kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

国会は戦後最長の95日間延長/朝日調査で安倍内閣支持率39%

結局国会の会期は戦後最長の95日延長となった。早くから読売が報じ、朝日、日経などが後追いした通りとなった。安倍晋三が安保法案の衆院再可決までにらんでの会期延長といわれている。朝日(6/23)でも一面トップだったが、毎日の記事から引用する。

http://mainichi.jp/shimen/news/20150623ddm001010151000c.html

安保国会:長期戦 95日延長を議決

 衆院は22日夜の本会議で、24日に切れる今国会の会期を9月27日まで95日間延長することを、自民、公明両党などの賛成多数で議決した。安倍晋三首相が最優先課題とする安全保障関連法案の確実な成立を期すため、現行制度では過去最長の延長幅となる。22日も衆院平和安全法制特別委員会で内閣法制局長官経験者から関連法案が「憲法違反」との指摘が出る中、安保審議は異例の長期戦となる。

 民主、社民、生活の3党は本会議を欠席して抗議の意思を示し、維新、共産両党は出席して反対した。次世代の党は賛成した。

 安倍内閣での会期延長は、特定秘密保護法採決のため2日間延長した2013年秋の臨時国会以来。鈴木内閣が1982年に行った94日間延長を上回り最長となる。

 首相は延長の議決後、国会内で記者団に「今国会は農業、医療、雇用、安保法制といった戦後以来の大改革を断行する国会だ。最大の延長幅を取って徹底的に議論し、最終的に決めるべきは決める。議会制民主主義の王道を歩んでいくべきだと判断した」と述べ、国民の理解を求めた。

 安保法制の特別委の審議は、憲法学者の「違憲」表明や年金情報流出問題で大幅に遅れ、22日までの審議時間は約55時間にとどまる。与党は80時間を経た上での衆院通過を目指していたが、7月にずれ込む情勢だ。

 与党は維新の党が提出予定の対案を巡る修正協議も想定。衆院通過が7月後半にずれ込んでも、参院送付後60日以内に採決されない場合、衆院の出席議員の3分の2で再可決できる憲法の「60日ルール」が適用できる。自民党谷垣禎一幹事長は記者団に「拙速はいけないという声に十分応えられる戦後最大の延長。国民の理解を得られるような審議を重ねたい」と述べた。

 民主、維新、共産、社民、生活の5党は党首らの会談を開き、延長に反対する考えで一致した。民主党岡田克也代表は記者団に「東日本大震災時の国会ですらこれだけの延長はしておらず、認められない」と批判。維新の党の松野頼久代表は60日ルールを念頭に「議会に大変失礼な話だ」と指摘した。共産党志位和夫委員長は「戦争法案を強行する目的で乱暴だ」と述べた。【田中成之、佐藤慶

毎日新聞 2015年06月23日 東京朝刊


95日間という延長幅は、鈴木善幸内閣時代の1982年(1981年12月召集)の第96回国会の94日間を抜いて、戦後最長とのこと。ちなみに33年前の鈴木善幸はこの国会のあと突如政権を投げ出した。誰かさんを思い出させるが、鈴木善幸所信表明演説で「職務を全うする」と宣言した翌々日に政権の放棄を表明するようなぶざまなことはしていない。

朝日の一面には、内閣支持率世論調査の結果が出ている。

http://www.asahi.com/articles/ASH6Q4W40H6QUZPS003.html

内閣支持率39%に下落 朝日新聞世論調査

 朝日新聞社が20、21両日に行った全国世論調査(電話)によると、安倍内閣の支持率は39%で、前回(5月16、17日調査)の45%から下落した。支持率の40%割れは昨年11月22、23日の調査以来で、第2次安倍内閣発足以降最低に並んだ。安全保障関連法案への賛否は、「賛成」29%に対し、「反対」は53%と過半数を占めた。同法案が内閣支持率に影響したとみられる。

 安倍内閣の不支持率は37%(前回32%)。今回、内閣支持率は女性での落ち込みが大きく、前回の42%から34%に減少。不支持率も37%と前回の31%から増え、支持と不支持が逆転した。女性での逆転は昨年11月29、30日の調査以来だ。

 集団的自衛権の行使容認を盛り込んだ安保関連法案については、憲法学者3人が衆院憲法審査会で「憲法違反だ」と指摘したが、こうした主張を「支持する」と答えた人は50%に達した。他方、憲法に違反していないと反論する安倍政権の主張を「支持する」という人は17%にとどまった。

