kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

2014年9月22日、安倍晋三は「安全が再び100%確保されない限り原発再稼働は行わない」と国際公約した

安倍晋三よ、川内原発再稼働問題で「我亡き後に洪水よ来たれ」の本音を語れ - kojitakenの日記(2014年9月30日)の関連記事。

この記事に、

だが、現実には安倍晋三は「100%安全な原発だけを再稼働させる」と国際公約した。その一方で安倍晋三川内原発再稼働を進めているのは事実だから、安倍は国連総会で大嘘をついたことになる。相手に平然と嘘をつかれてしまっては議論にならない。だからこそ私は安倍晋三を声高に非難しているのである。

と書いた。安倍晋三のこの発言は、テレビのニュース番組(報棄てかNEWS23)が短く伝えたことで知ったような気がしていたのだが、人間の記憶とはいい加減なものだから、本当にそうだったとは断言できない。当ダイアリー及び「きまぐれな日々」でこの安倍発言に言及したのは上記の文章だけだが、それには情報源を明記しなかった。安倍が当該の発言をしていたことは広く知られていると思ったからかもしれないし、単に情報源を探すのが面倒臭かったか、あるいは単に時間がなかっただけかもしれない。

ところが、実際には上記の安倍発言はロイターが報じているものの、日本のマスコミは取り上げたかどうか怪しいようなのだ。試しに「安倍 原発再稼働 100%安全」でネット検索をかけてみたが、引っかかったのは下記ロイター電ばかりだった。

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0HJ0AT20140924

原発再稼働、100%安全確保されない限り行わず=安倍首相
2014年 09月 24日 14:32 JST

[ニューヨーク 22日 ロイター] - 安倍晋三首相は22日、原子力発電所の再稼働について、安全が再び100パーセント確保されない限り、行わない方針を示した。

国連総会の合間に行われたワールド・リーダーズ・フォーラムで述べた。

首相は、現在日本は完全に化石燃料に依存していると指摘した上で、政府は再生可能エネルギーの早期導入を目指していると述べた。

原発に関しては、安全が確立された場合に限り、再稼働するとの考えを示した。


しかるに、藤井敏嗣・火山噴火予知連絡会会長が「科学的に安全だから原発を動かすという説明は、明らかに間違い」と発言。安倍晋三の大嘘を事前に批判していた形 - kojitakenの日記(2014年9月30日)で紹介したように、藤井敏嗣・火山噴火予知連絡会会長は、今年(2014年)8月、東洋経済新報社の取材に下記のように答えている*1

■ 新たな安全神話の形成も

 私が座長を務めた内閣府の「広域的な火山防災対策に係る検討会」は、昨年5月16日に「大規模火山災害対策への提言」を取りまとめた。そこでは「巨大噴火については知見も研究体制も不十分」としたうえで、「巨大噴火のメカニズムや国家存続方策の研究体制の整備」の必要性を指摘した。そのとりまとめの前後の時期に発表された規制委の「火山ガイド」を見て、巨大噴火を予知できるとする書きぶりに唖然とした。

 ――川内原発の立地の是非についてどう思いますか。

 難しい問題だ。九電は再稼働の審査の中で、過去の巨大噴火によって、川内原発の敷地に火砕流が到達した可能性は否定できないと認めている。数十年とされる原発の運用期間に、火砕流をもたらすカルデラ噴火はあるともないとも言えない。その判断基準もない。そこに建てられた原発をどうするかは、科学で解決できるレベルではなく、もはや政治や社会が決める問題だ。

 科学的に安全だから動かす、という説明をするのであれば、明らかに間違いだ。そのように述べたとたんに、新たな安全神話が作り出されることになる。わからないことはわからない、リスクがあるということを認識したうえで、立地や再稼働の是非を判断すべきだろう。


つまり、火山の専門家は「火山の噴火は予知できない」と言っているのである。「マグマ噴火は予知できるようになった」との誤謬を振りまいているメディアもあるが、藤井氏は上記東洋経済新報の取材に対して

2011年の霧島新燃岳の噴火のように、地震などの前兆がなかったため、予知すらできないうちに噴火が起きることもしばしばある。

と答えている。「2011年の霧島新燃岳の噴火」は紛れもないマグマ噴火である。それを(現在の)科学は予知できない。中には有珠山のように予知できた火山も噴火もあるが、すべてのマグマ噴火を予知することは到底不可能だ。これが事実である。

要するに、安倍晋三の「原子力発電所の再稼働について、安全が再び100パーセント確保されない限り、行わない」との発言は、火山の噴火によって致命的な影響を受ける原発は一切再稼働しないというのと同義なのだ。しかるに安倍晋三川内原発を再稼働しようとしている。このことは、厳しく批判されなければならない。そんなことは誰が考えたって当たり前だ。

ついでだから、「きまぐれな日々」にネトウヨが寄越してきたコメントで、承認せず削除したものを、携帯に残っている記録が消えないうちに記録しておくことにした。ネトウヨの知能レベルがよくわかる代物である。

http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1357.html#comment18261(注:承認せず削除した)

ホスト:global1221-134-085.aitai.ne.jp
無記名
受信日時:9/29 19:58
メッセージ:
 親愛なる愚弟の古寺多見氏よいまだにネトウヨ連呼の低学歴がいるとはおどいた*2。大体、直線距離で50kmも離れている川内原発に致命的なダメージを起す噴火って、どれほどの規模よ?スーパープルーム?もう少し科学に目を向け妄想、妄言は自重すべき。あまりにもバイアスのかかったヘイトスピーチが多く目もあてられない。もっとも私は当人じゃないかと思っている。


