http://mainichi.jp/select/news/20150404k0000m010065000c.html
自民・谷垣氏:野党、批判と驚きの声…演説で差別的表現
自民党の谷垣禎一幹事長は3日、大阪市での街頭演説で、維新の党が進める「大阪都構想」に関し「『自民党大阪府連は都構想に反対している、バカだチョンだ』と維新の方は言っているけれども、ちょっとそれは言い過ぎじゃないか」と発言した。「チョン」は韓国・朝鮮人への差別的表現に用いられることがあり、谷垣氏は発言を撤回したが、野党からは批判と驚きの声が上がった。谷垣氏は演説後、「不快な思いをさせ大変申し訳ない。不適切な発言についてはおわびして撤回する」とコメントを発表した。
維新の党の柿沢未途政調会長は記者会見で、「大変品位のある谷垣氏の言葉とは、にわかに信じがたい」と批判した。
民主党の岡田克也代表も会見で、「注意深く発言する谷垣氏らしくない」としつつ、「不適切発言であるのは間違いない」と指摘。共産党は「発言を撤回したのは当然だ。関係者へのおわびもあってしかるべきだ」とのコメントを出した。【佐藤慶】
毎日新聞 2015年04月03日 21時55分(最終更新 04月04日 01時23分)
「馬鹿(だの)ちょん(だの)」という言葉が「差別用語」かどうかというのは、1989〜90年頃の日本におけるネットニュースの草創期に、fjと呼ばれたネットニュースで熱く議論され、それをROMしていたことがある。
この言葉は、最初に使われた時には朝鮮人差別の意味合いは全くなかった。だから、当時のネットの議論は、「『バカチョン』は差別用語ではない」「『差別用語』なんて存在しない」という結論でいったん収束したが、そのうち、差別的な言葉が使われているのを指摘する人に対して「差別用語派」だというレッテル張りをして攻撃する人間が現れ、結局果てしない議論になってしまって収束しなかった。その頃、「コンテキストを無視して『差別用語』かどうかを議論することは無意味だ」という指摘をした人がいて、私はその意見に納得した。その頃には議論はもう下火になっていてあまり反響はなかったが。以上のことは、以前にも何度か書いたと思う。
その定式に当てはめていえば、谷垣禎一が発した「バカだチョンだ」という言葉は、もともと韓国・朝鮮人に対する差別として使われた言葉ではなかったが、毎日新聞の佐藤慶記者が書く通り、「韓国・朝鮮人への差別的表現に用いられることがあ」り、その背景には日本が韓国・朝鮮を植民地支配してきたという歴史的文脈(コンテキスト)があるので、政治家が使うべきでない言葉であることは明らかだろう。