 安倍晋三首相は法案について「丁寧に説明する」としているが、首相の国民への説明は「丁寧ではない」という人は69%。「丁寧だ」の12%を大きく上回った。

 安保関連法案をいまの国会で成立させる必要があるか聞くと、「必要はない」が65%を占め、前回調査の60%から増えた。逆に、「必要がある」は17%だった(前回23%)。

 法案に「賛成」という人でも、今国会成立の「必要がある」と答えた人が49%いる一方、「必要はない」は37%と、一定数を占めていた。安倍政権と与党は通常国会の会期を9月27日まで延長して今国会での成立をめざすが、今国会成立に賛同する意見は少ない。

 日本年金機構から年金加入者と受給者の個人情報が流出した問題についても聞いた。安倍政権の対応を「評価する」は9%、「評価しない」は64%。「評価しない」という人でも31%が内閣を支持しており、この問題の支持率への影響は今のところ大きくはないとみられる。

朝日新聞デジタル 2015年6月22日21時57分)


やっと4割を切ったかという程度の感想。記事にもあるように、昨年11月にも内閣支持率は39%だったが、その1か月後の衆院選自民党が圧勝。さらに年明け後の自称イスラム国(IS)による日本人人質事件で安倍晋三が湯川遥菜と後藤健二を見殺しにした時に内閣支持率が跳ね上がり、その後も高止まりしていた。安倍晋三とその政権はこうした高支持率を背景に、実態は戦争法案にほかならない安保法案に「平和」の名を冠したり、自衛隊員のリスクが低くなるとの妄言まで繰り出すなど、恐るべき「上から目線」で法案をゴリ押ししようとしていたし、それの阻止に動かなければならないはずの「リベラル」側も、「消化試合」だのとほざく学者が現れるていたらくで、そのまま安倍晋三の横車が通ってしまうかに見えた。

それが、自民党を含む与野党が推薦した3人の憲法学者が安保法案を「違憲」と断じて、ようやく「王様は裸」であることに気づいた人々が安倍晋三離れを起こしたものとみられる。記事にあるように年金機構の個人情報流出は支持率低下に大して影響していないし、労働者派遣法の改悪は年金よりは影響度が多少高いにしても、安保法案ほどではないだろう。なぜそのように書くかというと、派遣法改悪について書く記事は、安保法案について書く記事とくらべて目立ってアクセス数が減少するからだ。貧困や格差についての人々の関心が高かった00年代後半と今とでは、人々の主たる関心が変わっている。

さて、私の手元には5月30日付朝日新聞オピニオン面に掲載された「データを読む 世論調査から 政党支持率 一強 さまよう無党派層」という見出しがついたコラムがあって、2012年末の第2次安倍内閣発足以降の無党派層と自民・民主・共産・維新各党の政党支持率の変遷のグラフが出ている。

これを見ると、自民党の支持率は2013年3月に43%を記録したあとゆるやかに低下を続け、昨年11月、安倍内閣支持率が39%に低下したのと同じ時期に27%にまで下落しているが、今年に入ってV字回復し、2015年2月には40%を記録し、5月にも39%あった。今回はさすがに36%に低下しているが、それでも昨年11月の27%よりは相当に高い。

このことから、昨年11月と今回で安倍内閣支持率低下の理由の違いが推測される。昨年11月には、あの「電動ドリル女」小渕優子と「うちわ」の松島みどりのダブル辞任があって、自民党自体が見放された。今回は、自民党への支持はまだ根強いが、安倍晋三が見放されつつあるということだろう。

そうなると、今後の政局によっては9月の自民党総裁選の頃までに、「安倍晋三ではもたない」というイメージをいかに醸成できるかが鍵になってくると思われる。上記朝日の調査では、(「ゆ党」や「YE党」も含めた)野党の支持率は、民主党7%、共産党3%、維新の党2%、社民党1%、生活の党と山本太郎となかまたち0%(笑)などとなっており、国政選挙で安倍晋三を倒すことはきわめて難しいというほかない。

非常に不本意ではあるが、自民党から安保法案に反対して安倍晋三を倒そうという機運を生じさせてそれを盛り上げることが、安倍晋三打倒への最短ルートかも知れないと思う今日この頃なのである。