kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

蓮舫の「二重国籍」攻撃に血道を上げる堀茂樹(呆)

堀茂樹という男が最近、蓮舫の「二重国籍」攻撃に血道を上げているようだ。

かつて、アゴタ・クリストフの3部作(『悪童日記』『ふたりの証拠』『第三の嘘』)の訳者としてその名を知ったこのフランス文学者は、ドイツ文学者の池田香代子にも似て比較的人生の遅い時期になってから政治的発言を行うようになり、かつ「小沢信者」となった。2010年頃に(ナイーブと言っては失礼に当たるかもしれないが)民主党(当時)の小沢・鳩山一派に民主党「サハッ」などと無邪気かつ的外れな呼称を贈っていた池田香代子は、その後ある時期からコアな「小沢信者」とは距離を置いたように見受けられるが(その代わりに内田樹らとつるんだり野間易通と対談して持ち上げたりなど相変わらず目障りな動きはした)、堀茂樹の方は「小沢信者」一直線の道を歩んだ。堀はしまいには、『日刊ゲンダイ』で小沢一郎と対談し(2013〜15年)、対談本も出版されたようだ。『今だから小沢一郎と政治の話をしよう』というタイトルの本で、昨年(2015年)、講談社ではなく43年前に五島勉の『ノストラダムスの大予言』(1973年)なるトンデモ本を出版したことで悪名高い祥伝社から出版された。『日刊ゲンダイ』に掲載された宣伝記事にリンクを張っておく。


その堀茂樹だが、その翻訳に久々に接したのは、エマニュエル・トッドの3冊の文春新書によってだった。これらの本に関して、堀茂樹批判を書いたことがある。

最近読んだ本(2015年8月) - kojitakenの日記(2015年8月30日)より

(前略)

グローバリズムが世界を滅ぼす (文春新書)

グローバリズムが世界を滅ぼす (文春新書)


 うーん、エマニュエル・トッドって、中野剛志だの藤井聡だのといったナショナリストと鼎談するのかよってところ。しかもトッドと中野剛志を引き合わせた仏文学者の堀茂樹(『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる』の訳者でもある)はなんと「小沢一郎支持者」(!)らしい。

http://twilog.org/hori_shigeki

関心の中心は哲学・文学・比較文化。メチエは仏語翻訳(A・クリストフ『悪童日記』など)。慶應SFCで教授、アンスティチュ・フランセ東京で講師をしています。遅まきながら最近、日本の政治や社会について、このままじゃ本当にいかんという思いが募って…。過去のツイート:http://twilog.org/hori_shigeki


 私はこの人が翻訳したアゴタ・クリストフの『悪童日記』を1999年に読んだ(下記リンクは文庫版だが、ハードカバーで読んだ)。


悪童日記 (ハヤカワepi文庫)

悪童日記 (ハヤカワepi文庫)


 その堀氏が2014年にはこんなことをつぶやいていた。

https://twitter.com/hori_shigeki/status/419831831416942594

堀 茂樹
@hori_shigeki

昨年末、エマニュエル・トッドと中野剛志の対論を司会した直後、某出版社の人が新書を書きませんかと話しかけてきた。程なくメールでも誘ってきてくれた。念のため私は、昨今の現実政治に関しては自分が小沢一郎の支持者である旨を返信でお知らせした。以来、なぜか、何の返事も返って来ない(笑)。

6:04 - 2014年1月5日


 なんとも陰謀論めいたつぶやきに頭痛がしてくる(笑)。そりゃまともな編集者なら誰だって、読む前から中身の想像がつく、パターン化した陳腐な「小沢支持者」の繰り言の本なんか新書で出したいとは思わないわな。元が取れるはずもないし。

 外国文学者が「反グローバリズム」に目覚めて(?)小沢一郎支持に走った例としては、独文学者の池田香代子氏が思い出される。池田氏は「小沢信者」はもう卒業されたようだが、その後も「『右』も『左』もない脱原発」に走るなどした。

