kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

関西大が軍事研究応募を禁止 他大学と共同申請も(東京新聞)

「きまぐれな日々」にいただいた鍵コメ情報より。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201612/CK2016120802000265.html

関西大が軍事研究応募を禁止 他大学と共同申請も
2016年12月8日 夕刊

 関西大(大阪府吹田市)が、軍事技術に応用可能な研究を助成する防衛省の公募制度「安全保障技術研究推進制度」について、学内の研究者が応募することを禁止する方針を決めたことが八日、分かった。共同研究者などとして他大学の申請に参加することも禁止。軍事防衛を所管する公的機関や軍事研究を目的とした企業からの研究費を受け入れない姿勢も明確化した。

 二〇一五年度に始まった同制度を巡っては、大学などが軍事研究に関わることに批判もあり、新潟大が既に学内の科学者行動指針を一部改正し「軍事への寄与を目的とする研究は行わない」と明記。広島大も応募しない方針を決めており、この制度に距離を置く大学が広がった形だ。

 関西大では教員が応募し、採択されなかったが、学内で是非が議論されていた。以前から「人類の平和・福祉に反する研究活動に従事しない」との研究倫理基準があり、原則に従ったという。七日の学内の会議で決まった。

 芝井敬司・関西大学長は取材に「研究の自由は大原則だが、大学として一定の姿勢を示す必要がある」と話した。

 日本学術会議も同制度に関し、検討会を立ち上げ、議論している。

 <安全保障技術研究推進制度> 軍事への応用ができる基礎研究を行う機関に、最大で年約4000万円の研究費を3年間助成する内容。制度が始まった2015年度からこれまでに153件の応募があり、19件の研究が採用された。防衛省は17年度、1件の研究に5年間で数十億円を投入する新たな助成枠を設ける方針で、制度全体で16年度の6億円から18倍増となる110億円を要求している。

東京新聞より)

関西大(大阪府吹田市)は、いまどきの大阪には珍しい良心を示した大学として称えられるべきだろう。

ところで、情報を提供していただいたのは上記東京新聞の記事だが、他紙はどうなのかなあと思って調べてみると、各紙が報じていた。つまり、別に東京新聞がえらいわけでも何でもない。毎日の記事には記者の署名がついているが、なぜか上記東京新聞の記事と似ている。朝日の署名記事は、登録していないと途中までしか読めない。また、下記産経の記事は東京新聞の記事とそっくりだ。

関西大が軍事研究禁止…国の助成制度応募認めず - 産経WEST

関西大が軍事研究禁止…国の助成制度応募認めず

 関西大(大阪府吹田市)が、軍事技術に応用可能な研究を助成する防衛省の公募制度「安全保障技術研究推進制度」について、学内の研究者が応募することを禁止する方針を決めたことが8日、分かった。

 共同研究者などとして他大学の申請に参加することも禁止。軍事防衛を所管する公的機関や、軍事研究を目的とした企業からの研究費を受け入れない姿勢も明確化した。

 平成27年度に始まった同制度を巡っては、大学などが軍事研究に関わることに批判もあり、新潟大が既に学内の科学者行動指針を一部改正し「軍事への寄与を目的とする研究は行わない」と明記。広島大も応募しない方針を決めている。

 関西大では教員が応募し不採択となったが、是非が議論されていた。「人類の平和・福祉に反する研究活動に従事しない」という学内の研究倫理基準に従ったという。7日の学内の会議で決まった。

 芝井敬司学長は「研究の自由は大原則だが、大学として一定の姿勢を示す必要がある」と話した。

 日本学術会議も同制度に関し、検討会を立ち上げ、議論している。

(産経WEST 2016.12.8 11:44更新)


東京と産経の記事を比較してみて頭に浮かんだのは、同一の素材を添削した記事なのではないかとの疑惑だ。もとは共同通信の配信なのではないか。というのは、産経の記事にしては客観報道スタイルに近いながらも、西暦表記を元号表記に改めていたり、東京の記事にはない「国の助成制度応募認めず」という見出しをつけていたり、東京の記事にある「この制度に距離を置く大学が広がった形だ。」という文章が産経の記事にはなかったりするなどの微妙な違いがあるからだ。東京新聞の方は、「<安全保障技術研究推進制度>」以後の解説は自社でつけたものなのではないかと想像される。他にも東京新聞の記事と産経新聞の記事には細かな違いがある。

