麻生太郎がまたしても意味不明のことを口走ったらしい。
http://www.asahi.com/articles/ASG3T3DBNG3TULFA009.html
麻生太郎副総理兼財務相は25日の閣議後会見で、ロシアによるウクライナ南部・クリミア半島併合をめぐり、「ロシアはキエフ公国から始まった。(ウクライナの首都の)キエフがクリミア半島と別れて、キエフだけ欧州に行ってしまうみたいな話は、日本で言うと宮崎県が独立して(古事記などで神々が生まれ、住んでいたとされる)高天原(たかまがはら)がなくなるようなもの。そんなに簡単な話ではない」と述べた。
オランダ・ハーグでのG7会合で、安倍晋三首相を含む各国首脳は24日、ロシアの対応を「明白な国際法違反」と強く非難し、G8への参加停止を決めた。政権中枢の麻生氏による発言は、それに逆行し、国際的な批判や誤解を招きかねないものだ。ロシアのクリミア併合を正当化するばかりか、ウクライナの欧州連合(EU)加盟を望まないロシアの立場を容認したものとも受け止められかねず、日本政府の見解ともずれが生じかねない。
一方で麻生氏は、ナチス・ドイツが1938年、ドイツ人も多く住むとの理由でチェコスロバキア(当時)のズデーテン地方を併合したことを例に挙げ、「わが国民の保護という話は、ドイツがかつてズデーテン地方の割譲を求めたことに似た話だと欧州の人は思うだろう」と欧州側への理解も示し、ウクライナ問題の解決には時間がかかるとの見方を示した。ドイツは当時、チェコを除いた英仏独伊で4カ国会談を開き、ズデーテン地方の割譲を認めさせた経緯がある。
(朝日新聞デジタル 2014年3月25日12時52分)
「宮崎県が独立して高天原がなくなる」って、何じゃそれ? そもそも宮崎県に「高天原」なんて地名あったっけ。高千穂なら知ってるけど。そう思った人が多かったのではないか。
高天原 - Wikipedia より。
所在地についての諸説
高天原の所在地については古来より諸説あり、古事記における神話をどうとらえるかによりその立場が大きく異なる。
作為説
神話は作られたものであるから、そこに出てくる高天原について「どこにあったか?」などと考えること自体が無意味であるとする説。山片蟠桃の説が代表的なもので、『古事記』における神代のことは後世の作為であるとする。戦後主流となっている津田左右吉の史観はこの考え方に基づく。現在でもほとんどの学者は、高天原神話は支配階級のことを「天上界に由来するが故に尊い」とする信仰を語ったものであるという説に与しており、思想的には異なるものの次の天上説と実質的には同じである。
天上説
「高天原は神の住まう場所であるから、天上や天より高い宇宙に決まっており、それ以外の場所を考えるのは不遜である」とする説。本居宣長の説が代表的なもので、戦前は皇国史観と結びついてこの考え方が主流であった。
地上説
「神話は何がしかの史実を含んでおり、高天原も実在したものを反映している」とする説。現在の歴史学では一般には避けられるが、前近代には有力視され、現在も研究家の説によく見られる。新井白石の説が代表的なもので「高天原とは常陸国(茨城県)多可郡である」とする。地上説にはさらに国内説と海外説がある。国内説の中には、邪馬台国と高天原を関連付けて考える説もある。海外説の代表的なものは中国南部説である。新井白石が常陸国説を唱えるまで、京都朝廷では高天原は大和国葛城だとされていた。
日本各地の高天原
奈良県南部の御所市高天。金剛山の麓に広がる台地上に位置する。古くは葛城といわれた地域で、そこにそびえ立つ金剛山は、古くは高天原山といわれていた。付近は天上の神々が住んだ高天原の伝承地で、ここに所在する高天彦神社は延喜式では最高の社格とされた名神(みょうじん)大社で、祭神は葛城氏の祖神高皇産霊(たかみむすび)神。社殿後方の白雲峯(694m)を御神体とする。参道の両側には杉の古木が立ち並び、神さびた雰囲気を漂わせている。江戸時代初頭までは、この地が高天原史跡だというふうに考えられていた。なお、高天原の石碑はこの地区にある寺の駐車場のところにある。
高千穂(たかちほ) - 宮崎県高千穂町
宮崎県北部。天岩戸や天香具山、高天原、四皇子峰等がある。高千穂神社では、天鈿女命が舞ったことから始まったとされる高千穂の夜神楽が伝承されている。
阿蘇・蘇陽 - 熊本県山都町
