kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「ナノ銀除染」阿部宣男の思想と人脈と、阿部の肩を持った共産党の愚行

共産党がニセ科学批判の板橋区議を除名 - kojitakenの日記(2016年12月20日)についたはてなブックマークのコメントを見ると、予想通り「釣れてしまった」というべきか、頓珍漢なコメントが散見される。例を挙げておく。

id:kyo_ju ニセ科学批判側に組していれば何でも正義(それに反対する者は何でも悪)とするのは、反原発に組していれば何でも正義(反対者は何でも悪)とするのと同じくらい誤っていると思うが。

id:yoko-hirom 共産主義の正しさは共産主義者の正しさを保証しない。科学の正しさは科学者の正しさを保証しない。

id:quick_past 反偽科学議員を除名したことと、共産党が偽科学主義だと言うことって直結すんの?とりあえず松崎の人のお言葉がないとなんとも言えないな

id:REV あるソースだと、「共産党公認で当選したのに会派を離脱。慰留にも応じないので除籍」ってなってて、それだけならまあ、ありがちな事件。こういうときに陰謀論を持ち出す人はおおい印象はある。


私は何も「ニセ科学批判側に組していれば何でも正義(それに反対する者は何でも悪)」などとは書いていないし、それどころか

菊池誠あたりの「右傾化しつつある『反ニセ科学クラスター」

と批判的に書いた。また、私は「共産主義の正しさ」「共産主義者の正しさ」「科学の正しさ」「科学者の正しさ」について何も書いていない。ましてや、「共産党が偽科学主義だ」などとどこに書いたというのか。コメント主には根拠を示してもらいたい。このコメントなど、共産党批判に対する支持者(または党員)の感情的反発の最たるものであろう。(どっかの党の「信者」においては当たり前であるところの)こういう思考回路の人間が共産党員や共産党支持者にもいることを、このコメントは示している。

上記の悪例(「悪」というのはもちろん私の主観に過ぎない)の最後に挙げたブコメに対しては、下記のブコメを対置したい。

id:houyhnhm この件がニセ科学批判なら何でも!みたいなのかどうかは知らんし興味もないが、除籍に値するような行為なのか。野党統一候補とかやって来た事は市民を謀る策でしかないのか。


私の感覚はこのコメントの問題意識には近いかも知れない(私の誤読でなければの話だが)。私の認識では、共産党は従来「ニセ科学」に厳しい態度をとってきた政党のはずなのに、市井に多い「ニセ科学になびきやすい『脱原発派』」に迎合した、軽はずみかつ有害な行動をとってしまったのではないかとの疑いを持っているということだ。

しかも、板橋の〈蛍博士〉「阿部宣男」は、政治思想面でも問題のある人物のようだ。

阿部not安倍 - Living, Loving, Thinking, Again(2016年12月20日)より

「安倍」と誤記された阿部博士だが、政治イデオロギー上でもかなり右巻らしいのだ。


その根拠は、上記記事から引用された左巻健男氏の「はてなダイアリー」の記事だ。

松崎いたる板橋区議の裁判に関して日本共産党への要望 - samakikakuの今日もワハハ SAMA企画(2016年10月22日)より

 しかも、松崎さんを提訴している阿部宣男氏は、ご自分のブログの「謹賀新年 不滅の法灯」2014/01/01に「平成二十六年・西暦2014年・皇紀2674年・午年」と書くような右翼的な人です。

 阿部氏は特攻隊を賛美するブログを書いていました。→

http://web.archive.org/web/20150719212959/http://hotaruabe.blog72.fc2.com/blog-entry-17.html

 またナノ銀除染は、「日本海軍史に燦然と輝ける日露戦争において、「各員一層奮闘努力せよ」という意味が込められました。日章旗旭日旗とともに、日本再興にふさわしい旗、それがZ旗です。」という右翼的なZ旗新聞に好意的に取り上げられています。


もちろん、「阿部宣男が右翼である」ことと「ナノ銀除染がニセ科学である」ことは別の事象ではあるが、「右翼」であり、かつ「ニセ科学人士」である阿部宣男の肩を持って党員を会派離脱に追い込み、あげく除籍(除名)してしまうとは、共産党いったい何やっとんねん、アホちゃうか、と思う。

さらに引用された左巻氏の記事にも、興味深い記述がある。

板橋区議会議員 松崎いたる「ホタル館の不正追及に蓋をする和解案に反対する討論」 - samakikakuの今日もワハハ SAMA企画(2916年12月12日)より

◆荒唐無稽な「ナノ銀除染」

 通常の勤務時間内でさえ、元職員は本来の公務を放棄し、私的な活動を行っていました。

 元職員は福島の原発事故直後から、ホタル館で除菌のために使用していた「ナノ銀」を売り込もうと、「細菌に効くのだから、放射能にも効くだろう」という非科学的な主張から、放射能を分解・無害化できると言い始めました。福島県大熊町や千葉県柏市などに、この「ナノ銀除染」をアピールし、小沢一郎代議士など大物政治家の庇護をえて、放射能実験を各地で行っていました。

 平成24年8月9日に、参院議員・平野貞夫氏が主催した「放射能浄化勉強会」に元職員は講演しています。その報告書によれば、平成24年5月からの5か月間に、少なくとも41日は、公務ではない「ナノ銀」除染関連の活動を行なっています。


出た、小沢一郎

もちろん実際には下手人は平野貞夫であって、小沢は名前を貸しただけだろうが、平野貞夫によると小沢は

「大災害の中で、国民のためになるものを、政治家のパフォーマンスに使うものではない。平野さんから実務的に専門の関係機関に伝え、しかるべき機関にオーソライズしてもらい、国民のために役立つようにしてやって欲しい」

と言っていたはずだ*1。それをもって平野貞夫

こんな場合、菅首相ならふたつ返事で飛びついてきたはずである。パフォーマンスが政治だ、と思っている政治家が圧倒的に多いわが国で、小沢氏の見識はさすがであると、改めての思いである。

と書いていたのだが、結局小沢は名前を貸すことによって、「見識はさすが」どころか平野貞夫が妄想したところの菅直人(もちろん菅直人本人ではなく、平野貞夫の想像上の人格)と同じことをやってしまったわけだ(笑)。

ともあれ、阿部宣男なる人間が小沢一郎(の名前。実際には平野貞夫)をバックにいただき、少なからぬ「『ニセ科学』になびきやすい『脱原発派』」の支持を得ていたであろうことが想像される。小沢一派なら右翼やニセ科学とつるむのは日常茶飯事だ。政争のためにはなんでもあり、というのが小沢の行動の特徴なのだから(小沢が鳩山由紀夫とともに菅内閣を潰すために自民党と内通して不信任案提出を煽った2011年6月の最悪の民主党内権力抗争を想起せよ)。

で、そんな人脈を持つ阿部宣男の肩を持って党員を会派離脱、最後には除籍(除名)に追い込んだ共産党は、「野党共闘」の名のもとに、これまで自らが持っていた大事なものを自ら切り捨てつつあるのではないかとの強い危惧を持つ。

共産党がこんなことをやっているようでは、「野党共闘」はアブナイ。そう危機感を強める今日この頃なのだ。