kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

加藤洋一と高橋純子に見る「朝日人」の「処世術」

東京都知事選が告示された一昨日(23日)の朝日新聞1面トップ記事は、編集委員・加藤洋一が行ったキャロライン・ケネディのインタビュー記事だった。東京本社発行最終版(14版)の見出しは、「歴史問題、中韓との和解促す」である。

だが、加藤洋一は船橋洋一が朝日を退社した後、同紙を代表する親米保守派の記者である。加藤のスタンスは、オピニオン面に掲載されたインタビューの詳報からも明らかだ。さらに加藤は、2面の解説記事にこう書いている。

 米国側は首相の靖国参拝を受けて「失望した」という異例の談話を発表したが、それは参拝そのものに対するものではなく、「地域の緊張を高めた」ことへの不満表明だった。

加藤は何を根拠にこんなことを書くのか。オピニオン面を参照してみる。

 −− 米国大使館は、安倍晋三首相の靖国神社参拝に対し「失望した」との談話を発表しました。反発の声も寄せられたと聞きます。談話の意図は。

 「強固な関係の特徴は、お互いの立場の違いについて、正直に話し合えることです。日本は米国にとって価値ある同盟国であり友人です。それは変わりません。そのうえで言えば、談話の言葉遣いは明確です。米国は地域の緊張が高まることを懸念しており、首相の決断には失望しました」

ここでケネディは(アメリカを含む国々との戦争における戦死者を「英霊」として顕彰する)靖国神社そのものについては、何も言ってないぞ、そう加藤は言いたいらしい。

さらにこのインタビューで加藤は、ケネディから集団的自衛権について前向きな発言を引き出している。以下再びインタビュー記事から引用する。

 −− 昨年9月の上院の指名承認公聴会で、安倍政権が目指す集団的自衛権の行使容認を支持する姿勢を示しました。今も変わりませんか。

 「日本が憲法解釈を変更するかどうかは、国民と議員が決める問題です。しかし、米国政府は、なぜ日本が(自己)規制を見直そうとしているのか理解しています。米国の兵士や水兵が攻撃を受けた場合、日本の自衛隊が(米兵を)守れるのであれば、米国にとって日本はより有効な同盟相手となります」
 「日本は過去数十年、民主主義的価値に根差した平和国家であり、地域と世界に非常に建設的な貢献をすることを実証してきました。周辺諸国との間で信頼を構築することによって、日本はより自信をもってその役割を果たすことができます」


このインタビュー記事が載った翌日の昨日(24日)、安倍晋三は施政方針演説で集団的自衛権の行使容認に言及した。加藤洋一のケネディへのインタビュー記事は、23日付の1面トップ記事の見出しが与える印象とは裏腹に、安倍晋三にとって格好の援護射撃となっている。いかにも朝日らしい手口である。

そういえば、特定秘密保護法について朝日は、同法に賛成する長谷部恭男と反対する杉田敦の対論記事を先日掲載した。今後も随時掲載するらしい。つまり、同法に反対する社論の建前とは別に、秘密保護法についても朝日は今後実質的に「両論併記」で行くということらしい。これまた朝日らしい。その先鞭をつけたのが、昨年末に掲載された高橋純子記者による長谷部恭男へのインタビュー記事だった。

朝日というのは、確かに政権とは一定の距離を持ってはいるようだが、かといって自らの主義主張に確固たる土台があるわけではなく、政権が大きく右に動いても、それに応じて距離を一定に保ちつつ(政権よりは「左」ながら)自らも右に動くらしい。これが1879年の今日、1月25日の創刊以来、135年もの寿命を保ってきた「朝日人」の処世術なのであろうか。