最後の「もっとも私は当人じゃないかと思っている」など、何の「当人」なのだか全く意味不明だが、それは別としても、「科学(者の発言)に目を向け」すなわち藤井敏嗣氏の発言に傾聴すると、

約7300年前の鬼界カルデラの噴火では、大隅半島薩摩半島にまで火砕流が押し寄せ、そこに住んでいた縄文人が死滅している。それから約1000年にわたって、南九州は人が住めない場所になった。

と言っている。それなら、9万年前に噴火を起こした姶良カルデラが大噴火を起こせば、川内原発は致命的なダメージを受けることになる。そして、藤井氏は

数十年とされる原発の運用期間に、火砕流をもたらすカルデラ噴火はあるともないとも言えない。その判断基準もない。そこに建てられた原発をどうするかは、科学で解決できるレベルではなく、もはや政治や社会が決める問題だ。科学的に安全だから動かす、という説明をするのであれば、明らかに間違いだ。

と明確に述べている。すなわち、非科学的なのはネトウヨ氏の方なのだ。科学者は、科学で解決できる問題ではないと明確に述べているのである。

それなのに安倍晋三は、相変わらず「聞く耳持たん」といった恥知らずな答弁を繰り返している。
http://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000035888.html

「大規模噴火でも川内原発は安全」 安倍総理

 安倍総理大臣は、鹿児島県の川内原発の再稼働について、桜島などが御嶽山よりはるかに大規模に噴火した場合でも、安全性は確保されていると強調しました。

 民主党田城郁参院議員:「予知不能であったこの噴火は、自然からの警鐘として受け止めるべき。川内原発の再稼働を強引に推し進める安倍政権の姿勢を認めるわけにはいきません」
 安倍総理大臣:「桜島を含む周辺の火山で今般、御嶽山で発生したよりもはるかに大きい規模の噴火が起こることを前提に、原子炉の安全性が損なわれないことを確認するなど、再稼働に求められる安全性は確保されている」
 安倍総理は、「いかなる事情よりも安全性を最優先させ、世界で最も厳しいレベルの規制基準に適合した」と強調して、川内原発の再稼働に理解を求めました。

(テレ朝ニュース 2014/10/03 05:51)


もちろん、ネトウヨ安倍晋三に負けず劣らず「非科学的」なのが原子力規制委員長の田中俊一であることはいうまでもない。

http://mainichi.jp/select/news/20141002k0000m040102000c.html

原子力規制委員長:「御嶽山と一緒に議論は非科学的」

 御嶽山が大きな予兆なく水蒸気噴火し、原発の噴火リスクが改めて注目されている。再稼働に向けた手続きが進む九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)の噴火対策について、原子力規制委員会の田中俊一委員長は1日の記者会見で「(御嶽山の)水蒸気噴火と、(川内原発で想定される)巨大噴火では起こる現象が違う。一緒に議論するのは非科学的だ」と述べ、審査の妥当性を強調した。

 火山噴火予知連絡会によると、御嶽山の総噴出物は100万トン程度で、小規模噴火と分類した。一方、規制委が考慮する巨大噴火の規模はケタ違いで、噴出物は今回の100万倍に相当し、火砕流は100キロを超える地点まで到達する。もし、運転中の原発を襲えば、対処不能に陥る。

 このため、規制委は、火山の監視を強化し、巨大噴火の兆候が観測されれば原子炉を停止したり、核燃料を搬出したりするなどの対策を取ることにしている。

 九電は、川内原発から半径160キロ以内の14火山を「将来活動性がある」「活動性を否定できない」と評価。たとえ噴火しても「敷地への影響はない」とし、火山灰の影響は、桜島の噴火で敷地内に15センチ積もる場合を想定して対策を講じた。規制委はこれらの結果を妥当と結論づけた。田中委員長は「御嶽山より大きい噴火が起きても影響はないと評価した」と話した。

 しかし、巨大噴火は1万年に1回程度しか起こらず、研究は進んでいない。規制委は火山学者を集めた検討会を作り、観測態勢やどのような現象を噴火の兆候と考えるかの指針作りに着手。検討会で火山学者から「現在の火山学では巨大噴火の予測は困難」「巨大噴火の兆候とする判断基準がない」など疑問の声が相次ぎ、判断基準は今後の検討課題となっている。

 田中委員長は「巨大噴火はここ30年、40年の間に起こるものではない。天災がいつ起きるか分からないので社会的活動をやめてください、という考え方では仕事はできない」と述べた。【鳥井真平】

毎日新聞 2014年10月01日 20時44分(最終更新 10月01日 20時56分)


当然ながら「非科学的」なのは田中俊一自身の方である。田中とは、科学者としての良心を悪魔に売り渡した人間らしい。

最後に、上記の安倍晋三の発言が世間一般に広く知られていないらしいことを私が認識したのは、下記3本のブログ記事によってであったことを記しておく。


安倍晋三の妄動妄言をマスメディアが報じない、ということで思い出されるのは、2006年に安倍晋三小泉内閣内閣官房長官であった時代にネットで暴かれた「統一協会祝電事件」であった。あの件をきっかけに私はブログで安倍晋三批判を始めたのだった。当時も今も、安倍晋三はマスメディアにがっちり警備され、守られているのである。