kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

集団的自衛権と公明党・民主党

集団的自衛権の件、公明党をめぐる攻防が山場を迎えつつある。たとえば読売新聞は「公明党よ、早く集団的自衛権の政府癪を認めよ」と言わんばかりの謀略的な記事を書いている。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20140610-OYT1T50216.html

公明、解釈見直し検討に応じる方針…集団自衛権

 公明党の井上幹事長は10日、千葉市内で行った講演で、集団的自衛権の行使でなければ対応できない事態がある場合には、憲法解釈見直しの検討に応じる方針を示した。

 憲法解釈見直しを巡る与党協議の着地点を探る動きとの見方も出ている。与党協議は10日、集団的自衛権関連の議論が本格化し、政府・与党が目指す22日の今国会会期末までの閣議決定に向けた調整は山場を迎えている。

 井上氏は講演で、「対処が必要だが、現行の憲法解釈では対応できないという事例があれば、限定的に容認となるわけだが、これまでの政府の憲法解釈との論理的な整合性、法的安定性などが検討されなければならない。なおかつ、限定的に容認するための基準ができるという合意ができた時に、初めて容認する」と述べた。

 井上氏はまた、首相が会期内の閣議決定を目指していることについて、「必ずしも否定するものではない。何を閣議決定するか、できるところまでやる。一定のまとめは必要だ」という認識も示した。

(読売新聞 2014年06月11日 03時05分)

これと対照的なのが朝日新聞(6/11)2面の、「公明、切られた期限」「熟議唱えるも苦慮」と題された記事だが、例によって「朝日新聞デジタル」の登録者でなければ全文は読めない。私は、新聞購読者にさえ追加の料金を要求する朝日新聞社のふざけた態度に読者として抗議する意味を込めて、日に3本の記事が無料で読めるとかいう「朝日新聞デジタル」無料版にも絶対に登録してやらないと心に決めている*1。幸か不幸か、この記事のエッセンスは登録しなくても読める書き出しの部分に尽きる。

http://www.asahi.com/articles/DA3S11183070.html

(時時刻刻)公明、切られた期限 集団的自衛権、首相「今国会で」

 集団的自衛権の行使容認をめぐって公明党が必死の抵抗を試みている。今国会中の閣議決定を指示して追い込みをかける安倍晋三首相に対し、公明は政府の理屈を一つひとつ論破する形で応戦する。だが、連立離脱カードを切らない以上、形勢不利は変わらない。自公協議が煮詰まる中、妥協か、あくまで反対か、公明に残された時…

朝日新聞デジタル 2014年6月11日05時00分)

公明党には、連立離脱を本気で検討してもらいたいものだが、そんな可能性は万に一つもあるまい。

一方、「民主党保守派」とやらは、安倍晋三への援護姿勢を強めている。

http://www.asahi.com/articles/DA3S11183057.html

民主保守系が容認案 限定行使、代表牽制狙い 集団的自衛権

 民主党保守系議員有志が10日、集団的自衛権を限定的に使えるようにすることを認める「安全保障基本法案」の草案をまとめ、党執行部に届けた。党は行使の是非について見解をまとめておらず、11日に国会の党首討論に臨む海江田万里代表に対し、反対と受け取られるような発言をしないよう牽制(けんせい)する狙いがあ…

朝日新聞デジタル 2014年6月11日05時00分)

この記事も例によって書き出しの部分しか読めないが、紙面には、「草案をまとめたのは松本剛明元外相ら」と書かれている。もっとも、草案をまとめる動きは数日前から報じられていて、民主党きっての軍事タカ派長島昭久や、現在橋下徹らとくっつこうとしている前原誠司など、おなじみの名前が報じられていた。一方、集団的自衛権の政府解釈変更に対する反対を明確にせよと海江田万里に迫る民主党議員は15人ほどしかいない。

集団的自衛権「反対姿勢明確化を」 民主・菅元首相ら :日本経済新聞

集団的自衛権「反対姿勢明確化を」 民主・菅元首相ら

 民主党菅直人元首相や赤松広隆衆院副議長ら15人は5日、国会内で安倍晋三首相がめざす集団的自衛権の行使容認に反対する集会を開いた。会合では今後も海江田万里代表を支える考えで一致。11日の党首討論で政権との考えの違いを明確にするよう海江田氏に求める方針も決めた。

 民主党憲法解釈の変更に反対する党見解をまとめたが、行使の賛否は明確にしていない。行使容認を求める党内の保守派に加え、慎重派も執行部への働きかけを強めている。会合を主催した近藤昭一氏は「そろそろ覚悟を決めて頑張ってもらわないと失望する」と執行部に注文をつけた。

日本経済新聞 2014/6/5 19:42)

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140605/stt14060518470003-n1.htm

混乱続く民主党 菅元首相らリベラル系 行使容認反対、海江田代表に申し入れへ

 菅直人元首相ら民主党のリベラル系議員が5日、国会内で会合を開き、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使を容認しないよう海江田万里代表に申し入れることを決めた。

 会合には菅氏や赤松広隆衆院副議長、江田五月参院議長ら計15議員が参加し、集団的自衛権の行使は容認できないとの見解で一致。海江田氏に対し「自民党の対抗軸として行使容認への反対を(11日の)党首討論で明確にしてほしい」などの意見が出た。

 民主党は「集団的自衛権の『行使一般』は認めない」との党見解をまとめたが、4日には前原誠司前国家戦略担当相ら保守系議員が行使容認の関連法案提出方針を発表したばかりで、党内の混乱が続いている。

MSN産経ニュース 2014.6.5 18:47)

上記はいずれも6月5日付の報道で、いずれにも菅直人の名前が出てくるが、その少し前の時期までは菅直人の姿勢はかなりあいまいであった。周囲のリベラル系の議員に働きかけられて、ようやく「反対」の旗幟を鮮明にしたといったところである。菅直人はこういうところが、集団的自衛権の政府解釈推進を昔からずっと進めてきたにもかかわらず、今に至るも賛否をあいまいにしている小沢一郎と実によく似ている。「政策より権力闘争が好きな」この2人が、東日本大震災・東電原発事故が起きた2011年に国民生活そっちのけの権力争いを展開したことが、現在の安倍晋三の独裁政治を招いたといえる。

いずれにせよ、安倍晋三の強気一点張りが報じられ、ニュースに接するたびに血圧が上がる今日この頃である。

*1:毎日新聞社のように、購読者には追加の料金なしでを登録できるように朝日が姿勢を改めれば上記の限りではないが、朝日はそういうことはしないだろう。