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古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

佐賀県知事選、山口祥義氏が初当選 前武雄市長を破る

朝日新聞(1/12)1面中ほどに載った見出しを見て「えっ」と思った。

http://www.asahi.com/articles/ASH197SP6H19TIPE03B.html

佐賀県知事選、山口祥義氏が初当選 前武雄市長を破る

石田一

 保守分裂選挙となった佐賀県知事選が11日投開票され、元総務省官僚で新顔の山口祥義(よしのり)氏(49)が、同県武雄市の前市長の樋渡(ひわたし)啓祐氏(45)=自民、公明推薦=ら新顔3人を破り、初当選した。投票率は54・61%で、過去最低だった前回の59・41%を下回った。

 安倍政権が改革派と位置づけて全面支援した樋渡氏と、地元農協が中心になって擁立した山口氏による「政権対農協」の構図。樋渡氏敗北で、政権には痛手となった。成長戦略の柱として進めようとしている農協改革など規制改革にも影を落としそうだ。

 政権は、樋渡氏が市長時代に地元医師会の反発を押し切って、市民病院を民間移譲した実績などを前面に据えた。一方、樋渡氏の政治手法を強引だと批判する地元農協や首長、自民県議らが山口氏を擁立。中央主導の図式への反発を支持につなげた。

 新知事は、九州電力玄海原発佐賀県玄海町)の再稼働や、佐賀空港への自衛隊オスプレイ配備を受け入れるか判断する。山口氏も自民系の支援を受けており、政権の方針に大きな影響はない見通しだ。九州大大学院教授の島谷幸宏氏(59)、農業の飯盛(いさがい)良隆氏(44)は及ばなかった。

朝日新聞デジタル 2015年1月11日23時36分)


なぜ意外感を持ったかといえば、年末に時事通信が「樋渡氏リード」と報じていたからだ。下記はネット検索で見つけた昨年大晦日の記事だが、時事通信はその数日前に佐賀県知事選の情勢記事を出していたはずだ。この時、「なんだ、自公楽勝じゃないか」と失望したことを覚えている。

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201412/2014123100140&g=pol より

(前略)

 ◇佐賀は樋渡氏先行

(中略)

 佐賀は、前知事の国政転出に伴い、14年12月25日に告示され、無所属4新人が争う。前武雄市長の樋渡啓祐氏(45)=自民、公明推薦=がリード。自民党の一部県議や支持団体が支援する元総務官僚の山口祥義氏(49)らが追う展開だ。
(後略)

時事通信 2014/12/31-15:29)


それが、1月8日の読売の記事では「接戦」に変わっていたが、それでも樋渡氏の名前が先に出ていた。

http://www.yomiuri.co.jp/kyushu/news/20150108-OYS1T50011.html

樋渡・山口氏競り合う 佐賀知事選本社情勢調査

 読売新聞社は11日投開票の佐賀県知事選について、世論調査と取材を基に情勢を分析した。同県武雄市の前市長・樋渡啓祐氏と元総務省過疎対策室長・山口祥義氏が激しく競り合っている。有権者の約2割は態度を明らかにしていない。

 いずれも無所属の新人4人が立候補。自民党公明党が樋渡氏を推薦したのに対し、自民党の有力支持団体「県農政協議会」が山口氏を推すなど、保守分裂の様相となっている。樋渡氏は自民支持層の約5割を固めた。山口氏は自民支持層の約3割、自主投票を決めた民主党の支持層の約4割から支持を得ている。九州大教授・島谷幸宏氏は共産支持層などに浸透。農業・飯盛良隆氏は伸び悩んでいる。

 九州電力玄海原子力発電所佐賀県玄海町)の安全性が確認された場合、再稼働することに、「賛成」が53%、「反対」が36%。陸上自衛隊が計画している輸送機「MV22オスプレイ」の佐賀空港佐賀市)への配備については、「賛成」が39%、「反対」が48%だった。

 調査は5〜7日、佐賀県を対象に、無作為に作成した番号に電話をかける方法で実施。有権者在住が判明した1372世帯の中から774人の回答を得た。回答率56%。

(読売新聞 2015年01月08日)


そして最後の最後に大逆転が起きた。しかも得票を見ると、山口祥義氏の182,795票に対して樋渡啓祐氏は143,720票と、結構な大差がついている。年末から年始にかけての選挙戦の過程で、大きなうねりともいうべき変化が起きたとみられる。

樋渡氏、そして安倍自民・公明の敗因は、朝日新聞記事の言い回しを借りれば「(安倍政権が)成長戦略の柱として進めようとしている農協改革など規制改革」だろう。要するに、安倍政権が進めようとしている新自由主義的な規制改革に、佐賀県有権者が「ノー」を突きつけたわけだ。

それならこの流れが中央政界に波及するかといえば、答えはこれまた「ノー」だ。

その答えは、今行われている民主党代表選を見ればわかる。細野豪志は、現在はその本心を隠してはいるものの、新自由主義政党である維新の党との合流を目指している。また、かつて社民党にいた辻元清美阿部知子が推薦人に名を連ねる*1岡田克也は、「弱者の敵」ともいうべき財政再建至上主義者である。唯一「リベラル」的な主張をする長妻昭にせよ、かつて悪名高かった「しばき主義者」ぶりからどの程度脱皮ないし変身したのかは全く不明だし、そもそも長妻は第1回投票で最下位になるとみられる*2

要するに野党第一党民主党と野党第二党の維新の党とは、その「カイカク(新自由主義)」志向において自民党といくらも変わらない。あるいは維新の党などは自民党よりさらに過激な新自由主義政党だ。それが、昨年末の衆院選において、次世代の党の惨敗や共産党のプチ躍進などを除いて議席配分が解散前とほとんど変わらなかった理由でもある。

*1:http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150107-OYT1T50086.html

*2:そして、決選投票で岡田克也が代表になるのではないかと私はみている。