kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

阪神・藤浪に161球を投げさせた金本監督の采配に怒る

昨夜(7/8)の阪神ー広島戦で、序盤に5失点した阪神先発の藤浪晋太郎に、金本監督が7回裏の藤浪の打席で、3点をリードされているのにもかかわらず代打を送らず、8回表も懲罰的に続投させ、計161球を投げさせたと聞いて、阪神がヤクルトと最下位を激しく争っている(昨夜の負けで再び最下位に落ちた)理由が理解できた。これまでのセ・リーグの展開で、懸念された投手陣の崩壊が現実となったヤクルトの最下位は仕方ないと思っているが、(ヤクルト同様)下馬評の高かった阪神が、主力打撃陣の不振があるとはいえ、なぜヤクルトと最下位を争うほど弱いのか、その理由がよくわからなかったのだ。

同時に、今回の金本采配に表れた体質が、昔のカープにもあったんだろうなとも思った。たとえば澤崎俊和小林幹英山内泰幸など、カープにはかつてエース候補といわれた投手たちがたくさんいたが、誰も大成しなかった。過剰な練習やら試合での酷使やらが原因である。カープ黄金期の主力投手だった大野豊北別府学が投手コーチを務めたこともあったが、彼らはたまたま過剰な練習やら酷使やらをされても壊れない頑丈な体に恵まれていただけだった。だから彼らも、投手たちが壊されるのを防ぐ歯止めになるどころか、彼ら自身が投手たちを壊すのに加担したのではないかと私は疑っている。そんなカープが長年下位を低迷した理由もわかるような気がした。今回の金本采配的な体質がカープを低迷させたのだ。もちろん金本がチームを去って14年目になる今のカープは昔のカープではあるまい。だから今年は独走もするのだろう。

私はヤクルトファンだが、今回の阪神・金本監督の采配には強く異を唱えざるを得ない。

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阪神・藤浪に161球を投げさせた金本采配の是非
2016.07.09 06:00

 雨がふりしきる甲子園に異様な空気が流れた。
 8日の阪神ー広島戦。
 3点を追う7回二死。阪神の先発、藤浪晋太郎投手(22)の打席に代打が送られなかったのである。

 ここまで藤浪は5失点。すでに投球数は131球に達していた。しかも、まだ3点差である。だが、金本監督は走者がいなかったこともあって代打も使わず、8回のマウンドにも藤浪を立たせた。疲労を隠せない藤浪は明らかにボールが浮き、制球は安定していなかった。結局、また二つの四死球が絡み、二死満塁とされた。ここを食い止めれば、まだゲームの行方はわからなかったが、代打・岩本に球威のなくなったボールをジャストミートされ、右中間を破る走者一掃のスリーベース。打たれるべくして打たれた。これで勝負あり。2−8の完敗で、借金は「10」に戻り、8回、13奪三振7安打8失点で161球を投げたエースの今季5敗目と同時にチームの自力Vも消滅してしまった。

 試合後、金本監督は「今日は(藤浪を)最後まで投げさせるつもりだった。責任というか、あの立ち上がりがすべてでしょう。何回目かな。ストライクが入らずに(ストライクを)取りにいって打たれた。昨日の青柳のピッチングを見て、さあ、前回のマツダ(スタジアムでの敗戦)のリベンジというところで、あれではねえ。去年14勝したピッチャーがやることじゃないでしょう。そういう意味では、責任を持って、何点取られようが、何球投げようが(最後まで投げさせる)と思っていた。今頃、10勝くらいしていても、おかしくないピッチャー。それくらいの責任は感じて欲しいし、感じないといけない」と、さすがに完投はさせなかったが、藤浪に161球を無理強いした理由を語った。

 藤浪は、課題の立ち上がりに2つの四球が絡んで二死満塁を背負うと「転がせばなんとかなるんじゃないか」と考えていたドラフト同期の鈴木誠也に三遊間に153キロのストレートを打たれた。江越が打球の処理に手間取ったことも手伝って2失点。さらに一、三塁から、重盗を仕掛けられ、守備陣も対応できずに3失点目。3回には、二死から田中に甘い変化球をライトスタンドへと運ばれた。3回にも大和のエラーで先頭の丸に出塁させると、一死三塁から松山に犠飛を許して5点目……。

 指揮官が藤浪に8回、161球を投げさせたのは、6月2日の楽天戦以来、勝てないエースが同じミスを繰り返すことに対して責任を喚起させるための処置だったのだろう。超変革の金本采配はファンの目やフロントの目を気にしすぎて、どちらかと言うと保守的だった阪神のタブーを打ち破り続けてきた。それらの金本イズムは評価すべきものだが、この日の161球は、怒りに任せての懲罰登板に見えた。

