kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

安倍晋三と麻生太郎、消費税「景気条項」撤廃で合意。2017年消費税率引き上げへ

安倍晋三にはやはり良心の持ち合わせはなかった。昨夜(18日)、安倍晋三は「自己都合解散」の意向を表明した。衆議院の解散は21日だという。

その日に流れたニュース。

http://www.47news.jp/CN/201411/CN2014111801001214.html

消費税「景気条項」撤廃へ 首相と財務相確認、17年再増税

 安倍晋三首相と麻生太郎副総理兼財務相が、消費税率10%への再増税先送りに伴う法改正で、経済情勢次第によって増税を停止できる「景気条項」を撤廃する方針を確認したことが分かった。政府関係者が18日、明らかにした。2017年4月に先送りした際に確実に再増税を実施することで財政規律を堅持する姿勢を国内外に明確化する狙いがある。

 首相と麻生氏は17日にオーストラリアから帰国する政府専用機内で会談した。首相が再増税の延期方針を説明したのに対し、市場に与える影響を懸念した麻生氏が景気条項の撤廃を働き掛けた。

 景気条項は消費税増税法の付則に規定。

共同通信 2014/11/18 11:31)


2012年の「三党合意」において、自民党(当時の総裁は谷垣禎一)は「景気条項」に反対していた。それが民主党公明党の意向に押し切られて「景気条項」が設けられたわけだが、そのおかげで、安倍政権が経済政策に失敗してGDPが2四半期連続でマイナスになった時、消費税率再引き上げの先送りという対策を打つことが可能になったわけだ。

安倍晋三麻生太郎は、その「景気条項」を廃止するという。もともとの自民党の意向に戻そうというわけだ。

これはもちろん、今回安倍晋三財務省や日銀の意向に逆らって「自己都合解散」をすることの埋め合わせをする取引であろう。

ここで冷静に考えてみると、昨年来安倍晋三が犯した最大の失敗は、昨年10月の消費税率引き上げの決断だったといえる。安倍政権の経済政策の効果はその時点では不透明だったから、あの時点で増税を凍結すべきであった。当時のマスコミでは、読売新聞が増税の締結を強く求めていた。しかし、安倍晋三ナベツネの言うことを聞かなかった。昨今、ナベツネ渡邉恒雄)の衰えが著しいことがしばしば取り沙汰されるが、ナベツネが政権をグリップする力を失っていることの一つの象徴だろう。このことをさらに強く印象づけたのは、昨年末の安倍晋三靖国参拝だった。かつて小泉政権末期の2005〜06年、ナベツネ安倍晋三靖国に参拝しないことを安倍政権支持の条件にすると安倍に言い渡した。そのせいで安倍は第1次内閣時代に靖国を参拝できなかったのだった。しかし昨年末に安倍は靖国に参拝した。ナベツネの衰えの激しさを痛感する。いまや政府高官は「新聞は読売だけで十分」と抜かしているという*1。かつて政権をグリップしていた読売(ナベツネ)は、いまや政権にグリップされるていたらくなのである。

とまれ、ナベツネに逆らった結果、やっぱりリセッション(景気後退)を招いてしまった安倍晋三は、財務省にいい顔をするために「景気条項」を撤廃するという。

昨年安倍晋三が決断した「消費税率8%への引き上げ決断」と「2017年消費税率引き上げ確定」の是非を、総選挙の争点にしなければならないだろう。

なお私は、安倍晋三の経済政策が失敗した最大の原因は、ジョセフ・スティグリッツが昨年6月15日付の朝日新聞のインタビューで指摘していたように、なんとかのミクスには「再分配」が欠落していたためだと確信している。だからせっかくの金融緩和の効果があっけなく腰折れしてしまったのだ。この政権に「再分配」の観念がないことは、甘利明が「トリクルダウンがまだ弱い」などという妄言を発したことからも明らかである。

本来は、安倍政権の経済政策に再分配が欠落していることは、再分配も重視するリフレ派であったはずの飯田泰之のような経済学者が指摘して、それを改めさせるような意見発信をすべきところだったと思うのだが、飯田は、自らのリフレ政策が安倍政権に採用されたことに舞い上がったのか、それとも周囲の「再分配を重視しないリフレ派」との軋轢を恐れたのか、安倍政権に何も言わなかった。これが、一方で雨宮処凛と「脱貧困」が書名に入った共著を出してリベラル側にもいい顔をしていた「経済学者」のていたらくである。ある意味、飯田泰之高橋洋一のような「再分配を重視しないリフレ派」よりもずっと罪が重いと言えるのではないか。