高天原神話の発祥の神宮であると近年になって自称している「日の宮・幣立神宮」がある。御神体は豊国文字と阿比留文字が彫られた石板であり、「アソヒノオオカミ」と「日文」が表裏に刻まれている。ちなみに「幣立」とはヒモロギを意味し、太古 天の神が御降臨になった聖なる地とされている。
蒜山(ひるぜん) - 岡山県真庭市
茅部神社の山を登ったところ。天岩戸、真名井の滝、天の浮橋等がある。
生犬穴(おいぬあな) - 群馬県上野村
小さな穴として従来から知られていたが、1929年(昭和4年)に奥へと長く続いていることが発見された。狼の骨が多数発見されたことから命名された。内部に高天原や天の安河原などと名づけられた場所がある。
常陸国多賀郡 - 茨城県多賀郡
新井白石による説で、古代における漢字は「日本語の読み方」として日本語を表記しようとする漢字であり、漢字本来の意味とは表記している言葉の意味が一致しないとする。よってそれから表現する言葉は、漢字に基づく意味を持つものではなく、当て字としての役割しかないとする。白石は『古史通』において高天原をひらがなでの読みで言語解釈し、常陸国多賀郡と比定した。高天原とは私記には師説上天をいふ也按ずるに虚空をいふべしと見えたり後人の諸説これに同じ此等の説皆是今字によりて其義を釋(トキ)し所也凡我國の古書を讀には古語によりてその義を解(ト)くべし今字によりて其義を釋くべからず高の字讀で多珂(タカ)といふは古にいふ所の高(タカノ)國舊事紀に見えしところなり多珂(タカノ)國常陸國風土記に即チ今ノ常陸ノ國多珂ノ郡の地是也天の字古事記に讀ンで阿麻(アマ)といふと注しき上古の俗に阿麻といひしは海也阿毎(アメ)といひしは天也天亦稱して阿麻ともいふは其語音の轉ぜしなり原の字讀ンで播羅(ハラ)といふ上古之俗に播羅(ハラ)といひしは上也されば古語に多訶阿麻能播羅(タカアマノハラ)といひしは多珂海上之(ノ)地といふがごとし
また、言葉の音訓以外にも常陸国には「高天(タカアマノ)浦」や「高天ノ原」という地名が実在していたことも傍証にあげている。
古語に播羅(ハラ)といふは上也とはたとへば日本紀に川上の字を讀ンで箇播羅(カハラ)といふがごとし今も常陸ノ國海上に高天(タカアマノ)浦高天ノ原等の名ある地現存せり
長崎県壱岐市
天ヶ原、高野原等の地名が残り、九州王朝説では天国領域とされている。
氷ノ山(ひょうのせん)西麓 - 鳥取県八頭郡若桜町舂米(つくよね)
鳥取県若桜町舂米のわかさ氷ノ山スキー場には「高天原」の地名・伝承が残っている。
霊石山・伊勢ヶ平 - 鳥取県八頭郡八頭町
天照大神が八上の霊石山(八頭町)伊勢ヶ平にしばらく行宮した後、帰る際に通った道の途中の地点にある。伊勢ヶ平は高天原という名前ではないものの、暫定的にせよ、中央の政治機関があった所とみなしうる。ここには天照大神が行宮の際、白兎に道案内されたという伝承がある。
和歌山県の高野山の地名である高野
以前は「たかの」と呼ばれていた。また近くに天野神社(あまのじんじゃ)がある。この高野と天野で高天原だったと地元の人々は話している。
というわけで、やはり麻生太郎は「高天原=高千穂」をイメージしていたものと推測されるが、上記引用文中赤字ボールドで強調した箇所を理由として、安倍晋三以下自民党の極右政治家どもは、麻生太郎を強く批判し、何らかの処分をすべきであろう。
この麻生の発言は、朝日新聞記者によると「ロシアのクリミア併合を正当化する」ものだそうだ。もちろん麻生にその意図はあったのだろうが、たとえが意味不明に過ぎて「正当化」になっていないところが笑える。
一方、「正当化」するだけだと気が引けたのか、それを打ち消す意味で述べたと思われる麻生発言の後半は意味が明瞭なので、再度引用する。
一方で麻生氏は、ナチス・ドイツが1938年、ドイツ人も多く住むとの理由でチェコスロバキア(当時)のズデーテン地方を併合したことを例に挙げ、「わが国民の保護という話は、ドイツがかつてズデーテン地方の割譲を求めたことに似た話だと欧州の人は思うだろう」と欧州側への理解も示し、ウクライナ問題の解決には時間がかかるとの見方を示した。ドイツは当時、チェコを除いた英仏独伊で4カ国会談を開き、ズデーテン地方の割譲を認めさせた経緯がある。
この部分については麻生の言う通りだと思うが、ロシアのクリミア併合を容認する人間は、ドイツがオーデル・ナイセ線を東に動かせと言い出してもこれに反論できないことをつけ加えておこう。「ロシアの領土拡張は良い領土拡張」の「ダブル・スタンダード」になってしまうからである。