 金本監督が、藤浪の今後に期待して試合を預けたとも取れるが、藤浪のためにゲームを捨てたと受け取られても仕方がなかった。雨の中、雨具を着て応援を続けた阪神ファンの目には、どう映ったか。賛否が起きて然るべき采配である。

「理解ができないし、ちょっと考えられないね。おそらく来週は、球宴でゲームがなく登板間隔が空くこともあって藤浪への期待の裏返しで投げさせたのだろうが、どうなのだろう。金本監督は、現役時代に自分がやってきた野球との、あまりの違いに歯がゆさを感じているのだとは思う。それはわかるが、長いシーズンを考えると161球も投げることの悪影響の方が大きいし、首脳陣と藤浪の間にコミュニケーションがあるのか、と心配になる。こういうことをやると、選手がしらけてしまう。ノムさんの監督時代の2年目以降がそうだった。あのときの最悪のチームの雰囲気を思い出してしまう。超変革の名のもと4月にはあった大胆さがまるっきりなくなってしまっているのも心配だ」

 元阪神のチーフスコアラーで現在、岡山商科大の特別コーチの三宅博さんは、厳しい意見。ちなみに三宅さんは、現役時代に金本を広島からFAで阪神に獲得する際、「なぜ金本が阪神に必要か?」というオーナーへの説明用のレポートを書いた人物でもある。

 野村克也氏が阪神監督時代の2年目以降、新庄や今岡を報道を通じてこきおろす“ぼやき節”や目に余るような起用法で、こっぴどくバッシングしたため、彼らはそっぽを向き、チーム内にはしらけた空気が流れてチームは空中分解してしまっていた。その過去を知る三宅さんは、チーム成績が好転しないことで、金本監督が辛口のコメントで選手を斬り捨てたり、懲罰起用のようなことを続けてしまうと、ノムさん時代のような暗黒のチーム状態に陥る可能性があると警鐘を鳴らすのだ。

 筆者も近鉄時代の鈴木啓示監督が、1994年7月の西武戦で、野茂英雄に191球の完投勝利を無理強いさせ、その後、肩を痛めて戦線離脱。結局、この事件が野茂のメジャー移籍を最終決断させるきっかけになった悪夢が、フラッシュバックしてしまった。藤浪は、昨年オフには肩に異常を訴えて、侍ジャパン参加を辞退したほど。まだプロ4年目の肉体は161球に耐えられるほど万全にできあがっているわけではない。肩は消耗品なのだ。中4日登板のメジャーに右に倣えの「100球至上主義」には疑問もあるが、5失点しながらの161球登板は、スポーツ医科学の面から見ても、あまりに非常識である。

 そして、三宅さんは、こうも続ける。

「打線がどうしても点を取れないので、先に点をやってはいけないとピッチャーにもプレッシャーがかかる。こういうことを繰り返す中でピッチャーに根気がなくなってくる。今、大事なのは藤浪に161球を投げさせることではなく、根本からの建て直しだろう。1対1で打者を打ち取るという気迫、力で押す気持ちを藤浪に持たせることが大事。制球に気を配りすぎるため、小さくなって藤浪の良さが消えてしまっている。大谷翔平との今の差がどこにあるか考えてみればいい。このままじゃ普通のピッチャーになってしまう」

 藤浪は、ここまで何度かピッチングフォームの修正などを続けながら課題の克服に対峙してきたが、その作業を繰り返す中で、本来持っている長所を見失う危険性もはらんでいるという。元中日の“レジェンド”山本昌さんも「勝てないときこそ、自分で何が原因かを考え、周りのアドバイスにも耳を傾けながら、何かを変えていかねばならない」と語っていたが、161球を無理に投げることよりも、重要なのは、首脳陣とコミュニケーションをとりながら勝てない元凶を解決することだろう。

 消えた自力Vなど、今後の展開でいくらでも復活するし、最下位といえど2位とのゲーム差は3.5ゲームしかない。ここから始まる勝負の夏場で、阪神が反撃するには、藤浪の復調がカギを握ることは間違いない。その期待感が、金本監督に、この日の采配を決断させたのだろうが、繰り返すが投手にとって肩は消耗品。そして藤浪にもプライドはある。投手コーチなど周囲のスタッフが止められなかったのか? ということも含めて疑問の残る采配だった。藤浪をキーマンと考えるならば、なおのこと他に再生手法はあるはずである。

