kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

朝日・秋山惣一郎のダメ記事「次世代の党惨敗、ネット右派頼み限界 理念先行薄い政策」を批判する

「きっこ」*1を含む無能な「リベラル」たちが拍手喝采を送っている朝日新聞記事があるが、私は全く感心しなかった。こんな記事を真に受けられてはたまったものではないので、以下批判する。

http://www.asahi.com/articles/ASGDL5DWMGDLUTFK009.html

次世代の党惨敗、ネット右派頼み限界 理念先行薄い政策

秋山惣一郎

 自民党の右に柱を立てる――国家や民族を重視する本格的な右派政党として衆院選に臨んだ次世代の党。インターネットで活発に発言する右派勢力などを頼りに、強い保守色を前面に出して戦った。だが、公認48人に対して当選は2人と惨敗。識者からは、保守の理念が先行し、生活に密着した政策に結びつけられなかったとの指摘が出ている。

 選挙結果を総括した19日の次世代の党の会議。平沼赳夫党首は、落選議員らを前に「私の力が足らず、心から反省している」と頭を下げた。石原慎太郎最高顧問も「十分な応援ができなかった」と謝罪した。

 旧日本維新の会から分裂し、8月に結党した次世代の党は、平沼氏や石原氏ら自民党よりも保守的な理念を掲げる政治家の「オールスターチーム」の様相だった。衆院選では中国批判、慰安婦問題に加え、「根拠がない」との批判を浴びながらも、独自調査をもとに「在日外国人の生活保護受給率は日本人の8倍」などと訴え、「生活保護は日本人に限定」とする社会保障制度の抜本改革も公約に掲げた。

 次世代の選挙戦の象徴は、2月の東京都知事選で61万票を獲得した元自衛隊航空幕僚長田母神俊雄氏だ。東京12区で公明党太田昭宏国土交通相にぶつけ、支持母体の創価学会を徹底的に攻撃した。

 記者会見で田母神氏は「安倍晋三首相の足を引っ張る公明党を政権から分離させ、自民・次世代の連立政権を作らねば、日本は取り戻せない」と述べ、街頭演説でも徹底した公明党創価学会批判を続けた。

 ネット上で発言する右派の支持を得ようと、積極的なネット戦略も展開した。「子育て犠牲にしてまでなぜ働くのか」「慰安婦問題はでっちあげ」など、「誰もが知らんふりするタブー」を斬るとして、キャラクター「タブーブタ」を一刀両断する動画を制作。動画の再生回数は30万回を超えた。

 ツイッターも自民、公明に次ぐ約1万2千フォロワーを獲得。「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の桜井誠前会長が「期日前投票小選挙区、比例ともに次世代に一票を投じてきました」とツイートするなど、右寄りのネット世論に浸透したようでもあった。

 しかし、ふたをあければ、わずか2議席。当選はいずれも強固な地盤を持つ平沼氏(岡山3区)と園田博之氏(熊本4区)のベテラン議員だった。目玉候補の田母神氏も東京12区で約3万9千票にとどまり、4候補中最下位。平沼党首は15日未明の会見で、「急な解散で党の知名度が不足していた」と語った。

朝日新聞デジタル 2014年12月20日14時39分)


田母神俊雄東京都知事選で得た「61万票を獲得した」と書きながら、衆院選東京12区で「約3万9千票にとどまり、4候補中最下位」と書く。しかしこれは「極右の脅威」を読者に過小評価させるミスリード以外の何物でもない。11月29日に書いた記事 田母神俊雄、「次世代の党」公認で東京12区から出馬へ - kojitakenの日記 でも引用した、安積明子氏が書いた東洋経済オンラインの記事*2を再度引用する。

今年2月の東京都知事選では、田母神氏が獲得した票は61万865票で全体の12.55%。12区は北区と足立区の一部(西部)で構成されるが、田母神氏は北区では1万6605票、足立区では2万5661票を得ている。それぞれ全体に占める割合は12.46%と11.75%になり、足立区内に票の偏りがないとするならば、田母神氏の得票率は全体の約12%になると推測できる。


では今回の衆院選の結果はどうだったか。17日に 田母神俊雄の得票率は18.5%。極右の脅威はますます強まっている - kojitakenの日記 のタイトルに明記した通りである。

東京12区に自民党候補は出ていないので単純な比較はできない。しかし、「リベラル」たちは知らないかもしれないが、現東京都知事舛添要一は、自民党の第二次改憲案をクソミソにこき下ろした本を書くなどして、ネトウヨの憎悪の的になっている人物だ。東京12区に住む右翼たちにとって、舛添要一太田昭宏とは似たような存在だろう。そんな状況下で、都知事選では東京12区のエリアでは12%程度の得票率だったのが衆院選では18.5%の得票率をマークしたのである。それなのに、「田母神俊雄衆院選で、都知事選で見せたほどの得票力を発揮しなかった」と言わんばかりの記事になっている。

そもそも、この「秋山惣一郎」というのは原発推進派にして民主党右派と思想信条の近い朝日新聞記者と推測される。私は過去一度だけこの記者の名前を出した記事を書いたことがある。

以下、当該記事 東京新聞を除く各紙、「決められない政治」脱却を大合唱/朝日の惨状 - kojitakenの日記(2012年6月12日)を再掲する。

 金子勝氏のTwitterより。

 https://twitter.com/masaru_kaneko/status/213671421409366016

大手メディアの社説やコメンテーターが「決められない政治」脱却を大合唱。若者の非正規雇用化や家族の解体でもたない社会保障制度はそのまま、自民党の国土強靱化法案を批判せずに社会保障をバラマキと言い、なし崩しの原発推進も肯定。逆戻りしても日本の未来はない。変われない政治が問題なのです。


