kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

東京都知事選は「大山鳴動して鼠一匹」か

舛添要一がマスメディアで目立つようになったのは1988年頃だったと思うが、私はその頃からこの男が大嫌いだった。当時は現在ほど日本全体が極端に右傾化していなかったが、その中にあって舛添はバリバリの保守系論客で、私は「なんだ、この右寄りの野郎は」と強い反感を持ったのだった。

その舛添が今では石原慎太郎平沼赳夫らの極右連中から嫌われている。石原や平沼らの「お仲間」である安倍晋三もさぞ「冒険」をしたかったろうと推測するが、さりとて安倍晋三は自由に動ける石原や平沼らとは違って自公連立の枠組を維持しなければならない。歴史的使命をとうに終えた自民党という政党が、いまだに議会において圧倒的な議席占有率を誇るのは、強固な固定票を持っている公明党と連立を組んでいるからにほかならない。そんなことくらい安倍晋三だって百も承知なのだ。

ネトウヨのブログの他、一部リベラル系のブログにも、自公が連立を解消するのではないかとの希望的観測を書くところが見られるが、そんなことにはならないと私は断言する。

ところで、昨夜報棄て(テレビ朝日報道ステーション』)を見ていて面白いと思ったのは、舛添要一自民党の色がつくことを嫌っているらしいような報じっぷりだったことだ。つまり、早くも国民の自民党離れが始まっている気配がある。自民党は議会でこそ「一強」と言われる圧倒的な第一党だが、それよりも「無党派層」の方がはるかに分厚いのである。その「無党派層」がある時には鳩山(小沢)民主党支持へと雪崩を打ち、ある時には橋下徹への幻想を膨らませた。今また行き先を見失いかけている。昨年安倍晋三が好調だったのは、自らの政権の経済政策に勝手なニックネームをつけて、国民の暮らしが良くなるかのような幻想を振りまいた戦略が功を奏したためだが、消費税増税という鬼門を前にして、安倍晋三は大いに焦っている。だから企業に賃上げを要請している。おそらくサービス業の大手企業ではベア(ベースアップ)が実施されるだろうが、同じ大手でもパナソニックなどの電機系は、新卒の採用を増やすとは報じられているとはいえ、それでもなお苦しいだろう。そして中企業、小企業、零細企業と企業の規模が小さくなればなるほど苦しい。安倍政権の金融政策「は」支持するノーベル賞経済学者のジョセフ・スティグリッツが昨年6月15日付朝日新聞オピニオン面に掲載されたインタビューで正しく指摘していたように安倍政権の政策には「再分配」が欠けているから、経済政策の恩恵はどうしたって大企業に偏る。しかも安倍政権はその一方で派遣労働をさらに拡大しようとしているから、格差は拡大する一方である。特に若年層の疲弊が著しい。私はこのところずっと感じるのは、戦争が起きたら戦力の中心となる若年層の人口が急減している上、常日頃から派遣会社やらブラック企業やらに搾取されてすっかり疲弊しているのに、どうやって安倍晋三は近隣の国と戦争を起こすつもりなのだろうかということだ。要するに安倍晋三の政策に持続可能性など全くないのだが、安倍晋三が「裸の王様」であると正しく指摘する人間が誰もいない。これこそ日本国の危機ではないかと思う。

話が都知事選から大きくそれた。舛添要一の話に戻る。

最近、7年前に安倍晋三が総理大臣の職を投げ出す前日に書いた下記記事が、Twitterで拡散されているようだ。

確かに舛添要一ホワイトカラー・エグゼンプションを推進しようとした新自由主義者であるが、その一方で舛添は変わり身の早い人間でもあり、日本で新自由主義批判の嵐が吹き荒れた2008年だったと思うが、「日本人には高負担高福祉が合っていると思う」とかなんとか言っていたはずだ。この発言には舛添自身が母親(2000年死去)を介護した経験が反映しているのではないかと指摘する向きもあった。ただ、新自由主義批判の嵐は短期間で終わり、舛添は再び新自由主義寄りの立場をとるようになった。なんだかんだ言っても、舛添は一応経済右派ではあるとはいえる。

しかし、舛添要一は政治思想的には国家主義への傾斜はあまりない。昨年安倍晋三が強硬に成立させた特定秘密保護法にも懐疑的だったという。靖国参拝にも消極的だとして舛添を毛嫌いする右翼も少なくない。その点は、ライバル・城内実の影響を濃厚に受けて極右政治家の代表格に変身した前妻の片山さつきとは大いに異なる。自民党民主党のそれぞれ主流派が舛添を担ぎたがるのも、そうした舛添の「無難さ」によるものだろう。

但しまだ波乱があるかもしれない。冗談だとばかり思っていた細川護煕の出馬説が、朝日新聞(1/9)1面に、もちろんトップ記事ではないが掲載されていた。

http://www.asahi.com/articles/ASG187HX7G18UTFK00W.html

細川元首相、都知事選候補に浮上 「脱原発」争点に


 23日告示、2月9日投開票の東京都知事選で、元首相の細川護熙(もりひろ)氏(75)が候補者として浮上していることが8日分かった。同氏に近い関係者によると、「脱原発」を掲げ、小泉純一郎元首相との連携を模索しているという。数日中に最終的な判断をするとみられる。

 細川氏に近い複数の関係者によると、細川氏は周囲に「立候補は五分五分だ。勝ち負けじゃない」などと立候補の可能性を示唆している。選挙に出た場合に備え、選挙事務所や資金などの準備はほぼ整えているという。

 細川氏は、原発の再稼働や海外輸出を進める安倍政権を批判している。立候補した際には「脱原発」を最大の争点にする意向だ。このため、同じく「脱原発」を掲げる小泉氏との連携を重視。小泉氏からの支援を受けられるかどうか慎重に見極めている。

 民主党細川氏に立候補を働きかけており、立候補した際には支援に回ることを検討している。ただ、細川氏は立候補する場合は無所属で出る考えという。

 細川氏は、参院議員、熊本県知事を経て1992年、日本新党を結成。93年に日本新党社会党新生党新党さきがけなど「非自民」8党派による連立政権の首相に就いた。98年に政界を引退し、現在は陶芸家として活動している。

朝日新聞デジタル 2014年1月9日05時12分)

だが、20年前ならともかく、いまさら細川でもあるまいと思う。それに、この男は安倍晋三よりも短い8か月で総理大臣の職を投げ出した男だ。今回も、世間を騒がせるだけ騒がせて、結局「出るのはや〜めた」ってことになるのではないか。

そうなると、大山鳴動して鼠一匹舛添要一圧勝の拍子抜けの選挙になる。そういえば舛添要一の風貌は鼠に似ている。四半世紀前の第一印象は、今も変わらない。