それにしても、いったい新聞業界には、このように配信された記事を加工すれば配信元を明記しなくても良いというルールでもあるのかと思ってしまった。

そういえば、長野県で極右人士である田中康夫犬猿の仲だったという信濃毎日は、同様の方針を示す信州大を応援する記事を載せてたことがあったなと思い出した。信毎の記事を転記した下記ブログ記事は昨年4月16日付だが、私は旅先で見たのは昨年9月23日か24日の1面トップ記事だった。つまり、信毎は軍事研究の問題を熱心に追及する新聞というわけだ。桐生悠々の伝統が生きているというべきか。なるほど、田中康夫とは敵対関係になるわけだとも思うし、安易に「日本未来の党」の応援に走ったいかがわしい東京新聞なんかよりも、信毎や北海道新聞(道新)のような伝統あるリベラルの地方紙の存在に、「リベラル」諸賢はもっと目を向けてはいかがかと愚考する次第。

信大 軍事研究扱いに規範 今秋めど「平和目的に限る方向」: ささやかな思考の足跡(2015年4月16日)より孫引き

信大 軍事研究扱いに規範 今秋めど「平和目的に限る方向」(信濃毎日)

 信州大(本部・松本市)が、自衛隊や米軍向けなどの軍事研究の扱いについて統一見解をまとめ、今秋ごろまでに研究の行動規範に明記する方針を決めたことが15日、分かった。信大はこれまで「軍事目的の科学研究を行わない」とする日本学術会議の声明を基本方針とし、行動規範には記載していないが、国が軍事技術開発に大学を活用する動きを強めていることや、軍用と民生両方に利用可能な「デュアル・ユース」技術が進展し、境界が曖昧になっていることから、他大学の動向も踏まえて明文化する。

 信大の工学部(長野市)や繊維学部(上田市)、医学部(松本市)では宇宙開発やロボット、航空機材料、細菌・ウイルスといった軍事研究の基礎となり得る研究をしている。信大は行動規範で研究成果の公開を定めており、「機密扱いの軍事研究は行われていない」との立場だが、研究担当理事の武田三男副学長(64)は「基礎研究はどこからが軍事研究か線引きをするのは難しく、各研究者の判断に任されているのが実情」と説明する。

 政府の2014年度防衛計画大綱は、安全保障の観点から大学との連携を充実し、防衛にも応用可能な民生技術の積極的な活用に努めると明記した。本年度、防衛省は大学に直接研究費を支給する「安全保障技術研究推進制度」を創設。5月にも大学などを対象に基金(初年度3億円)を活用した軍事研究の募集を始める予定だ。研究費不足に悩む大学を軍事研究に引き込む呼び水になるとの指摘もある。

 信大は執行部で原案をつくり、学内での議論を経て行動規範に盛り込む考え。15日、松本市の本部で開いた役員部局長会議で、軍事研究の扱いについて検討することを報告した武田副学長は、取材に「今後、防衛省などから共同研究を持ち掛けられる可能性があり、学内の研究者からも大学としての対応を問う声がある」と説明。「基本的には平和目的の研究に限っていく方向で検討していきたい」と話している。

「方針を決めたことが15日、分かった。」という文章のスタイルは、前に引用した東京新聞産経新聞と同じで、この表現は朝日や毎日の記事にはないことから、上記の記事も共同通信の配信なのではないかと想像されるが、この手の記事を(上記記事はどうだかわからないが、私が旅先で見た昨年9月下旬の紙面では)1面トップにもってくる信濃毎日新聞の姿勢を評価したい。もっともそれだけなら東京新聞でもやるが、東京新聞の場合は日本未来の党を応援したりするなどのポピュリズムへの傾斜が気になるのだ。