kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

論評するのも鬱陶しい安倍晋三の真珠湾訪問

安倍晋三真珠湾訪問は、報棄てやNEWS23のお休みをいいことにテレビも見ていないし、それどころか新聞記事もまともに読んでいないのだが、朝日新聞の1面トップに、唐突に日米「和解」の大見出しが打たれたことに面食らった。同様の感想の方も少なくないだろう。ずっとアメリカに隷従し続けているのに、和解も何もあったもんじゃなかろうと誰もが思ったはずだ。朝日もすっかり安倍晋三御用新聞に成り下がった。

「中道」もしくはそれより「左」に一般には分類されているであろうネットのブログ記事を見ていても、違和感のある記事が多い。たとえば、「日本の首相が真珠湾を慰霊のために訪れたこと自体、評価したいと思うし。嬉しくも思っているのだけど」と前置きをしたあとに安倍批判を綴っているブログがあるが、安倍晋三が先走りして「トランプ詣で」をしたためにオバマの逆鱗に触れて真珠湾に呼びつけられた経緯を見れば、私は「評価したい」とも、ましてや「嬉しい」などとは全く思わない。あほくさいだけだ。

また、安倍の真珠湾訪問を「国粋右翼の歴史的敗北」と評した「小沢信者」系ブログもあったが、もともと「反米右翼」など今や無視できるほどの少数派だし、近年ではその少なくない部分は「『右』も『左』もない」などと称して小沢一派にくっついてきていた。「どう見ても安倍は転向したように見える」って、あんたいったい何を妄想にふけってるのかと思ってしまった。

さらに、真珠湾アメリカが日本を開戦に追い込んだものだろ、と書いたブログに至っては、えーっ、そんな30年前の反米右翼(その頃は今と違って結構いた。1999年に自殺した江藤淳なんかもその一人かも知れない)がよく言ってた陰謀論を未だに蒸し返すのか、とちょっと驚いてしまった。

結局、いつものように『広島瀬戸内新聞ニュース』からこの件に関する記事を2件引用する。下記の記事にならよく納得できる。

表向きの「理屈」だけは正しい部分もあるが実際は「失策の穴埋め」に追われただけの安倍総理ーーー真珠湾訪問 : 広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)(2016年12月28日)

安倍総理真珠湾訪問。

オバマ大統領の広島訪問の答礼ではない」という総理が前提とした「理屈」は正しい。

真珠湾攻撃は、いわば軍事目標の攻撃であり宣戦布告が遅れたというミスの問題が大きいのです。
言ってみれば、「やあやあ我こそは」で正々堂々ぶつかるべきところ、「名乗りを上げる前に矢を射て」しまった、ということです。

他方で 広島、長崎への原爆は、一般市民の殺戮である。人道上の問題が大きいのです。

ですから広島と真珠湾はセットにならないという総理の理屈は正しいのです。

広島と(人道上の問題として)「セット」になるとすればむしろ、対中国戦線の南京大虐殺はもちろん、対米戦線の「バターン死の行進」などが挙げられるでしょう。あるいは、現地の人を巻き込んだという意味では「マニラの戦い」などもそうです。

また、総理は、戦争の惨禍を繰り返さないという。

もちろん、それはその通りです。

ただし、この場合、総理が想定している「戦争」とは「国民国家がやあやあ我こそは」で正々堂々ぶつかり合う戦争でしょう。

逆に言えば総理は、「アメリカに追従して」「国民国家ではない集団との戦い」「市民を巻き添えにする」のはいくらでも「やる気満々」ではないでしょうか?

そもそもが 総理はアメリカ大統領選挙の最中に、クリントン当選を確信して投票日前はクリントンにだけ会ったのです。
そこで、トランプが当選して慌てた。あわててトランプと会談し、外交儀礼を踏み外しオバマの 怒りを買った。
そこで失点を埋め合わせるために今回の真珠湾訪問をやっただけでしょう。


安倍総理にとり「アメリカ的価値観」は邪魔 「強者としてのアメリカ」にしっぽを振っているだけ : 広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)(2016年12月29日)

安倍晋三総理は、自由とか民主主義、人権など、アメリカが「建前」として一応掲げてきた価値観は
「邪魔だ」と思っているでしょう。

彼は、結局の所、「強者としてのアメリカ」にしっぽをふっているだけである。
最近ではアメリカの力が落ちてきているから「ロシア」にしっぽを振っているだけである。
それ以上の考えはないのです。

この間の総理の行動を見るとそうとしか思えないのです。
そのときそのときで刹那的に強そうな方にしっぽをふる。
それしかないのです。
あまりにも見え見えですが、いわゆるネトウヨ安倍総理支持者は、「それも仕方がない」
とおっしゃるわけです。ここまでくると「右翼」というよりは「ただの事大主義者」
ということになるでしょう。

なお、総理と対極的なのは冷戦時代のフィンランドでしょうか。

フィンランドは、強大な陸軍を持つソビエトと陸上で国境を接している等の事情から、ソビエト寄りのスタンスをとりました。
しかしながらも、内政では民主主義、人権を固持したのです。


それにしても安倍晋三のスピーチ(文章で一部を読んだだけだけど)気色悪かったなあ。まるで米軍兵士が天災にあったかのような表現。私が思い出したのは、今年5月にオバマが広島で「空から死が降ってきて、世界は変わった」と抜かしたクソ演説だった。広島と真珠湾とは確かにセットにならないが、オバマの広島演説と安倍晋三真珠湾演説は好一対だと思った。戦争責任を認めないことにおいては日本もアメリカも同じ穴の狢だ。

暗い暗い今年にふさわしく、締めもろくでもない記事になってしまった。