 朝日新聞の社説を見ると、

この合意が「決められない政治」を脱する契機となることを願う。

なぜ「決められない政治」に陥ったのか。それは、政治家が厳しい現実と向き合うことから逃げてきたことが大きい。

などと書かれている。

 他紙はというと、毎日新聞は社説のタイトルがそのものズバリ、「決める政治」を評価する、となっている。
 読売新聞は、

これを「決められる政治」に転じる貴重な一歩としてもらいたい。

と、朝日とそっくりの表現。産経はさすがに前記3紙からさらに突き抜けていて、「決められぬ政治」は回避したが「社会保障抑制は不十分」なのだそうだ。どこのマゾがこんな新聞を読むのかと思うが、これでも読者がいるのだから驚きだ。日経は、論調は三大紙と同じだが、「決められる(決める、決められない、決められぬ)政治」という言葉は用いていない。

 東京の新聞で唯一異彩を放つのは東京新聞(東海地方では中日新聞)。タイトルは「『一体』改革 消費増税も棚上げせよ」。
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012061602000108.html(注:リンク切れ)

 対する朝日は、社説の隣の面に与謝野馨のインタビュー記事を載せている。タイトルは「財政再建 さらに負担の議論を」。さすがにこれにはキレた。

 今年6月1日付で、朝日新聞編集委員を務めていた星浩が、朝日新聞の「東京本社オピニオン編集長兼論説主幹代理」に就任したらしいが、今朝の朝日にはまさにその「星カラー」が出ていた。「巨人の星」同様、「朝日の星」もろくなものではない。この男が編集長になるとこんな紙面になるのかと思わされる。

 与謝野馨のインタビューを行ったのは秋山惣一郎という記者。この記者の名前でググるといかにも怪しげな情報がたくさん出てくる。


 なるほどこの記者、菅直人が大嫌いらしい。で、なぜ嫌いなのかと言えば。

 http://hori109.blog.ocn.ne.jp/blog/2011/10/post_eb5e.html(注:リンク切れ)を参照すると、秋山惣一郎

原発なしで20年までに25%削減は難しいだろう。達成できないにせよ、看板を下ろすにせよ日本の国際的な信用失墜は免れない。

原発への忌避感が強い国民世論を納得させることが政府の義務だ。

などと書いていた。要するに大の「原発推進派」。主張が同じ与謝野馨とは気が合うはずだ。

 朝日は1面にも「政治部長 曽我豪」の署名記事を載せているが、この曽我豪は、4年前の『文藝春秋』10月号に掲載された麻生太郎の「論文」を代筆したとされている人物だ。曽我は昨年、秋山惣一郎と同様、菅直人の「脱原発(依存)」路線をこき下ろしていた。そんな人間が朝日新聞政治部長を務めている。

 さすがに今朝の朝日にはキレた。毎日も朝日と同じような状態らしいから、東京新聞にでも代えようかと思ったが、朝日の契約はまだ来年3月まで残っている。


要するに秋山惣一郎とは、リベラル系民主党支持者からも「小沢信者」からも「敵」認定されて当然の、保守派の朝日新聞記者なのである。

今回、とりわけ腹が立ったのは、「朝日新聞デジタル」がカットした記事の末尾である。以下に手入力で紹介する。

「保守理念より政策を」識者指摘

 ネット上の右派の民意がなぜ、次世代の得票に結びつかなかったのか。

 若手の保守論客で評論家の古谷経衡(つねひら)さんは、次世代が掲げた生活保護受給率のデータなどを挙げて「根拠のない数字だ」と批判。「ネットに閉じこもっている層の受けを狙い、『トンデモ』な話を振り回しても大衆的支持は得られない」と戦略の失敗を挙げる。

 その上で「日本の一部の保守は、憲法歴史認識といった上滑りな天下国家論ばかりで、『左翼の発想』とばかにしてきた庶民の暮らしに寄り添っていない。理念を全面に出す共産党は、福祉や『ブラック企業』告発を掲げて票を伸ばした」と分析する。

 また、極右政党が台頭する欧州政治に詳しい佐賀大の畑山敏夫教授(政治学)は、欧州の極右勢力は、失業、犯罪の増加、社会保障財源の逼迫といった国民生活に直結するテーマを、移民排除やグローバリズム批判といった政策と結びつけ、国民を守る強い国家の復権を唱えている」と指摘。「保守の理念だけではなく、安倍政権の競争、自己責任の新自由主義的な経済政策で、こぼれ落ちた人々を救済する現実的な政策にも目を向けるべきだ」と話している。

朝日新聞 2014年12月20日付3面掲載記事より)


畑山敏夫の推奨する(?)政策は、ポリティカル・コンパス上では「保守左派」に該当するが、これは「国家社会主義」を目指すファシズム政治勢力の主張である。つまり、ネットの無料版では読めない秋山惣一郎の文章は、まんま「ファシズム政党の薦め」なのである。あまりにもひどい記事というほかない。「リベラル」や「小沢信者」が、そんな右寄りの記者が書いた、一見「極右の次世代の惨敗」を嬉しそうに取り上げているかのような見出しのついた記事に騙されているようでは、選挙に「勝てる」日など永遠に訪れないだろう。

こんな記事に拍手喝采している「リベラル」たちには、往復ビンタを食らわせてやりたい。