 「小沢病」とは遅くなってから政治に関心を持つようになった「リベラル」知識人のかかりやすい病気なのだろうか。

 上記新書の末尾に、スティグリッツナオミ・クラインも入れてシンポジウムの第2回をやりたいなどと書いてあったが、幸か不幸か、それが実現したという話は聞いたことがない。

 なお、エマニュエル・トッドは、自らを「親米左翼」と位置づけている。氏は『帝国以後』でブッシュのグローバリズムをこき下ろしているらしいが(私は未読)、あまりそれにばかりとらわれて「敵味方思考」でトッドを「味方」視する単細胞の「反米左翼」(「小沢信者」に多い)は冷静になった方が良い。

 また、「小沢一郎支持者」の堀茂樹エマニュエル・トッドと中野剛志(国家社会主義者と思われる)を引き合わせたことは、岸信介信奉者の孫崎享が「小沢信者」を多く含む「リベラル」の岸信介観を一変させようとしたことと鏡像関係にあるようにも思われる。(後略)


また、今年に入ってからも下記の記事を書いた。

エマニュエル・トッド『シャルリとは誰か?』(文春新書)読了 - kojitakenの日記(2016年7月1日)より

(前略)

 ところで、文春新書から出ている一連のトッドの本だが、訳者の堀茂樹氏(この人は「小沢信者」である)と、そもそもトッドの本の出版元である保守的な文藝春秋は、それぞれトッドとミスマッチなのではないかとの疑念をかねてから抱いている。

 今年1月に発売された『誰がシャルリか?』を読むと特にはっきりわかるが、トッドは明らかな左翼だ*1。それに対して、「小沢信者」の堀氏は左翼ではまったくなかろう。むしろ「『右』も『左』もない」立場の者と思われる。かつては日本の国家社会主義的な論者たち(安倍晋三の側近=内閣官房参与藤井聡や中野剛志ら)と韓国の論客とトッドという3か国の論者による鼎談及びそれぞれの人たちの論考をまとめた本も出ていて、昨年、『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる』と一緒に買って読んだが、どう考えても論者の組み合わせはミスマッチだと思った。この組み合わせにも堀氏の意向がかなり反映されているのではないか。はっきり言って有害だ。

(中略)

 私は訳者の堀茂樹氏というのは「思い込みの強い人」で、かつ訳者はトッドの主張を本当にはよく理解していない人なのではないかと思う。訳者自身が理解していないのだから、訳文を読む読者が理解できるわけないよなあ、というのが私の感想だ。

(中略)

 そう、「トッドは多文化共生と言う名のきれいごとー何かあればすぐ排外主義に変化する差異をあおる考え方ーには反対で徹底した同化主義者である」んだよね。この点を頭に入れておかないと読む時に混乱する。また、トッドといわゆる「民族主義者」との相性が最悪であることは明らかだ。(後略)


今回、蓮舫の「二重国籍問題」で『日刊ゲンダイ』のライバル紙『夕刊フジ』(『日刊ゲンダイ』に勝るとも劣らずけがらわしいこの夕刊紙は、昨日(9/14)だったか、「蓮舫議員辞職は必至」などと喚き立てていた)と「共闘」して排外主義むき出しの主張を展開している堀茂樹といわゆる「民族主義者」との親和性がきわめて高いことは明らかだろう。

なお、民進党代表選は、『日刊ゲンダイ』御用達の堀茂樹や『夕刊フジ』などの悪罵も空しく、蓮舫が第1回の投票で代表に選出されることが大方のメディアによって予想されている。もちろん私は蓮舫など全く支持しないが、八幡和郎、ノビー(池田信夫)、堀茂樹などの面々や『夕刊フジ』や産経、ついでに別件でとはいえ堀茂樹を宣伝した『日刊ゲンダイ』、さらにおまけに堀茂樹との対談本を出した小沢一郎等々は、蓮舫どころではない私の激しい嫌悪の対象であることはいうまでもない。

*1:トッドは16〜18歳であった1967〜69年にはフランス共産党の党員だったこともある。