 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)


記事中で(16四球を与えた)野茂英雄に191球を投げさせた鈴木啓示を引き合いに出すとともに、元南海・ヤクルト・阪神楽天監督の野村克也も引き合いに出して金本監督を批判しているが、私も野村克也を思い出した。

但し、ぼやきでチームの雰囲気を悪くした云々ではない。そんなことは、4度のリーグ優勝と3度の日本シリーズ制覇を成し遂げたヤクルト時代にだってやっていた。ここで引き合いに出されるべきは以下に記す野村采配である。野村は、阪神とリーグ優勝を争った1992年に甲子園球場岡林洋一をリリーフに送って9イニング(7回〜延長15回)を「完封」させた(引き分け)ばかりか、その2日後に同じ甲子園で延長10回のマウンドに送る(一塁手広沢克己のトンネルによってサヨナラ負け)という殺人的な投手起用をやらかした。酷使がたたってこのすぐあとに故障で登録抹消された岡林を、野村は長く休ませることもなく広島市民球場で2度も延長戦のマウンドに立たせ、それが失敗に終わると(2度ともサヨナラ負け)、リリーフでダメなら先発とばかりに阪神との首位攻防戦に先発させて、1対0の完封勝利をもぎ取った。その勢いでリーグ優勝を果たすと、今度は岡林を日本シリーズで3試合、計30イニングを投げさせたのだった(2度の延長を含みすべて完投、1勝2敗)。あんなに岡林ばかり投げさせて大丈夫かと心配していたら、案の定翌93年に岡林は故障した。すると野村克也は今度は伊藤智仁を酷使した。1試合16奪三振を記録しながら読売の篠塚にサヨナラ本塁打を打たれた試合で有名な伊藤は、その後も援護に恵まれず、中4日で先発した甲子園の阪神戦で延長13回を投げた(野村が投げさせた)こともあった。明らかに投球数過多だったが、その翌週の読売戦で9回を零封、ハウエルのサヨナラ2ランでようやく報われたと思われた時には、伊藤は既に選手生命にかかわる大きな故障をしていたのだった。結局伊藤の故障は復帰まで3年を要するものだった。野村によって岡林も伊藤も「太く短い」投手生命を余儀なくされた。私は今も当時の野村采配に怒るとともに、岡林や伊藤の短かすぎた投手生命を惜しむ者だ。記事の著者は野村を批判するならこのことを挙げるべきだった。

また著者は、阪神監督経験者の名前を挙げるなら星野仙一の名前も挙げて然るべきだった。阪神監督時代の2年間こそ星野の投手酷使の悪癖はさほど見られなかったが、中日監督時代の1998年にはナゴヤドームのヤクルト戦で野口茂樹を延長12回完投で203球を投げさせたことがあった(野口は敗戦投手)。また、楽天監督時代の2013年日本シリーズ第6戦で、リードを許した田中将大に160球完投を強要し(敗戦投手)、さらに翌日の最終戦にリリーフに送って胴上げ投手にしたことは記憶に新しい。結局野口は若くして故障し、田中もヤンキース移籍後に故障して今もおっかなびっくりの投球が続いている。なお中日では1994年に高木守道今中慎二を酷使して投手生命を縮めさせたこともあった。

今回の金本の藤浪「懲罰」続投は、こうした鈴木啓示野村克也星野仙一高木守道らの悪しき伝統を受け継ぐ前時代的な采配であって、金本に対しては、お前は阪神のエースを自らの手で潰すつもりかと、日頃あまり好感を持っていない(とはいえ読売のように球団の存在自体が腹立たしいほどには嫌ってはいない)ライバル球団のことながら激しい怒りにかられた。

まああの監督にしてこの順位ありってことかな、阪神も。金本がこんな采配を今後も続けるようなら、早く首にした方が良いと思うよ。

もちろんヤクルトにとっても他人事ではない。今日の東京は雲行きが怪しく、由規の復活マウンドとなるはずの今晩の神宮(中日戦)は雨天中止になるのではないかと思うが、間違っても5年かけてやっと一軍での登板にこぎつけた由規を再起不能にさせるなよと真中監督に言いたい。それでなくてもヤクルトでは館山が復帰を焦るあまり故障を再発させ手術を繰り返すなどしている。ヤクルトは、あの名投手・松岡弘でさえ200勝できなかった「投手日照り」の悪しき伝統を持つチームなのである。