。
 「安全保障を含む、国の活動に関する情報が公によく周知されたときに、国家機密は最もよく守られるのです。」